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KABUTAN 2017年11月01日
医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。
800万円というとかなりの金額と思えるかもしれません。現役時代から老後資金の一部としてコツコツと資産形成するなどして備えましょう。
■ずっと元気なことが最も大切
もちろん、1人当たり800万円という数字はあくまでも平均的な費用から割り出した目安にすぎません。現実には様々なことが起こりえますので、一人ひとり、金額は当然異なります。
例えば、介護に関しては平均はあくまで平均です。先ほどの調査でも介護期間は平均5年弱ですが、1年未満の場合が約12%、10年以上の場合が約16%あります。従って、100万円以内で済むこともあれば、1000万円以上かかることもあるわけです。
ただし、メドを知ることである程度、不安は軽減されると思います。老後の資金計画を練る上でも大いに役立つことでしょう。
最も大切なことは、要介護にならないようできるだけ普段から健康管理に気をつけることです。ずっと元気なら介護費用はゼロなのですから。
実は、この金額を正確に把握するのは極めて困難です。老後に必要なお金の中で「これだけあれば安心」と最もいいにくいのが介護費用です。なぜなら、病気も介護も突然やってくることが多いからです。
私も、元気にしていた母親が突然倒れて寝たきりになるという経験をしました。しかも、それがいつまで続くのか全くわかりません。さらに介護はどの程度のサービスを求めるかによってかかる費用も違ってきますから、はっきりした数字がつかめないのです。
■医療・介護費用は800万円が目安
そうはいっても、介護や医療にかかるお金がいくらなのかを知ることはかなり切実な願いです。そこで目安となる金額をお教えしましょう。
介護費用については、実際に介護した経験がある人を対象に調査したデータがあります。
それは公益財団法人の生命保険文化センターが2015年に行った調査で、1人当たりの介護費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は約550万円となっています。内訳は毎月の介護費用が7.9万円、介護期間が平均4年11カ月で計466万円。さらにバリアフリーに対応した住宅への改修など、一時的な費用が計約80万円です。
次に医療費についてです。これも参考となるデータがあります。それは厚生労働省の統計で、60~89歳までの医療費の自己負担額(保険料を含む)は14年度実績で平均115万円となっています。万が一、がんにかかるなど高額療養費制度を利用した場合についても、70歳以上なら自己負担額の上限は月に5万7600円です。仮に12カ月入院しても自己負担額の合計は約69万円となります。先ほどの115万円と合わせると約184万円です。
<次回に続く>