無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

<前回に続く>

野口氏は「20世紀の終わり頃から、シリコンバレーは産業社会の文化を乗り越え、変革をリードしてきました。日本も新しい可能性を見出し、同様の変革を成し遂げなければなりません」と語る。楢崎氏も「日本の大企業は一度成功すると守りの意識が働きます。シリコンバレーの起業家の果敢なチャレンジ精神を学ぶことは大切です。早く失敗をして、いろいろなことを学んでください」と語る。
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日本アイ・ビー・エム
執行役員
チーフ・テクノロジー・オフィサー
久世 和資氏


 最後に久世氏は「イノベーションを起こすためにはダイバーシティも重要です。我々も、異なる経験やスキルを持つ人々を「IBM Cloud Garage」に集め、アイデアを出しあい、モノづくりを進めています。日本企業はモノづくりや品質に対するこだわりがあり、仲間と協力しあう強さもあります。その良さを活かして、世界をリードするイノベーターになることに期待しています」とまとめた。

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ディスラプターになるために必要なものとして、久世氏は「ダイバーシティ」、野口氏は「変革」、楢崎氏は「チャレンジ精神と失敗からの学び」を挙げた。

<前回に続く>

日本企業がディスラプターになるための条件

 前出のように保険業界はブロックチェーンの波に大きな影響を受けそうな分野だ。しかし、そういう状況で先進技術を取り入れ、挑戦しているのがSOMPOグループだ。

 同社は昨年、東京とシリコンバレーにSOMPO Digital Labを開設した。

「SOMPOは従来の保険事業の先を見据え、安心・安全・健康をお客さまや社会に提供するサービスプロバイダーとして脱皮する決心を固め、それを中期経営改革で謳っています。そのためには、デジタル技術は絶対に欠かせません」(楢崎氏)

 アジャイルや、リーンスタートアップなど、保険業界の対極をなす現地スタートアップのスピードと柔軟性を学ぶために、シリコンバレーにもLabを設けた。

 すでに同社は複数の実証実験も始めている。まずはブロックチェーンを活用し、天候デリバティブ保険の契約から支払い処理までを全自動化する試みを開始した。

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SOMPOグループの先進的な取り組み、その1。天候デリバティブにおけるブロックチェーン活用。契約から支払い処理までを全自動化。


天候デリバティブは、たとえば気温がマイナスの日が続いたら、契約者の大規模農家などに保険金を支払う制度です。気象庁から天候データを取り、証跡を管理し、支払いまで行う次世代基盤を検討中です」(楢崎氏)

 また、グループ企業の損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険は、ウェアラブルデバイスを活用した健康支援の実証実験を行っている。「Fitbit」を3000人の社員に1年間ほど身に着けてもらい、データをクラウドに蓄積。そこから健康状態と活動状態の相関関係を分析して知見を得た。

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SOMPOグループの先進的な取り組み、その2。ウェアラブル端末を用いて、健康保険の契約者のデータを収集し、健康増進に役立てる。


「今年から一般に向けてウェアラブル端末とアプリを提供し、お客さまの健康増進の後押しを始めたところです」(楢崎氏)

 同じくSOMPOグループのセゾン自動車火災は、IoTデバイス活用に取り組んでいる。「つながるボタン」を自動車に取付け、トラブル時にドライバーが押すとスマホからコールセンターに連絡される。センターは契約情報やGPSの位置を把握し、現場で必要なサービスを迅速に提供できる。またドライバーの運転状況も常にクラウドにアップされ、運転診断も可能だ。

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SOMPOグループの先進的な取り組み、その3。IoTデバイスの活用。自動車に「つながるボタン」をつけ、コールセンターの対応を迅速化。さらに運転データから安全診断も行う。


運転や道路のデータがクラウドに蓄積され、その先にある新サービスをつくる際の参考になります。我々はお客さまの安心・安全・健康のための接点になるべく、いろいろな挑戦を行っていきます」(楢崎氏)

 このようなSOMPOグループの先進的な取り組みは、ディスラプターとして生き残りをかける企業にとって不可欠なことだ。
久世氏は「日本企業がディスラプターとなるための条件とは何か」という質問を両氏に投げかけた。

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ブロックチェーンとAIが人間の雇用を奪ったあとに残るもの

 良いことばかりのように見えるブロックチェーンだが、逆に死角はないのだろうか。野口氏は「伝統的な社会の法的な仕組みと接合しない面はあるでしょう。ビットコインも同様ですが、ブロックチェーンで運営される事業は管理者がおらず規制できません。

ブロックチェーンを応用する際は、技術面だけでなく、法的な面が重要でしょう」と指摘する。楢崎氏も「規制の問題は金融業や保険業で反旗を翻すことになるため難しい点もあります」と同意する。

 またブロックチェーンによる新しい仕組みによって「従来の人々の仕事が奪われてしまうのではないか」と危惧する声もある。

 野口氏は「それは否定できません。情報を右から左へ仲介したり、ルーチンに従って進める定型的な仕事は代替されるでしょう。いま話題のAIを活用したロボットなどの自動化は、労働者の仕事を奪うかもしれません。一方で、管理者がやる仕事もルーチンワークが多く、こちらはブロックチェーンの自動化により代替されていくでしょう」と語る。

 保険関係もルーチン的な仕事が多い業界なので、心配する声もあるそうだ。

「事故などで保険を支払う手続きは、パラメータに違いはあっても、基本的には同じプロセスで進められます。保険の更新作業もルーチン的なものです。そう考えると、ほとんどの作業が置き換えられる可能性があります」(楢崎氏)

 とはいえ、すべての仕事が消えてしまうわけではない。

 野口氏は「美味しい料理や手作りの家具をつくるなど、人にしかできないこともあります。これからは、そういう仕事の価値が上がっていくでしょう。したがって我々も、人ができる仕事を探すことが重要になると思います。みなさんもブロックチェーンに負けず、それをうまく活用していける仕事を見出してください」とアドバイスした。

<次回に続く>

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