無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

ケアマネシャドーワーク














 ソーシャルワーカーも、ケースワーカーも、そしてケアマネも本業以外の無償労働が急増している。この無償労働をシャドーワークと呼んで良いのか?   

 老健局の間隆一郎局長は講演で、「生活の課題を抱える高齢者を誰が支えるのか、それは無償ですべきことなのか、これから議論していかなければならない。ケアマネジャーの業務についても整理すべく調査を行っている」と説明したという。  

 現場の担当者の苦労をよそに、これを無償ですべきことなのかとピント外れの議論をしている。無償でできる事ではないはず。只単に、ケアマネに押し付けている、見て見ぬふりをしているに過ぎない。 

 ボランティアでない限り無償労働なんてものがあるはずがない。それをシャドーワークという言葉でごまかそうとしているに過ぎない。とんでもない話である。仕事の量が増えているだから有償サービスにしてケアマネがやるにも人手不足と負担が重くできないし、他のサービスの構築も検討が遅れている。国の無策が現場を苦しめる。兎に角、議論も対策も後手後手で現場に負担ばかりをかけている。
・・・・・・・・・・・・・・・
厚労省・老健局長がケアマネの無償労働に言及 「シャドーワークが多い。整理が必要」 
JOINT介護ニュース 2024.3.11  
 厚生労働省で介護保険を所管する老健局の間隆一郎局長は10日、日本介護経営学会が開催したシンポジウムで講演した。【Joint編集部】  

 ケアマネジャーの業務範囲の問題に言及。「ケアマネジャーの皆さんはシャドーワークが非常に多い」と指摘したうえで、次のように語った。   

「例えば、スーパーで買物をしてきてくれと当たり前のように言われる。もちろんその方(高齢者)にとっては必要で意味のあることだが、それはケアマネジャーがシャドーワークで、無償で行う話なのかどうか、整理していかなければいけない」   

居宅介護支援のケアマネが本来の業務を超えた幅広い支援を展開していることは周知の事実。日本介護支援専門員協会が昨年に公表した調査結果でも、例えば介護に関係ない相談への対応、行政手続きのサポート、トラブル時の緊急訪問などを、多くのケアマネが担っている実態が報告されている。   

間局長は講演で、「生活の課題を抱える高齢者を誰が支えるのか、それは無償ですべきことなのか、これから議論していかなければならない。ケアマネジャーの業務についても整理すべく調査を行っている」と説明。「高齢者にとって必要な生活の支えをどうするのか、必ずしも介護だけに限らない話もしっかり検討していきたい。言うは易く行うは難しだが、そうした問題があれば高齢者が安心して暮らせることにもつながらない」と述べた。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

SW負担急増














 本日も病院のソーシャルワーカーから問い合わせがありました。身寄りの無い認知症高齢者の施設への移転に伴い、成年後見人の申請をしたいが、決まるまでに時間を要するので、それまでの間、当協会で身元引受ができますか?という内容でした。当然、お引き受けができますよとお伝えしております。   
成年後見人の申請をしても、4か月から半年近く時間がかかるので、病院としては待てないとのこと、当然でしょう。これまでも同様のケースが数件ありました。認知症がひどくなり実質的な財産管理が困難になった際に成年後見人に移行するのは有りです。成年後見人によっては施設入居の際の連帯保証欄にサインをしないことも通常の対応ですし、財産管理以外の業務については行わないという後見人もおられます。   

後見人の中には別途死後事務委任契約等の身元引受人に近い業務を行って頂ける方々もおられますので、全てを引き受けて頂けるようであれば、その時点でチェンジをしたケースもあります。 あるいは、死後事務や日常サポートは当協会で行い、後見人には財産管理のみという役割分担も可能です。財産が多くなったり、相続問題でもめそうなときには場合によっては成年後見人にお任せをした方が、こちらも身軽になります。      

