無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2010年05月

「貧困」を定量的に把握せよ。 そして情ではなく。 知によってその解を求めよ。 という言葉につられて、コトラーの 「ソーシャル・マーケティング」 という本を読み始めました。 貧困の問題が最近特に目につきます。 先ごろ中国では2016年には中間所得層が1億人を 超えるとの記事が出ていました。 今、アジアでは急速に中間所得層が拡大をしているようです。 その反面、日本ではこの中間所得層が今徐々に分離し始めているようですね。 ひと時のアメリカにおいて中間所得層が拡大し、それを日本がマネをする。 今、アジア諸国の所得が上がり始め、日本の中間所得層のマネをする。 しかし、アメリカではその時代が過ぎ、貧富の格差はますます拡大をしているようです。 そして、 日本も今徐々に格差が拡大してきているように思います。 内閣府の調査では、2007年時点で、国民の貧困層の割合を示す「貧困率」が、 65歳以上の高齢者女性では約2割に達すると発表されています。 高齢者男性も15%を上回る水準になっています。 年間所得が約124万円に満たない人が貧困層となるようですが、次のデータがあります。 65歳~69歳の女性の貧困率は19%で男性で15.5% 70歳~74歳の女性の貧困率は26.6%で男性は17.3% ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 単身者に限ると65歳以上の女性の貧困率は52.3%、男性は38.3%となる。 この実態に我々は注目せねばなりません。 今、日本で怒っているのは急速な高齢化と併せて 急速な貧困層の拡大と考えねばなりません。 1400兆円の貯蓄、その大半は高齢者という図式は、一部高齢者ではないかと思われるのです。 20%の高齢者が全体の80%を占有しているとすると、残りの80%はどうなのか?? 今や日本はアメリカの状況(格差社会)に向かいつつあると考えられます。 高齢者住宅事情もこの環境変化をとらえねばなりません。 貧困に対するソーシャル・マーケティング的な発想をもって、 今後の戦略を考えねばなりません。 今後 益々重要になってくるのは、   「貧困層」における高齢者への生活と介護の仕組みづくり と言えます。 100521_014425.jpg
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

タムラプランニング&オペレーティング様の資料によれば、 高専賃の設立母体で医療法人がトップ に躍り出たようです。 介護療養病床の廃止、療養病床の再編に向けて確実に環境が変わってきているようです。 昨日、本日と金融機関の方々とお話をする機会がありましたが、いずれも医療・介護分野に 焦点を絞っているように思いました。 医療法人向けのサービスメニューをパッケージにして提案する等、積極的な展開がなされて いるように思います。各銀行ともに医療機関向けのチームを組んで、専門的に対応をする体制 を構築してきております。 高齢化を引き金に、病院経営の在り方も大きく変わってきていると言うべきか、徐々に皆様の 取り組みが本格化し始めているのを感じております。 2007年の5月より医療法人の高専賃事業が解禁されて早3年、漸く医療と介護の融合ビジネス が形をなし始めたというように解釈してよいのではないでしょうか。 試行錯誤とは言え、これまでどれだけ多くの医療機関が犠牲になったことか、 多くの失敗の上に漸く新しいビジネスモデルが確立されつつあるように思います。 しかし、現実、行政の対応や金融機関の対応においてそのビジネスモデルに対する認識が まだ不足していると言わざるを得ません。 現場からの積み上げモデルは絶えずこのような問題が付きまとう気がします。 今は、医療法人が取り組む高専賃事業の黎明期と言えるでしょう。 それゆえに最後の残されたチャンスが到来していると思います。 我々も金融機関とのより密接な連携のもとに、このモデルの推進に当って参ります。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

先日、紙おむつリサイクルのT社C社長様と面談をさせて頂きました。 その卓越した考えに大変感激を致しました。 高専賃事業と環境問題、今まであまり考えてこなかったことですが、 C社長とお話をして段々一つに繋がっていくのにはびっくりしました。 良く考えればその通りなんですね。 これまで施設のおむつの処理は産廃処理を行ってきておりますが、 それから先を考えることはありませんでした。 多くが焼却処理をしていたものと思われます。 このT社では紙おむつの供給とそのリサイクルを行っています。 ですから当然、焼却処理ではなく水処理でおむつの再生事業を行っているのです。 正にエコです。そのリサイクルシステムについてお聞きしましたが、 水溶化処理におけるCO2排出量は焼却処理と比較して           6分の1以下 となるのです。 紙おむつの生産枚数は年々増え続け2008年では120億枚を超えています。 特に高齢者の大人用紙おむつは年々増加しております。 よくよく考えるとおむつの処理の問題は重要なエコ問題だったのですね。 T社さんはいち早くこの分野に乗り出され、国内では初のリサイクルシステムを構築されました。 そのことで行政、医療、大学研究機関とも大変なネットワークを構築されておられます。 C社長口から出る言葉は、 医療と介護のネットワーク、メディカルケアタウン、エリアネットワーク化、ローコスト化といった   具合に、平素我々が口にしている言葉が次々に出てくるのには驚きました。 紙おむつから出発して環境問題、医療と介護の改善、地域づくりと、 その発想を広げてきておられることに感動致しました。 トドのつまり、一つのことを突き詰めていくと、行きつくところは同じなんだと思いました。 話はおむつの問題にとどまらず、今後高齢者事業において、私が言っていたフリーの概念が この社長との話でより現実的になっていくのを感じました。 おむつ処理でCO2排出量が削減され、それがエコポイントとして利用者に還元される。 空調を必要としないエコ住宅技術による高齢者住宅において省エネを実現する。 それが又、施設に還元される。 屋上緑化でCO2削減につながる、ケナフの栽培にてCO2を吸収し、更にケナフを紙おむつ 業者が購入して、施設に還元する・・・・・等々 話が尽きない。 エコを通してフリーの考えが次々と広がっていく。 C社長からはこれからは医療・介護の世界だけではなく、環境問題も含めたところで高齢者 問題を考えるという視点を頂きました。 それと今後の事業提携の可能性を強く感じました。 ありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願い致します。 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

