無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

最近は医療関連の高齢者住宅事業への関心が高くなっているを強く感じます。先般も申し上げましたように調剤薬局グループが積極的にこの分野に進出をしてきています。

日本調剤は7月30日に第1四半期決算を発表し、営業利益は前年同期比23.8%増益だったようですが、ある研究機関が8月5日に高齢者施設向けの訪問服薬サービスの拡大が業績を牽引していると解説しております。

施設の看護師等が通常行う入居者の服薬管理を、近隣の日本調剤の薬局が受託するもので、日本調剤では2009年12月に健保・施設推進部を立ち上げ、有料老人ホーム等を複数施設を展開している大手企業の本部への直接営業を開始。
その結果、2009年春に400件程度だった受託施設数が足元では900件以上にまで急増していると報告しています。

「訪問服薬は3年ほど前から手掛けており、延べ630ヵ所以上の施設にサービスを提供してる。特にこの1年は新規で200施設以上増えた。施設向け処方せん枚数は1月で約1万6800枚。入居者の大半が2週間処方であるとすれば、施設患者数は8000人以上にのぼると思われる」(高齢者住宅新聞2010年2月25日号)

訪問調剤の報酬体系は、

 調剤技術料(調剤基本料+調剤料+各種加算)と 薬学管理料となりま
 すが、 特に訪問調剤で点数が高いのが、在宅患者訪問薬剤管理指
 導料となります。調剤技術料の他に、
  在宅で療養を行っている患者では500点(5000円)
  居宅系施設入所者である患者では350点(3500円)
 はいずれも月4回までが対象となります。
 それ以外に、在宅訪問を行っている患者に対して、
 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は500点(5000円)(月4回まで
 緊急の場合)
 在宅患者緊急時等共同指導料は700点(7000円)(月2回まで緊急
 の場合)
 在宅訪問を行おうとしている患者に対して月1回まで退院等共同指導料
 600点(6000円)

 と在宅訪問に対して高い報酬が設定されています。ここに調剤薬局の
 生き残り をかけた戦略を見ることができます。

上記の日本調剤のように高齢者の増加に併せて、積極的に在宅訪問を手掛ける調剤薬局が今後も増えてくると思われます。特に、高齢者住宅に対するアプローチは活発化してきています。
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本日もある地方ゼネコンを訪問させて頂きました。最近たて続けで地方
ゼネコンから御相談を受けております。公共事業が落ち込んでいるだけに、生き残りをかけて新しい分野、高齢者住宅事業に対して活路を見出そうとされておられます。

取り組みにはいくつかのタイプがありますすが、次の4つのパターンに分けられます。

①自社所有地に自社建築で高専賃を建て、運営会社に対して賃貸する。
②自社所有地に自社建設で高専賃を建て、自社運営をする。
③他者所有地に自社建設で高専賃を建て、運営会社に対して賃貸する。
④他者所有地に自社建設で高専賃を建て、自社運営をする。


最近の特徴は、以前は運営を避けてきたゼネコンが、積極的に運営に進出をする傾向が出てきたことです。自社で運営を行うことで運営ノウハウを取得し、積極的に受注活動を行おうとするゼネコンの姿勢が目立ってきました。自らリスクを取ることで、ノウハウを蓄積しようという姿勢は大いに評価すべきことと思います。

それと、もう一つの特徴は、自社で保有する遊休土地の活用を図ろうとする傾向です。地方のゼネコンは皆さん、かなりの遊休地を保有しておられます。まずは、ここで1棟建築し、場合によっては数棟作りたいという積極的な取り組みを考えておられるところもあります。

そして、皆さんが大変関心をもっているのが、小規模ローコスト高齢者住宅なのです。自らが運営に着手する以上、ただ建築が出来れば良いというのではありません。失敗は許されませんから、大きなものを作って運営リスクをかぶるのではなく、確実に成功をさせる。その意味からも最終は小さく、安く作って、まずは1棟成功させることに注力する。当たり前と言えば当たり前なのですが、今までとは全く発想が異なっております。

その意味で我々のeL3(エルスリー)に大変関心を持って頂いております。好立地の場所では我々がバックアップオペレーターになって、なお且つそのための支援機構による運営代行保証等の加盟をするというスキームが有効なのです。

恐らく、これからもこの傾向が続くと思われます。我々も新たな立地開発
と新しいパートナーの開発に力を入れたいと思います。
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前回に続いて、市街化調整区域での高齢者住宅の開発について考えてみたいと思います。

市街化調整区域における有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅の開発については開発審査会(行政によっては名称が異なる)等にて協議を行うとのことが定めれらている行政があります。

都市計画法の中では、開発が認められているものとして病院や、特別養護老人ホームが設定されていますが、一般の有料老人ホームや高専賃等については明確に除外対象とはなっておりません。

その他の除外項目の中で、審査会等で認められれば設置可能というものがあります。その中に有料老人ホーム等という名称が入っておれば、審議の対象になり可能性があるのではと言われてきましたが、現実は難しいようです。

何とか市街化調整区域での開発ができないものかとチャレンジしてみましたが、ことごとく駄目でした。どこかで成功した事例はありませんでしょうか。

除外対象となる有料老人ホームや高専賃は、いずれも特定施設の対象となる介護付き有料老人ホームや適合高専賃に限定されており、介護外付けの施設(住宅型有料老人ホームや特定の指定を受けれない適合高専賃)では対象となりそうもありません。

特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホーム等の特定施設というマルメの施設にのみに市街化調整区域内の開発が認めれていながら、外付けの施設では駄目ということになります。

少なくとも要介護者の入居を対象とする住宅型有料老人ホームや高専賃についても認められるべきではないでしょうか。

もっと高齢者住宅の現状をしっかりと捕えて頂き部分的な規制緩和でも結構なのでもっと積極的に進めてもらいたいと思います。

介護施設などの「参酌標準」撤廃で、各行政の裁量に任されるならば尚更のことだと思います。
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