無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2010年07月

(前回に続き) 熊本再春荘病院の松本先生によれば、在宅ホスピスをメディカルタウン構想の 中で進めていくためには、それは医師主導ではないのではないかというお考え があります。患者、家族、看護、介護のチームワークであり、地域を巻き込んで 「支える街づくり」が根底に求められているのではないかとのお考えかと思い ます。 医療の現場で在宅ホスピスに取り組む先生からこのような言葉が出るのが 大変印象的でした。 『現在の病院の役割は病気を治すこと、更に人の生老病死全体を考え、 人々が交流する場所に。そんな思いを持つ医療、福祉、行政関係者が 提案するのがメディカルタウンという位置づけ』を毎日新聞社の永山悦子氏 が説明をしています。 「お城の周りの城下町、お寺の周りの門前町のように、病院の周りに 人々が集うメディカルタウン、地域社会再生のヒントにもなりそうである」 と提言しています。 この提言は、このブログでも以前に紹介をしました、 法政大学教授の小峰 隆夫先生の『コンパクトシティ』 の考えに通じるものがあります。メディカルケアを中心とした地域の再生を試みる 動き、少子高齢化で街機能が拡散し、街の空洞化に歯止めがかからない。この 空洞化の歯止めをかけるためには、医療と介護による戦略的凝集によって街を 再生するしかないのではないかという考えです。 病院の近隣に医療型高齢者住宅、その近隣に介護型高齢者住宅、そして、 それらを取り巻く自立型高齢者住宅、そして圧倒的多数の自宅で生活する 高齢者という地域ネットワークが我々が目指すメディカル・ケア・タウン構想です。 何か地域を変革する大きな流れが起き始めているのではないでしょうか。 (次回に続く)
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(前回の続き) 地域によっては病院の事情もあって、九州なんかは少しベッドに余裕 があるので病院に入院してもらって最期を迎えるということもできますが、 東北とか関西では厳しい状況があるようです。 「最期は家で」都道府県別04年に死亡した人のうち自宅で亡くなった 人の割合(%) 厚労省調べ 1位 和歌山 16.4 2位 奈良  16.2 3位 新潟  15.9 4位 長野  15.5 5位 山形  15.0 6位 宮城  14.8 7位 三重  14.8 8位 滋賀  14.3 9位 兵庫  14.2 ・ ・ 39位 宮城 10.2 40位 高地 10.0 40位 佐賀 10.0 43位 熊本 9.6 44位 大分 9.5 45位 福岡 9.4 46位 長崎 9.0 47位 北海道 8.2 癌に関していえば、家で最期を迎えるのはなかなか難しくて、今日でも わずか5.8%程度とのことです。しかし、最期を家で迎えたいと確実に 考えている人が1割、できるだけ自宅で過ごして、最期は緩和ケア病棟 かそれまでの医療機関に入院するというのが5割と言われていますが 条件が整えば6割の方が実は家で最期を迎えたいというように考えらる そうです。それにはどうしても医療とは異なる体制の整備が必要なよう です。メディカルタウン構想もそこがポイントになるようです。 (続きは次回に)
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前回に引き続いてこのテーマで皆さん方の提案を紹介したいと思います。 中でも目を引きました提案は熊本再春荘病院 松本先生の「在宅」 というテーマでした。今回は、このテーマで少し述べてみたいと思います。 日本では御存じの通り、病院で亡くなる人の方が多いのですが、半世紀の 中で、その比率は劇的に変わっています。 1951年我々が生まれた年は82.5%の方が自宅で亡くなっていましたが、 2003年のデータでは自宅で亡くなる比率は何と13%と激減しています。 約30年前に自宅と病院・診療所の割合が逆転し、その後は一気に減少 してきています。2003年では病院・診療所で亡くなるのは81.6%となって おり、ほとんどの人が最後を病院で迎えるという構造になっています。 福岡の在宅ホスピスで有名な二の坂先生のお話によると世界と比較して 日本は在宅ホスピスという考えが非常に遅れていいると言われています。 オランダ:病院 35.3% 施設 32.5% 自宅 31% 癌の病院死亡割合 28% アメリカ: 同  41%  同 22%  同 31%     同     37% 日本  : 同  81%  同 2.4%   同 13.9%     同     93% 皆さんは、この数字をどう思われますか? 日本という国の形を考え直さねばなりませんね。 最近の傾向としては施設の看取りが段々質が高くなってきていると 言われておられます。 又、二の坂先生は自然死が倍増することで5000億円のコスト削減 といわれています。 この続きは次回に!