恐らく、今後、成年後見人との連携のケースも増えてくることが予測されます。身寄りの無い高齢者の増加に伴い、病院のソーシャルワーカーやケアマネの業務は増加の一途となりつつあります。それぞれの組織がきちんとした役割分担をして、スムーズに病院からの移行ができるように便宜を図らねばなりません。   
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   
身寄りなく入院・入所「可能」は7割 課題は医療費支払いや金銭管理 
朝日新聞デジタル2024.3.10   
 身寄りがない患者への対応について、一般社団法人「東京都医療ソーシャルワーカー(SW)協会」が、都内の病院や介護事業所に勤めるSWらにアンケートしたところ、9割超が、家族や親族による「身元保証」がない人は入院や転院、施設入所が「制約されている」と答えた。医療費が支払われないことへの懸念が背景にあり、協会は自治体による支援を求めている。   

協会によると、身寄りがない患者が増加したことで、従来は家族や親族が担ってきた金銭管理や手続き、死後の対応などをできる人がおらず、SWらが困るケースが増えている。   

厚生労働省は、身元保証人がいないことのみを理由に入院や入所を拒むことがないよう病院や介護施設などに求めている。    
 ただし、現実には、患者に意識がなかったり、キャッシュカードの暗証番号がわからなくなったりすると、預貯金があっても誰も動かせず、医療費や、おむつなど日用品の支払いにもあてられない。症状が落ち着いてほかの病院や施設に移ってもらおうにも、医療費などが支払われないことを懸念して受け入れを断られるケースも多いという。  

 現状、病院側が、身寄りがない入院患者に対し、財産管理や手続きなどを支援する成年後見人をつけようとしても、決定までに数カ月かかる。決まるまでに亡くなった場合、医療費が未収になる恐れもある。また、自治体と連携しようとしても、医療介護や成年後見、死後の対応などで担当部署が異なり、たらい回しになるケースも少なくないという。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

非正規公務員問題














非正規公務員の女性が、低い賃金にあえいでいます。非正規で公務に就く人たちの待遇改善を求めるために、2021年から活動している方々がおられます。非正規公務員の女性が、不安定な職場で低い賃金にあえいでいる実態が報告されています。   

公務員の非正規化はどんどん進み、2020年の総務省調査によると、地方公務員全体の29%にあたる112万5746人。住民に身近な市区町村では40%が非正規で、民間企業の非正規率36%(20年、総務省労働力調査)を上回る。大半を女性が占め、地方自治総合研究所で非正規公務員の問題を研究してきた上林陽治・立教大特任教授は「非正規公務員問題とは女性の労働問題だ」と指摘しています。  

更に、総務省調査では地方公共団体で働く非正規の会計年度任用職員のうち、76・6%が女性です。この会計年度任用職員制度が問題となっています。そして、今、問題なのは低賃金に加え、20年度に始まった「任期は1年以内」という会計年度任用職員の制度なのです。1年間限定の非正規公務員ということで、その生活は極めて不安定なもので、生活設計ができるものではありません。   

職種別にみると、非正規割合が高いのは、図書館職員(73・3%)、給食調理員(69・8%)、保育士(56・9%)で、多くが女性職場です。非正規公務員問題とは女性の労働の問題なのです。   

このような不安定化する公務の現場で、果たして国民の安寧は保たれるのでしょうか?超高齢社会で独居が急増する社会構造の変化に対応できるとは思いません。「公から真っ当な雇用を」という主張に国は耳を傾けねばなりません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人を安く使う公務の現場で起きていること 奪われる安心感と人生計画
 朝日新聞デジタル2024.3.1  
 将来や老後をどのように生きるか、そのための資金をどうするかなど、人生には計画がつきものです。しかし、不安定な雇用のもとで、今を生きることに精いっぱいな人たちがたくさんいます。非正規で公務に就く人の待遇改善を求めて活動する渡辺百合子さんに話を聞きました。   

非正規の収入だけで生きる人たち    
非正規で公務に就く人たちの待遇改善を求めるために、2021年から活動しています。今、問題なのは低賃金に加え、20年度に始まった「任期は1年以内」という会計年度任用職員の制度です。これまでは、真面目に働いていれば「来年度もお願い」と言われていたのに、そうではなくなりました。裕福ではなくても「この暮らしが続く」という最後の安心感をも奪うものです。
  


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