無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2010年09月

今までは棲み分けが決まっていた介護と看護の現場。 その現場では、サービスを受ける側も提供する側も、少し便利になる法案 が出てきました。利用者の方はより便利に、事業所側では、新たな商戦と なる可能性も秘めています。 これまで同じ介護保険を訪問介護と訪問看護で奪い合っていた構造が、 これで一体的にサービスを提供できる道が開けそうです。高齢者住宅事業に は追い風となりそうです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 『厚生労働省は訪問介護と訪問看護のサービスを一括して提供できる仕組みを 創設する方針だ。介護と医療の連携を促すため、2つのサービスを1つの事業所 で提供できるようにする。利用者のニーズにも柔軟に対応できるとみている。2011年 に介護保険法などの改正を目指す。 現在は「ヘルパーが家庭を訪問し、入浴補助などの世話をする訪問介護事業所」と、 「看護師が訪問し、患者の療養を支援する訪問看護事業所」という2種類の事業所 がある。これらに加え「複合型事業所」を新設する。 都道府県から指定を受けた複合型事業所は、訪問介護と訪問看護のサービスを 両方提供できるようになる見通し。介護サービスと医療サービスの連携を進められ るほか、どちらのサービスを手厚くするかといった調整もしやすくなるとみている。 報酬や人員の配置基準などの詳細は今後詰める。 現行制度では訪問介護と訪問看護サービスを両方提供したい事業者は、都道府県 からそれぞれ指定を受ける必要がある。片方の指定だけを取得する事業所もみられる ほか、利用者は別々の事業所からサービスを受けるため、サービス間の連携がとれて いないとの指摘も出ていた』
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

本日はある不動産管理会社から物件の相談を受けました。ある大手建設会社が 12億かけて高齢者住宅を作る計画のようですが、運営者がつかなくて、何とか なりませんかとの相談でした。 計画を拝見して、あ~いつものパターンだなと思いつつ、何でいつもこのような ものしか作れないのかと思ってしまいました。 1階がクリニック、デイサービス、訪問介護ステーションで、2階がショートステイ と保育所、3階から6階まで高齢者専用賃貸住宅という図面でした。特に高専賃 の部分は32㎡~64㎡まで3つのパターンの部屋で構成されており、家賃も8万 円台~13万円台までの設定がなされています。 高専賃の部分は明らかに自立型と思われる内容であり、大手の建設会社の プランに良くあるタイプとなっています。1階、2階に医療介護がついているから 自立の高齢者が入るだろうという思いこみで作られた典型的なパターンです。 例え自立でも将来介護が必要になれば1階、2階で対応できるので、高齢者は このような高齢者住宅を必要としているはずだ、という強い思いこみで作られた としか言いようがありません。 本当に高齢者がここで生活するイメージをしっかりともっておられるのでしょうか? この建物を1棟借りして運営するイメージをもっているのでしょうか? 本当に収益確保ができるという根拠をもって作られるのでしょうか? この辺が、よくわからないのです。イメージの不足というか、高齢者の心理がわかって いないと言うか。結局、高齢者の生活やそこで必要とされるソフトがわからないので、 このような曖昧なものを作ってしまうということでしょう。 これでは、誰も借りないし、入居もおぼつかないでしょう。高齢者の住まいは比較 的短期間でADLが低下し、例え入居の時に自立といえども、3年も経てば生活 支援や介護が必要になり、その時のことを想定した上で、終の棲家を選ぶという 高齢者の思考や心理を理解できていない高齢者住宅が何と多いことでしょう。 社会資本を無駄にしてはなりません。もっとしっかりと実体験を通して勉強をしても らわねなりません。高齢者の生活動態に併せたハードとソフトの一体型開発を 望みます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

本日はある地方都市で、社会福祉法人の方々、不動産、建築の方々と面談する 機会がありました。皆様方は感覚的に高齢化社会に対する対応をせねばと思い つつも、具体的にどのような対応をすべきかについて必ずしも明確なビジョンを お持ちではないと感じました。 全国で様々なビジネスモデルが誕生してきているにも関わらず、まだ市場において その動きが顕在化してきておりません。水面下で地殻変動が起きているのです。 介護療養病床の廃止猶予の問題もそうです。何故、旧モデルに戻らねばならない のかと不思議に思います。医療制度改革と同時に介護についても従来の社会的 入院を排して、新たに高齢者の多様な住まい建設とうたいながた、規制強化によっ て多様な住まいのビジネスモデルの芽を摘んでしまう。 その結果、高齢者の行くところがないということで旧モデルに戻ってしまう。こんな ことの繰り返しをいつまで行っていくのか、気が遠くなる思いがします。 本日、介護療養病床をもっている医療法人に意見を聞いてみました。長妻大臣の 発言に困惑しているとのことでした。民主党政権になって変わると思われながらも 今日まで引っ張って、今になって猶予? ではこれまで削減、転換してきた病院 はどうなるのでしょうか? あまりに無責任すぎます。 介護療養病床の病院経営では既に利益率は3%台に落ちてきています。いつまで 低生産性の施策を続けさせようとするのでしょうか?なぜ、病院はそれに甘んじよう とするのでしょうか? 現在既に、医療と介護の融合した新しい高付加価値ビジネスモデルが現れつつあり ます。それを助長するのではなく、時代を逆行する施策が取られようとしています。 あまりに経営ということが軽視されているのではないでしょうか。 もっと多くの方々が時代を先取りするビジネスモデルの開発に注力しなければ なりません。それこそが新産業を作るものであり、成長産業を育成することになると 思うのです。新総理も雇用の前に、雇用を創造する産業育成に全力を挙げてもらい たいと強く要望します。時代に逆行してはなりません。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

