50万とも60万ともいわれる潜在保育士の調査が福岡で行われています。復帰を考えているのは全体の半数に近いのですが、復帰に踏み込めない理由としては、家事や育児、介護、賃金がネックになっているようです。これらの条件整備を急がねばなりません。特に賃金は最低でも5万円前後のアップが必要です。
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福岡)「潜在保育士」調査 家事・賃金に不安
石田一光
2017年12月31日03時00分
県は、保育士資格を持つが働いていない「潜在保育士」の意向などを調べるアンケートをした。県内に待機児童が約1300人(4月1日時点)いるなか、保育士確保に生かそうと初めて実施。結果からは、潜在保育士の半数に復帰の意思はあるものの、家事や育児や介護、賃金などがネックになっている姿が浮かび上がった。
県子育て支援課によると、4815人から回答を得た。96・6%が女性で、「保育士・保育教諭・幼稚園教諭以外の職種で働いている」または「働いていない」と回答した潜在保育士は44・6%と半数に近かった。このうち、保育士として働いたことがある人の辞めた理由は「結婚、妊娠・出産、育児、介護」が43・2%で、賃金などと比べて圧倒的に多かった。
潜在保育士で今後、保育士として働くつもりが「ある」と答えたのは半数を超える53・5%。そのうち、働く場合の不安としては「家事・育児・介護などとの両立、家族など周囲の理解」(30・4%)、「賃金、福利厚生(休暇、シフト)など処遇」(24・5%)などが挙がった。働くときに重視することは「処遇(給与・休暇・通勤手当など)」が34・7%、「勤務時間(シフト体制など)」が28・5%、「職場の雰囲気、人間関係」が17・2%などだった。
一方で働こうと思わない人たちの理由は「保育士以外の仕事に興味がある、現在仕事にやりがいを感じている」が21・2%、次いで「賃金が希望と合わない」が17・5%、「健康・体力への不安」が14・7%などだった。「健康・体力」については、年齢が高いほど理由に挙げる人が多かった。
施策の認知度不足も目立つ。「再就職した場合の40万円以内の就職準備金、未就学児がいる場合の一部保育料の貸し付け(2年働けば返済免除)」という制度を知らない潜在保育士は90・2%。働くつもりがある人で「県保育士就職支援センター」(春日市)を知らない人は73・7%だった。(石田一光)
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〈調査方法〉 県の保育士登録情報の住所が県内で、無作為抽出した2万人に、6月下旬~7月上旬にアンケートを郵送・回収。政令指定市(福岡市、北九州市)と中核市(久留米市)は除く。有効回収率は24・1%。