無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

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実は、認知症ケアの切り札に?

 そして第三の課題であるが、これは疑問点というよりも逆に、前向きな施策に転じる可能性を指摘したい。一般の民家を活用することで、認知症ケアへの素晴らしい呼び水になるからである。

 第一、第二で述べた矛盾は、戸建ての空家に固執したために生じた。実は、このこだわりがとんでもない光明に通じるから面白い。

 認知症ケアの大原則に、生活の継続性がよく言われる。認知症になる前のライフスタイル、暮らし方を変えてはいけない。同じような生活環境を保つことが重要であるということ。元々は1982年にデンマークで提起され、その後国際的に浸透した高齢者ケアの三原則の一つである。

 暮らしの基本は住まいである。高齢者が親しんできた住まいを、認知症になっても大きく変えてはならない。今の高齢者が、「私の住まい」と感じるのは木造りの民家だろう。

 その古い日本独特の和風建築こそが、認知症高齢者に欠かせない生活環境となる。この事実にいち早く気づき、実践してきたのが「宅老所」活動である。戸建ての自宅や古い空家を活用した、認知症の高齢者に寄り添う日本独特のケアスタイルとして知られる。宅老所の「宅」は、自宅の宅である。

 大病院や大施設の医療や介護に疑問を抱いた女性(看護師や薬剤師、介護職などが多い)たちが、地域に根を下ろして、高齢者の生活を丸ごと手助けしようと始めた。介護保険施行以前の1990年代の話である。

 その支援方法がいい。利用者から見ると、「通って(通所)、泊まって(短期入所)、来てくれて(訪問)、そして住まいも(住宅)」という4つの機能が1ヵ所に詰まっている。まことに融通無碍なサービス拠点だ。

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民家活用は若者に人気のシェアハウス型と説明される。古い戸建て住宅に見知らぬ高齢者や低所得者たちが雑居する。

本物のシェアハウスでは、若者たちが食事を作り、掃除機や洗濯機を使い、浴槽も自分たちで洗う。家事を皆で協力しあい共同生活を楽しむ。

 溢れる好奇心が新しい人間関係を築き、コミュニティが生まれる。だが、人生の老年期を迎えた高齢者が入居するとそうはなり難い。

 まず、三度の食事を自分たちで作り続けられるだろうか。大家が食事を提供することになる可能性が高い。あるいは、介護保険の訪問介護サービスでヘルパーが来るかもしれない。

 そうなると状況が一変する、有料老人ホームに合致するので有料老人ホームの届けを自治体に提出しなければならない。たとえ一人でも、入居者に食事や介護保険サービスを大家が提供すれば、老人福祉法の有料老人ホームの規定を満たすからだ。

 自治体に届けを出すと、各自治体が定める「有料老人ホーム設置運営指導指針」を守らねばならない。そこには、「居室面積を13.2㎡(8畳)以上に」と記され、廊下幅やスタッフの配置数など事細かに基準が定められており、とても普通の民家では対応できそうにない。

 まず、居室面積が大違いである。6畳(9.9㎡)間を8畳間に変えるのは容易でない。つまり、国交省の新法が、厚労省の老人福祉法と相いれないことになる。

 とはいえ、「有料老人ホーム設置運営指導指針」は単なる「ガイドライン」。法律ではないから、脱法行為にはならない。

しかし、自治体の職員の中には、ガイドライン違反を大事と捉え、事業者がすくみ上るような言説を弄し、「脅し」に近い指導があるとよく耳にする。

大家にとっては、ガイドライン違反という後ろめたさはつきまとう。

 つまり、国交省は要介護高齢者の入居をほとんど想定していないまま法律案を作りあげた。現実は、要介護高齢者がこうした賃貸住宅を最も必要としているにもかかわらずだ。

・・・浅川氏が言われる通りです。以前から空き家対策の一環として高齢者の住宅にと検討されてきましたが、いつも問題になるのはこの有料老人ホームの定義です。国は以前から第3の施設は作らないと言って来ましたが、今回はこれを放棄するのでしょうか。従来の有料老人ホームとの整合性をどうつけるというのでしょうか?(コメント)

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住宅を求めている「住宅確保要配慮者」は特別な人たちなのだろうか。特別な人たちは、従来のあるべき基準を無視していい。狭い劣悪な住宅で我慢してもらおうということだろうか。

 国交省では、9㎡では狭いと感じているようで、「その代りに住宅全体の面積を広くとっている」と強弁する。

 住宅全体は「15㎡×入居者数+10㎡」という基準を設けた。例えば、3人の入居者が2階の3室の子ども部屋に入居すると、9㎡×3人=27㎡となり、全体面積は15㎡×3人+10㎡=55㎡。つまり1階が28㎡、2階が27㎡となるわけだ。取り立てて、一階が広いわけではない。

高齢者の場合、認知症ケアはどうする?

 第二の疑問は高齢者が入居した場合の生活とケアについてである。住宅確保要配慮者とはいえ、現実的に自宅に代わる「第二の自宅」を最も求めているのは高齢者である。それも要介護度の軽い、あるいは要介護直前の虚弱な高齢者だろう。初期だが確実に認知症ケアの必要性がありそうだ。

 しかし、要介護度が中重度にならないと特別養護老人ホームには入居できない。認知症の人の最適施設のグループホームは足りない。サ高住や有料老人ホームに入居するには金銭のゆとりがない。

 そんな高齢者にとっては家賃補助が出るこのセーフティネット住宅は誠に喜ばしい。では入居するとどうなるか。

<次回に続く>

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