介護療養病棟は医療区分1、医療療養は区分3が増加 介護療養病床の廃止猶予に関して、参考までの下記の報告を記載しておきます。 今後廃止か延期かの議論の焦点になると思われます。医療区分1の定義と、どこ が受け皿になるべきかについて、十分に議論を尽くさねばならないと思います。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 施設類型別の医療区分 介護療養病棟で医療区分1の患者の割合が増えているのに対し、医療療養病棟では 医療区分3の患者が増加していることが9月8日、厚生労働省の「医療施設・介護施設 の利用者に関する横断調査」の速報値で明らかになった。 調査は今年6月23日時点の患者の状態像などについて実施。介護療養型医療施設 (病院)840施設、医療療養型医療施設1400施設、介護老人保健施設(老健)853施設 などから回答を得た。 介護療養病棟に入院する患者の状態像を見ると、医療区分1が72.6%で最も多く、 医療区分2は19.9%、医療区分3は7.5%だった。医療区分1の患者については、 2005年の57.9%、06年の55.8%と、5割台で推移していたこれまでの調査に比べ、 割合が10ポイント以上増加した。 一方、看護配置20対1の医療療養病棟の入院患者は、医療区分1が12.8%、医療区分2 が54.2%、医療区分3が33.0%。25対1ではそれぞれ、36.0%、43.3%、20.7%だった。医療 療養病棟で医療区分3の患者の割合は05年8.8%、06年19.0%、08年19.8%と年々増加 する傾向にあり、介護療養病棟と医療療養病棟との間で機能の分化が進んでいる状況 が明らかになった。 また、介護療養型老健の入所者は、医療区分1が76.6%、医療区分2が16.1%、医療区分3 が7.3%で、介護療養病棟の患者との間で医療区分の割合に大差はなかった。 ■介護療養病棟の医療提供割合、医療療養より低く 介護療養病棟で医療の提供を受ける患者の割合は、中心静脈栄養0.9%、気管切開・ 気管内挿管1.7%、酸素療法2.9%、たん吸引18.3%などとなり、いずれも20対1、25対1の 医療療養病棟の患者の割合より低かった。経鼻経管・胃ろうは36.8%で、医療療養病棟 よりも高かった。 ■最適な生活の場、医療療養や一般病棟より介護療養 また、介護療養病棟を対象に、患者にとって最適な今後の生活・療養の場を尋ねたところ、 現在と同じ介護療養病棟を選択した割合が57.5%で最も多かった。それ以外の場所では、 老健や特別養護老人ホーム、その他の介護施設、自宅を合わせた割合が32.3%に上った 一方、医療療養病棟と一般病棟を合わせた割合は8.6%にとどまった。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

介護型療養病床、2012年度以降も存続という内容が発表されました。 『2011年度末で廃止される予定の介護型療養病床に関し、長妻厚生労働相は8日、 衆院厚生労働委員会で「廃止は困難」と述べ、初めて正式に存続させる方針を明ら かにした。必要な法改正案を来年の通常国会に提出する考えだ。 高齢者が長期入院する療養病床には、医療保険を使う医療型(約26万3000床) と介護保険を使う介護型(約8万7000床)がある。医療の必要性が低いのに入院し 続ける「社会的入院」を減らすため、厚労省では、介護型に対し、老人保健施設や 特別養護老人ホームなどへの転換を促してきた。 ところが、厚労省による4月時点の調査では、回答した介護型療養施設1954か所 (約8万5000床)のうち、「転換予定は未定」とする施設が61%。「地域で療養病床 が必要とされる」「受け入れ先を見つけられない」などの理由からだった。このまま廃止 すれば、入院患者が新たに“介護難民”化する恐れもあり、厚労省では、12年度以降 もどの程度まで存続させるかを含めて検討を急ぐ方針だ。』 (2010年9月9日01時53分 読売新聞) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 民主党に政権が代わってから凍結の方針が出たりしていましたが、正式に発表が あったのは今回が初めてではないでしょうか? 現場は大変混乱しています。 特に病院経営においては次の点が気になります。 医療区分の報酬の見直しは介護療養病床の延期されることであるのか? 医療区分1の患者が72.6%を占める介護料料病床において、存続させることで 報酬体系はどうなるのか?・・・低収益体制を助長するだけではないのか? 医療型と介護型の療養病床の医療区分ごとの見直しを含まないとすれば、 医療区分1が大勢をしめる介護型療養病床の経営はどうなるのかという心配が あります。・・・この点について少し調べてみたいと思います。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