無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2010年06月

北関東において新しい動きが始まります。建築と高齢者住宅の運営を一体型で 行う会社が出てきました。建築会社と運営会社を一体的に展開し、地主に対して 効率的な提案を行っていくこと。これはこれからの建設会社の一つのKFS(成功 要因)となるでしょう。今日は建設会社の皆さんと一緒にこのスキームについて を議論をしました。 建築で利益を取ろうとすると、運営にしわ寄せが起きてしまいます。賃料を 多く取ろうとすると、これまた運営にしわ寄せが起きてしまいます。 逆に運営者が利益を多く取ろうとすると、建築や地主にしわ寄せが起きて しまいます。 入居者にしわ寄せするわけにはいきません。あくまでもマーケットインの発想 からすれば当然、妥当な入居金額が決まってしまいますので、ここから出発 をして、建築、不動産(賃貸)、運営でいかに富を分配するかという、三者が 共存できる仕組みが必要となって参ります。 介護事業者は以前から言われているのが10%の世界。売上高に対する 利益で10%を確保する、10%ビジネスです。 不動産投資は建て貸しで、投資額の10%の利回りを確保する。 建築は同じく利益率10%を確保する。 これが今回の最初のスキームになるのではないでしょうか。 10%の利益では不足というのであれば、最終的な利用者の金額から逆算 して利益を確保する方法を考えねばなりません。それが企業努力というもの ではないでしょうか。 但し、この事業の最大のメリット規模の利益を追求できる ということです。富の分配をしながら、永続的に地域に貢献し、多くの高齢者 が安心して住まうことのできるシステムを構築する。今回の取り組みはそういった 新しい発想に基づく取り組みになるでしょう。この会社と共に一気に量を確保する 戦略を展開したいと思います。 いち早い取り組みが何よりも重要です。 そういう意味でも、多角的な地域戦略を持つ同志を、もっと求めて行きたいと思います。
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先週末に旭化成ホームズさんの主催のセミナーで「透析病院が取り組む 透析療養支援型高齢者住宅」について講演を行いました。旭化成グループの 中でも旭化成メディカル様は透析関係の医療分野では大変なシェアをもつ会社です。 最近透析病院様が高専賃に大変関心が高く、医療向けの高専賃開発を勧めて いるホームズさんとの合同で関係の病院様に呼びかけての取り組みでした。 その背景について触れてみたいと思います。 日本透析医学会の2008年の統計では透析患者の平均年齢は既に65.3歳 と5年前に比べて2.5歳も高齢化しています。75歳以上のいわゆる後期高齢者 と呼ばれる透析患者は6万8000人を超えており(全透析患者の25%)、 この高齢透析患者の急激な増加が透析施設の運営に大きな影響を及ぼし つつあります。 糖尿病性腎症や腎硬化症など患者の高齢化に伴って、透析患者も増える という傾向があり、増加の一途をたどっています。現在年間約4万人の透析 患者が増加し、年間約3万人が亡くなるという構図があります。 年間1万人の純増となるわけですが、その1万人を患者を全国4000病院 が受け入れてます。従いまして、平均しますと年間1病院当り、純増2.5 人となります。ある意味で過当競争に入りつつあるのではないでしょうか。 かつては、通院しやすいように駅の近くに透析病院をつくることが透析病院 の成功のカギ(成功要因)でしたが、昨今は、無料送迎で患者の囲い込み を行うのが成功要因となってきました。しかし、今や、その無料送迎も患者の 高齢化に伴う通院困難と相まって、年々増加し、送迎コストもままならない 状況になりつつあります。 従って、今後の透析病院の成功要因の一つとして、 高齢者住宅一体型透析病院 の設立が脚光を浴びてきたわけです。 弊社がこれまで透析病院様と一緒になって開発をしてきた、高専賃併設 透析クリニックや、透析病院の1フロアー改築型高専賃の事例について 最新の取り組みをお話させて頂きました。 透析病院が開発する高齢者住宅の最大のポイントは低料金です。 透析患者の皆様方はどちらかというと就労機会が少なく、所得が厳しい という現実があります。いくら入りたくても高額な高齢者住宅には入ることは 困難です。弊社が取り組んだ透析患者様を対象とした医療型高専賃もそこが 最大のポイントでした。ここを間違わないようにせねばなりません。 それさえ誤らねば、これからは大変ニーズのある分野だと思います。
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Aging in Place 、すなわち「老いても住み慣れたところで住み続ける」という傾向が 昨今強まる中で、今後ますます高齢化率の上昇とともに、高齢者の居住地域のあり方が、 ますます問われる状況となっています。ひとつのモデルケースとして、 米国のNORC(Naturally Occurring Retirement Community = 自然発生的 リタイアメントコミュニティ=居住者に占める高齢者の割合が著しく高くなった住宅群 あるいは集合住宅を指すもの) について勉強する。 米国の高齢者像について一般的に言われている言葉として、“Productive Aging”があ ります。つまり、『高齢期になってもできる限り社会の中で何か役割を担い、サービスの 「受け手」としてよりも「担い手」であり続ける』という思想である。高齢者自身が住み 慣れた地域社会で最後まで住み続けるという“ Aging in Place”を実現していく ためには、大変重要な鍵となる概念です。 NORC における支援サービスプログラムは、行政、住民、民間( 住宅会社、慈善活動団体、 保健医療事業者等) がそれぞれ資金、場所、活動等を提供しながら、地域の住民に対し、 サービスを提供しようというものです。