今日は一冊の本をご紹介したいと思います。 本の名前は「FREE(フリー)です。  著者はクリス・アンダーソン、出版社はNHK出版。 副題には、<無料>からお金を生み出す新戦略 と書かれています。 彼は「あなたがどの業界にいようとも<無料>との競争が待っている。 それは可能性の問題ではなく、時間の問題だ。 そのときあなたは、創造的にも破壊的にもなり得る。 このフリーという過激な価格を味方につけることができるだろうか? とにかくこの本は刺激的です。 彼の著書「ロングテール「売れない商品」を宝の山に変える新戦略」 における未解決の問題として始まったテーマであるが、 いまや次々とこの波が押し寄せています。 パソコンの値段も、 携帯端末の値段も、 車も、 ジーンズも、 紳士服も・・・ 彼が言うようにどの業界にいようともこの波からは逃れようがない。 私は介護事業も同様と考えます。 但し、そのビジネスモデルは20世紀の時代のものとは異なります。 アトム(原子)からビット(情報)に移行するどこかで変質したものであり、 ビット経済では95%がタダにしてもビジネスが成り立つ仕組みができる と言ってもよいかもしれない。 キーワードはビット経済ということです。 介護事業という極めてアナログの事業をデジタル化していくか、 これが課題なのではないかと考えます。 その兆しが既に現れています。 我々には限りなくフリーになっていく高専賃の姿が見え始めています。 何故に、数千万もの高齢者住宅に住まねばならないのでしょうか? 以前は数100万取っていた一時金が現在はゼロに、 ではこれまでの一時金というのは一体何だったのでしょうか? それをつきつめていくとフリーの概念に入ってきます。 月額の利用料も30万から20万にそして15万に、更に10万をきって8万5000円に、 究極は6万台になってくるのではないかと推測しています。 さあ~ 我々もFREE(フリー)の時代の準備をしましょう!100513_081007.jpg
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

国土交通省は生活支援サービス付の「高齢者賃貸住宅」に登録制度を新設するらしいですね。 各事業者が運営する住宅の状況を把握し、サービスの質を高める。 入居者と事業者への融資制度も拡充し、全国での普及を促す方針のようです。 そして新聞には、2020年に有料老人ホームなどを含め100万戸超を目指すが有力な業者 をどこまで増やせるかがカギとなると言っています。 しかし、その前にやることがあるのではと言いたい。 高齢者賃貸住宅の基準を厳しくし、低所得者の方々が入れるようなものをわざわざ制限し、 部屋の規模、装備を拡大するということは、誰を対象にしたものかを明確にしてもらいたい。 利用者や事業者の経営を無視した基準の強化をもって、拡充するといのは意味がわかりません。 行政の取り組みはいつも同じです。 実際の経営を行ったことのない方々がつくる基準はいつも現実を無視して、 そのしわ寄せを利用者と経営者に押し付けるものでしかありません。 今、最も必要なことは規制緩和です。 「規制を強化して、有力な業者をどこまで増やせるのか・・・」 全く現場がわかっていないと言わざるを得ません。 確かに悪質な業者は排除せねばなりませんが、規制強化がその解決策とは思えません。 規制を強化するのであれば、強化しても入居者が入れるだけの家賃補助や運営者の建築補助等が 伴わなければだめです。 融資を出しやすくするだけでは駄目です。 金利を下げることをうたわなけば駄目なんです。 低利融資を増やして、建築基準を見直し、入居者には家賃補助を行い、低所得者の 方々も入れるものを作るというのであれば筋が通りますが、規制強化だけを先行して拡充しても 何の意味があるのでしょうか? しかし、現在の国の財政負担を考えれば、 規制緩和こそ行わねばならない緊急の課題 なのです。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