(前回に続く)
医療技術の進歩が病院経営に与えた最大のインパクトは、患者の「入院から外来施設、在宅へのシフトである」と松山氏は指摘しています。以下、要点を抜粋します。
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1980年ごろは医療費全体に占める病院入院費用の割合が40%を超えていた。それが現在では、日本、米国、カナダなど医療制度が異なるいずれの国でも約30%まで低下している。

その背景には、抗がん剤に代表される新薬開発、日帰り手術の普及といった医療技術の進歩がある。これは、医療事業体が病院単独施設経営に固執していては成長力が低下することを意味する。

そこで日本以外の先進諸国では、病院での急性期ケアのみでなく、予防、リハビリ、介護、在宅など地域住民が必要とする医療事業体を構築している。
その共通のキーワードは、異なる機能の医療施設が多数参加する「垂直統合」であり、、同種の医療施設がグループを形成する「水平統合」と明確に区分されている。

垂直統合の長所は、国の医療政策により医療財源配分のあり方が変化しても医療事業体の中でその影響を中和できること、地域医療の為の資源配分の意思決定を一元化することにより医療ニーズとのミスマッチ解消を迅速に達成できることの2点にある。

又、垂直統合した医療事業体では、ミスマッチ解消に伴うロスを最小限に抑えるために、個別の医療施設はダウンサイジングが進んでいる。つまり、医療施設建設では機能を明確にしてコンパクトなものを造り、短期間で投資コストを回収し、医療技術進歩に合致した体制を維持するという発想である。

ちなみに、カナダやオーストラリアでは、人口100万人前後の地域医療圏ごとに垂直統合した「医療公営企業」を設置しており、その事業規模は500億~1000億円と大きい。これらの医療公営企業経営者の責務は、不採算部門を抱えながら全体で黒字を達成することである。
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地域の医療のあり方が大きく変化し、それに合わせて介護の世界も変化して行かざるを得ない環境にあります。示唆に富む内容です。
(次回に続く)