無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

2010年11月

本日は都内のあるビルダーさんを訪問。具体的な高齢者住宅の開発を行っているということでしたので御話をお聞きしました。多くのビルダーさんが一般賃貸が厳しくなっているだけに、皆さん、高齢者住宅に対して大変関心が高いようです。

今回も、既に計画から着工に入ろうとしているプランがありました。只気になる点がありますので、今回の事例での問題点について触れておきたいと思います。

約200坪程度の土地に延べ床でやはり180坪~190坪程度の高齢者住宅を計画されております。これはほぼ我々の小規模ローコスト高齢者住宅のeL3とほぼ同様の規模なのですが、中身は、概ね25㎡の御部屋が中心で、2階に8室自立型。1階はデイサービスとドクターの診療室、訪問介護事業所の事務室で構成されています。1階部分はテナントで入ってもらい、2階の高齢者住宅はビルダーが直接管理をするというスタイルです。

以前、大阪で同様のコンセプトの高齢者住宅をみておりましたので、あ~同じかというイメージでした。多くのビルダーさんが考えるパターンであり、ここに落とし穴があるのです。

いくつかの錯覚があります。
①1階にデイサービスや訪問介護事業所があれば、2階の高齢者住宅は
   直ぐに埋まるであろうという錯覚
②2階に高齢者住宅があれば、1階のデイサービスや訪問介護事業所の
   リーシングは難しくないであろうとの錯覚

結果からいえば、大阪の例でもありましたように、なかなか入居が埋まりませんでした。デイサービスは上が自立の方々の25㎡のお部屋で、部屋数も少ないので、利用者としての相乗効果はあまり期待できません。従って、外部を対象としたデイにならざるを得なく、高齢者住宅とのシナジーはほとんどありません。実は双方にメリット性があまりない施設になってしまうのです。ただ単に高齢者施設であるデイサービスと訪問介護事業者が
賃貸住宅の1階にあるというだけのものにすぎません。そのことで、住宅の家賃もプラスαが取れるわけではありません。

又、入居者も介護が必要になったときには24時間で支援ができるわけではありませんので、他の施設に移らざるを得ない、そうなるとほとんど一般賃貸とかわりません。要は、コンセプトが弱い高齢者住宅にならざるを得なく、双方の入居が厳しいという結果になってしまう恐れがあります。是非、お気をつけ頂きたいと思います。

本日の新聞に表記の記事が載っています。2010年も終わろうとしている
のに、何で08年度の医療費の記事がでるのか、よくわかりませんが、恐らく09年度は当然35兆円を超えているものと思われます。

総額は前年度比2.0%増の34兆8084億となり、ついに国民所得に対する医療費の割合は9.9%と1割に迫ったとのことです。

その要因はがんなどの治療費が全体の12.8%(0.8%上昇)を占めたのが特徴であるが、高齢化などの影響もあって医療費の負担は膨らんでいます。

08年度の国民医療費の増減要因を分析したところ、技術進歩の押し上げ効果は1.5%分、高齢化は1.3%分となったと報じております。

国民一人当たりの医療費は2%増の27万2600円で過去最高。年齢層別では65歳未満の平均が15万8000円に対して、65歳以上は67万3400円と現役世代の4.2倍、75歳以上では83万円となり5.2倍になるようです。

医療技術の進歩や高齢者増加などの傾向は大きく変わらず、今後も国民医療費は増え続ける見込みで厚労省は「10年~25年度に平均で年2.2%程度増える」と分析しています。

高齢化に伴い、医療費が増大するのは避けられない傾向ではありますが、もっと改革のすべはあるように思うのです。現在の医療についても一度仕分けしてみる必要がありそうです。医療改革と高齢者の問題は切っても切り離せない問題であり、在宅を切り口に医療と介護の制度そのもののを総合的に見直す必要があるのではないでしょうか。

人福祉事業者倒産 過去最高(平成21年度)

今年の1月に大手民間信用調査機関の帝国データバンは平成21年の老人福祉事業者・医療機関の倒産件数は過去最高」とする調査結果を発表しましたが、その動向が気になります。

 ※老人福祉事業者とは次の施設を対象にしたものです。
   養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウ
   スを含む)、老人福祉センター、老人デイサービスセンター、老人短
   期入所施設の運営および、移動入浴サービス、在宅介護サービス
   (医療は行わず日常生活の介護)を行っている事業者を対象

それによれば、老人福祉事業者の倒産件数は平成21年は32件。市場の急激な拡大に伴い競争が激化した結果、老人ホームでは入居一時金の引き下げや入居率の低下を招き、事業に行き詰るケースが増えたと報じておりました。

負債額は、1奥円未満が68%、又75.5%が業歴10年未満。このように、業歴も浅く、規模も小さい事業者が多いことから、再建型の民事再生法も適用できないことも多く、倒産様態は破産が全体の83.3%を占めたようです。

一方、医療機関の倒産件数は52件。特に、年々施設数が増加している診療所と歯科医の倒産が多いようです。

医療も介護も成長分野といわれる反面、大変な競争の時代に入ってきております。

今年も後残すところ1ヶ月となりましたが、今年の状況が更に気になります。もし現在検討されている2割負担の問題が表面化すれば、一気に施設経営を直撃することになるでしょう。どのような環境下にあっても生き残れる、成長できるモデルを作り上げねばなりません。