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本日は朗報がありました。弊社がこれまでご支援をして参りました医療型高齢者住宅 への行政監査の結果が出たとの御報告を頂きました。 昨年の5月にオープンをして初月で半分入居され、大変順調な滑り出しをした医療型の 高齢者住宅です。開設するにあたって行政に確認に参りました時には、このような医療 依存の方々を受け入れるのは病院でしかできませんので、非常に結構だということで スタートをしました。 サテライトクリニック、デイケア、訪問介護、訪問看護、居宅支援とフル装備の医療型 高齢者住宅(登録は住宅型有料老人ホーム)としての成功モデルとして大変注目を 浴びておりましたが、昨年の暮れに県並びに市の大勢の担当者にての監査があり ました。行政としても初めてのケースなので、問題がないかどうかの検討を頂いて おりました。 一旦3月には結果が出るということでしたが、更に追加監査となり、どのような結果が でるか大変心配をしておりました。 運営面では実際には、平均介護度が3を超える医療依存度の高い方々で病院から出 なければならない慢性疾患をもった高齢者が殺到され、改めてそのニーズの高さを実感 した次第です。 高齢者住宅でありながら、医療依存度の高い方を医療、看護、介護でどこまで見れるか という新しい試みであったように思います。我々も全力を挙げてご支援をし、医療型 高齢者住宅のモデルを作りたいと注力して参りました。現場も先生方をはじめとして 医療、看護、介護の連携のもとに新しい試みにチャレンジして参りました。 1年たった今では、十分に軌道に乗り、多数の看取りも行い、地域において本当に必要 なものとなって参りましたので、今回の検査の結果に大変注目をしておりました。 正に、今後の医療型高専賃の将来の可能性を判断する重要なものでした。 結論は、介護の一部において若干の補足があるものの、医療と看護の部分については そして介護との連携においては、何ら問題がないという判断が降りたようです。 本当に一安心です。 これは地域にとっては大変な朗報です。医療と医療が全面的にバックアップした高齢者 住宅が地域のメディカル・ケア・タウンの中核(ハブ)となることが、これで実証されたの ですから、この試みを全国に展開せねばなりません。本当にうれしいです。
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30年後の医療の姿を考える会 編の表記の冊子を勉強する。 「面白い人たちが、何やら面白いことを始めたみたい」・・・ 06年9月16日に「30年後の医療の姿を考える会」の第一回 会合が順天堂大学樋野興夫教授の発案のもと聖路加看護大学 二号館会議室にて開かれました。この内容が本になっています ので、数回にわたってご紹介したいと思います。 2007年にこの本が出版されているのを知りませんでした。 このように将来のことを真剣に議論している集団がいることに 感動を覚えています。 もう自分はいないかもしれない30年後に次代を残すものをという 思いで、医療者にとどまらず、より多くの異業種の人との討論の 場を設け、提案をしていくのはこんな時代にこそ急務とされている のではないかと、提唱者の樋野教授が語られたようです。 30年後という、近視眼的ではない鳥の目をもった視点で語り合い、 何かを生み出そうというのは、樋野教授の言わんとする 「意識的にはみ出す『胆力』が必要であり、なすべきことをなそうとする愛」 の具現化でありますと言われています。本当にその通りだと思います。 今こそ、胆力をもって、なすべきことをなそうする愛の力が必要な時 ではないかと思うのです。 この議論の過程で、市民が医療と結びつきながらも安心 して暮らし続けられ、なかおかつ医療者も学び、協力し合い、 癒されたりできる「メディカルタウン」という構想が沸き上がって きました。我々が提唱する「メディカル・ケア・タウン構想」もこの 延長上にあるのを感じます。
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