各NORC では、基本的には 主体事業者が全般的なサービス( 多くが有償) をコーディネートしており、その事業者 とは別に福祉関連事業者、住宅関連事業者、その他事業者と連携しながら多くの サービスを担っています。 NORC-SSP(NORC Supportive Service Program) のサービス内容は居住者の ニーズに応じて相違はありますが、共通するものもあります。共通するサービスは、 社会福祉関係プログラム、 保健医療関係プログラム、 教育的・娯楽的プログラム、 ボランティア活動プログラム の4 つです。 社会福祉関係プログラムについては、専任のソーシャル・ワーカーが中心となり、サー ビス等に関する情報提供や調整、公的な諸制度活用に関する相談や支援、日々の見守り、 アセスメント、家族とのふれあいなどを行っています。具体的には、家族・個人のカウンセ リング、ケアマネジメント、危機・緊急管理支援、自宅・病院訪問、金銭管理支援、配食 サービス、送迎支援、生活保護の相談、仕事の紹介、電話による元気づけ、買い物支援な どです。 保健医療関係プログラムについては、訪問看護協会などの機関とあらかじめパートナー シップ契約を結び、担当看護師が個別に訪問し、健康相談や指導を行う。地域の保健 医療機関と連携して様々な予防プログラムを実施したり、精神科医等の派遣を受けたりし ている事例もあるようです。具体的には、医療相談、血圧測定、健康情報・教育の提供、 精神的ケア、ストレス管理、看護師訪問、ダイエット教室などがあるようです。 教育的・娯楽的プログラムは様々なものがあり、昼食会を兼ねたレクリエーションプロ グラムなどは、外に出たがらない高齢者にとっては効果的なサービスのひとつのようです。 具体的には、映画鑑賞、読書会、唄を歌う、小物創作、ヨガ、ゲーム、コンピューター教室、 小旅行、ボランティア活動、友人との交流、世代間交流、昼食会、セミナー聴講 自宅リ フォーム等です。 こうしたプログラムは高齢者自身の積極的なボランティア活動により支えられていること も多く、また、高齢者以外の居住者がボランティアとして各種行事等の支援を行うほか、 寄附などを通じてプログラムを支えています。 これからの取り組みに大変参考になる事例です。現在ニューヨークには既に30ヶ所近い NORCがあるようです。
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埼玉にて小規模ローコスト型高齢者住宅セミナーを行いました。 朝日火災海上保険さいたま支店様で本格的なeL3募集セミナーを始めました。 今回のセミナーを皮切りに今後、朝日火災保険様の埼玉、柏、千葉、 以上の各支店でのセミナーを多頻度開催する予定にしています。 先般新聞にのりましたように、2035年には高齢者の過半数が三大都市圏に集中するという ショッキングな内容が報告されました。 特に、高齢者の数で埼玉県は前年対比4.9%の増加、千葉県でも4.7%の増加 といった具合に、高齢者数の増加率で第一位と第二位に両県がランクされています。 関東圏1都8県における高齢者の急速な増加とその対策は日に日に厳しさを増す ことになるでしょう。 2035年では2005年と比較して、全国では45%程度の増加ですが、 埼玉県では83%増、神奈川県82%増、千葉県でも77%増と、 今後各県共、とんでもない勢いで高齢者が増えていきます。 それは、1960年代以降仕事を求めて都市に出てきた世代が次々と65歳を超えるため、 今後は地方より急激な高齢化に直面するといわれます。 今後、埼玉県、千葉県、神奈川県において急速に増加する高齢者の受け皿づくりは、 もう待ったなしの状況になるでしょう。 セミナーに来られた方々からも物件紹介のお話を多数頂きましたが、これから広く介護事業者の 募集を始めねばなりません。 家賃保証と運営代行保証のW保証システムがそれの促進剤になってくれることを期待しております。 早くこのスキームを使って、運営会社の募集システムを作り上げねばなりません。 その意味では先日の地域ゼネコンさんが、この分野において 運営者としての名乗りを上げて来られたことは大変意義があると思います。 1件づつ立ち上げる のではなく、 ロットで地域で運営をしてくれる事業者が欲しいのです。 病院・調剤等の医療関係者、ゼネコン・不動産関係者等々、以前はこの事業の難しさから 進出を見合わせた方々もこのビジネスモデルの再構築により、今一度参入の兆しを感じて おります。
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厚生労働省は訪問介護・看護サービスを24時間提供できる仕組みを 2012年度に創設する方針のようです。 近く有識者で構成する検討会を立ち上げ、24時間サービスに必要な 報酬体系の在り方や人員配置基準を話し合うとのことですが、何故に そんなに時間がかかるのでしょうか? 12年度の介護報酬改定に反映させるべく、夜間や緊急時の介護・ 看護ニーズに対応できるようにして、高齢者が安心して暮らせる 介護体制を整備するのが目的のようですが、何故に必要なものを もっと前倒しをしないのでしょうか? 現行制度にも、夜間の訪問介護と昼間の訪問介護・看護のメニュー はありますが、報酬体系と人員配置基準が異なるために、これらを 統一した報酬体系を作り、24時間の訪問介護・看護を提供できる 仕組みとする方針です。 外部サービス型の高齢者住宅の場合、どうしても、通常のサービス だけではご利用者が満足のいくサービスを得るのは難しくなります。 介護保険サービスと保険外のサービスを四苦八苦しながら組み立て をしているのが現状です。 丸めの施設ではなく、外部付けで切れ目のない介護サービス体系 をつくろうとすると、上記の制度改正は不可欠ではないでしょうか。 そのためにももっと速やかな制度の改正が望まれます。現場の声を もっと聞いた上で、ハイスピードの改革をお願いしたいと思います。
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