2010. 11. 9
日経メディカル2010年11月号「トレンドビュー」(転載)
介護病床、廃止“延期”の裏側 慢性期病院、介護施設の大再編も?
「2011年度末までに介護療養病床を廃止するのは困難であると考えざるを得ない」─。
このテーマに関する記事がのっていましたので、要点を抜粋しておきます。ただ単に廃止だけではなく、病院や介護施設等の医療と介護全般の改革につながってきそうな感じです。今後の医療型高齢者住宅の取り組みにおいて注視しておかねばなりません。
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9月8日の衆議院厚生労働委員会。長妻昭厚労相(当時)は、廃止の方針に関する民主党議員の質問に答え、存続に向けて通常国会での法改正や廃止猶予措置の実現に取り組んでいくと述べたのが発端です。

老健施設への転換進まず介護療養病床の11年度末での廃止の話が持ち上がったのは、05年12月。厚労省の医療構造改革推進本部が、医療の必要性を軸に療養病床を再編する方針を打ち出したことから始まる。療養病床は、医療必要度の高い患者だけを受け入れて医療保険で対応し、医療必要度の低い患者は在宅や介護老人保健施設で対応することで、社会的入院を減らし、医療費を削減する狙いがある。

その後厚労省は、「入院患者の行き場がなくなる」という批判をかわすために、老健施設など介護施設への転換を支援する様々な策を打ち出し、医療施設・介護施設を合わせた病床数は維持しようとしてきた。

だが、廃止決定から実施まで5年以上の時間があった上、日本慢性期医療協会が早急に転換しないように会員施設に勧めたこともあって、転換は進展しなかった。それもあって、06年4月と10年4月を比べると、介護療養病床は、12万700床から8万7142床へと、約3万3500床の減少にとどまっている。

長妻前厚労相の答弁の際、厚労省が公表した調査の結果からも、転換が進んでいないのは明らかだ。

同省が、今年2月に療養病床を持つ5551施設を対象に行った「療養病床の転換意向等調査」では、91%の施設が回答を寄せた(回答施設が持つ介護療養病床の合計は約8万5000床)。

調査の結果、これらの施設全体で、これまでに約2万1000床の介護療養病床の転換が行われたことが分かった。だが、その約9割は医療療養病床への転換。厚労省が期待した老健施設への転換は1000床程度にとどまった。

今後の転換意向も、未定が61%、医療療養病床への転換が22%で、老健施設への転換は13%しかない。

介護療養病床の廃止を中止・延期するには介護保険法の
改正が必要。参議院では「廃止」を決めた自民党など野党が多数を占め、民主党の思い通りに事が運ぶ保証はない。


今回は、詳細な調査が行われた。「医療施設・介護施設の利用者に関する横断調査」がそれだ。「この調査によれば、介護療養病床の入院患者の36.8%が経鼻経管や胃ろうで栄養を取っていることが分かった。従来型の老健施設ではこうした患者は7.3%にすぎず、患者を老健施設や在宅へ移すのは無理」と言われている。

12年度の診療報酬と介護報酬の同時改定を機に、「厚労省が急性期ではない一般病床や介護施設全体の再編を考えているフシがある」と言う。

同省は、08年の診療報酬改定後、医療療養病床と看護配置13対1、15対1の一般病床の医療内容の実態を別々に調査した。しかし今回は、介護保険施設も含めてすべて一緒に調査しているため、そう推察しているという。

そうだとすれば、介護療養病床の将来像だけを議論してもあまり意味がなくなる。厚労省は、年内には介護療養病床の今後の方針を決める予定だが、その過程で、急性期以外の病院や介護施設の再編の方向性も浮かび上がってくるとみられる。

サービス付き高齢者住宅、24時間介護との組み合わせで
2010年11月11日(木)18時57分配信 医療介護CBニュース 
表題の記事がのっておりましたので、少し時間は経過しますが、重要とおもわれますので掲載しておきます。制度が大きく変わってきます。願わくば規制緩和の方向で進めて頂きたいと思います。
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国土交通、厚生労働の両省は11月11日、安否確認や家事援助などの高齢者支援サービス
を提供する「サービス付き高齢者住宅」(仮称)を創設し、24時間対応の定期巡回随時対応
サービスなどを組み合わせる方針を明らかにした。同日開かれた民主党厚生労働部門会議
の介護保険制度改革ワーキングチーム(主査=藤田一枝衆院議員)で示した。

現行制度では、有料老人ホームは老人福祉法で、高齢者専用賃貸住宅(高専賃)は高齢者居住安定確保法でそれぞれ規定されている。両省の案では、来年の通常国会に高齢者居住安定確保法の改正案を提出。一定基準を満たした有料老人ホームと高専賃を同法の下で一元的に再構築した新たな制度、サービス付き高齢者住宅を創設する。現行の高専賃の仕組みを踏まえ、都道府県への登録制度とする。

また介護保険法を改正し、24時間対応の定期巡回随時対応サービスを創設。サービス付き高齢者住宅に24時間サービスを組み合わせた仕組みを普及し、中重度の要介護者が長く在宅生活を継続できるようにしたい考えだ。

国交省は来年度予算の概算要求で、サービス付き高齢者住宅の供給促進経費として350億円を計上している。この住宅を整備する民間事業者や医療法人、社会福祉法人などに対し、1戸当たり100万円を上限に建設・改修費を直接補助する方針だ。

また、この住宅の整備に向けて住宅金融支援機構の融資要件を緩和するほか、所得税・法人税に係る割り増し償却や固定資産税の減額、不動産取得税の軽減など税制面での優遇にも取り組む方針。

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