無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

<前回に続く>

 東京都は昨年度から訪問看護未経験者を採用する事業所への支援を始めた。育成の助言や、採用職員1カ月分の給与と研修費を補助する。担当者は「小規模な事業所が多く、育成者への指導は好評。訪問看護師をより増やしたい」とする。

 国は、患者の療養の場が「病院」から「地域」へ移行するよう促しており、25年に向け訪問看護サービスをさらに拡大したい考えだ。だが、看護職員のうち病院・診療所で働く人が8割を占め、訪問看護は2%にとどまっている。

 一方、訪問看護を希望する看護学生も実際に新卒で就く人は少ない。聖路加国際大大学院の山田雅子教授は「学生が希望しても『まずは病院で』と反対する教員もいまだに多い」と説明する。

 それでも、新卒の訪問看護師を受け入れる事業所は少しずつ増えている。山田教授は「病院と在宅では求められるケアが異なる。新卒から訪問に取り組むことで、生活支援のプロとしての力を持つ人材の育成ができる」と話した。

育成者養成へ講座 聖路加国際大など

 14年度の全国訪問看護事業協会の調査では、過去5年に新卒で訪問看護師を採用した事業所は、回答1420事業所の2%(35事業所)。新卒採用に関心がある事業所も23%あったが、育成の労力などに不安があり、踏み切れていないという。

 新卒から育てるには適切な指導者が不可欠だ。14年には、聖路加国際大や訪問看護事業者などでつくる「きらきら訪問ナース研究会」が結成され、育成人材の研究や普及の活動に取り組んでいる。

 同研究会は7月、事業所などを対象とした育成者養成講座を初めて開催。4回の講座には、新卒採用を検討中の事業所も含め22人の担当者が参加する。

 一方、新卒訪問看護師自身も15年に「全国新卒訪問看護師の会」を結成した。新卒同士が交流し、学び合うことでキャリアを広げるのが狙いだ。会員は新卒訪問看護師や志望学生など約90人で、月1回、勉強会や交流会を開く。

 代表の小瀬文彰さん(26)は都内で働く訪問看護師で、13年に新卒採用された。当時は自分と同じような「新卒」と出会うことがなく、情報交換をしたいと思ったのが会のきっかけだ。小瀬さんは「新卒者就業やキャリア普及の課題も多い。情報発信や研究を重ね、新卒訪問看護師を当たり前のキャリアにしたい」としている。


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訪問看護師の需要が増えています。新卒対応を含めて各方面で対策を講じているようですが、思うように増えていないようです。その要因は2つあると思います。一つは、報酬の低さです。通常訪問看護師の報酬は病院勤務の看護師より2割低いと言われます。医師の指示の下での動きになりますが、その責任の重さ、24時間対応を考えますと、現在の報酬では厳しいと言わざるを得ません。

もう一つは、訪問看護はその業務の多様性からベテラン看護師のスキルが必要とされます。それが新卒では対応が難しくなります。来年の報酬改定において訪問看護の点数を上げることは当然ではありますが、病院看護師からの移動をどのように進めていくのかの対策が必要です。
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新卒採用 団塊高齢化で需要増 世代多様化に意義

 「訪問看護師になるには、病院の臨床経験が3~5年は必要」という考えが根強くある中、少数ながら新卒看護師を訪問看護師として育てる試みが各地で始まっている。団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年を前に在宅ケアの需要増が予想されるからだ。【細川貴代】

 6月の朝、訪問看護師の山下宏美さん(28)が自転車で東京都世田谷区の利用者宅に到着した。「おはようございます」。90歳の女性の顔をのぞき込み、血圧や体温を測る。

 女性は腰を痛めて寝たきり状態だ。「変わったことはないですか?」「医師から耳鼻科受診をすすめられて……」。家族の話を聞き、カルテに記載。皮膚や体の状態を確認し、必要な処置をした。

 山下さんは訪問看護師7年目。現在は世田谷区の「セコム成城訪問看護ステーション」に勤務する。大学の実習で訪問看護に魅力を感じ、新卒で飛び込んだ。

1日約5件を訪問するほか、医師やケアマネジャーなどと相談・情報交換を行う。利用者は子どもから高齢者まで、扱う疾患も難病やがんの終末期までと、さまざまだ。「訪問看護次第でその人の生活や最後の暮らし方が変わる。細かい変化にも早く気付くよう心がけています」

 運営する「セコム医療システム」(東京都渋谷区)は06年度からいち早く新卒訪問看護師の採用を始めた。毎年5人程度採用し、ステーションに1人ずつ配置。先輩との同行訪問、病院研修など独自の育成カリキュラムがある。育成に関わる小西優子・クオリティマネージメント室長は「新卒者は意欲があって吸収力や成長力もある。多様な世代がそろえば組織も安定する」と新卒採用の意義を説明する。

 地域全体で育てるケースも。山梨県看護協会は14年度から新卒を採用。訪問看護の歴史が長い同県では年齢層が高く、若手を求めていた。県立大看護学部の教員から「訪問看護を希望する学生がいる」と相談を受けたこともあり、採用を始めた。「地域型」の強みは、県立大や県立病院など地域の教育、医療、介護機関が連携して育てられる点だ。同協会の石原準子・訪問看護ステーション部長は「新卒の育成には看護協会、県など関係機関の協力が重要だ」と話す。

<次回に続く>

   

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これまで中国で介護事業を展開する際に、多くの企業が何か躊躇している理由が垣間見えます。あくまでも国策としての介護事業が前提で、民間企業が簡単に参入できない背景がわかります。これでは急拡大する中国の高齢化に対応できるのかが心配です。
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中国企業、「党の介入」明文化 上場288社が定款変更

今春から急増


2017/8/17 日本経済新聞 電子版

 【広州=中村裕】中国の上場企業で今春以降、共産党の経営介入が急速に進んでいる。

中国企業の定款変更を日本経済新聞社が調べたところ、党が経営判断に深く関わることを容認するなどの項目を盛り込んだ企業が4月以降で約200社にのぼった。

党の意向をくんだ経営が一段と強まれば、外資企業にとって合弁事業など中国投資のリスクが高まる可能性がある。世界規模の企業もあり、国際秩序と相いれず新たな摩擦を生む恐れもある。

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