無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2010年12月

航空業界が新たな競争の時代に入りました。羽田空港の国際定期便復活に伴い、海外の格安航空会社(LCC)が日本市場開拓に動き始めました。

これに対抗するため、全日空が年明けにLCCの設立に乗り出す予定です。伊東信一郎社長の談話が載っていました。その要旨は次の通りです。我々にとってもとっても刺激的な内容ですので、掲載しておきます。

・アジアの大手LCC、エア・アジアX(マレーシア)が羽田に就航した。明けてはならない パンドラの箱が開いた気分だ。路線が単発で増えるだけなら恐れることはない。 ただ、関西国際空港などを基地化して集中的に便を飛ばすようになれば大きな脅威となろう。

・欧州ではLCCのライアンエアー(アイルランド)が国際線を席巻し、既存の大手は 合従連衡に追い込まれている。米国でも同業のサウスウエスト航空が国内線を押さえている。

・日本でもそういう時代がやってくるかもしれない。我々は自らLCCを設立することで先手を打つ。

若干の共食いは覚悟している。それよりも新規需要が生まれることが大切であり、そこから得られる利益の方が大きい。
・なるべく11年中の就航を目指す。厳密な試算ではないが、1機につき年間40万人が 利用すれば、スタート時の4~5機で200万人、15機に増えれば600万人が利用する計画だ。

・運賃は大手の半額程度を目指すがどうやって低価格を実現するのか?の問いに対して、LCCは飛ぶことに専念しており、食事などの付帯サービスは有料だ。この姿勢を追求することだと思う。機材の稼働を上げ、一座席あたりのコストを抑える、航空機誘導などの地上業務については、全日空のグループ会社に委託をするようなことはせず、入札で選びたい。チケットもインターネット販売を活用して代理店販売コストを省く。どこまでも徹底してコストを下げられるかがポイントだ。

全日空の連結子会社とせず別ブランドで運営をする。本体との勝負は覚悟の上。

・LCCへのシフトが進めば、本体の収益減につながるリスクもはらむが、旧態依然のやり方が通用する時代ではなくなりつつある。

・全日空の挑戦は日本の航空地図を塗り替える可能性を秘めている。
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いよいよ来年は、高齢者住宅市場にLCC版のeL3(エルスリー)が本格的に登場することになります。旧態依然としたビジネスモデルでは通用しない時代が開けようとしています。
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先般表記のような記事が載っていました。

『有料老人ホームの契約を巡るトラブルが多発し、消費者被害が拡大しているとして、消費者庁の監視役である内閣府の消費者委員会は18日までに、消費者委の設置法に基づき、細川厚労相に対して改善措置を求め建議した。来年6月までに厚労省に実施状況の報告を求める。

消費者委によると、国民生活センターに寄せられた有料老人ホームに関する相談件数は2009年度で前年度比60件増の428件。このうち老人ホームの契約や解約を巡る相談が約8割を占めていた。特に目立つのが、入居金を前払いの形で支払う入居一時金に関するトラブル。

一時金の額は施設にもよるが、数百万円から数千万円程度と概ね高額で、

「やむを得ず退去する場合に一時金がほとんど返還されない」
「解約したが返還金が支払われない」


などという苦情が多かった。

消費者委は「被害防止策が必ずしも十分でない」として、90日以内の契約解除の場合、日割りの利用料分などを除く一時金の全額を返還する短期解約特例制度の法制化のほか、前払い金の保全措置の徹底などの改善策を求めることにした。』
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多額の一時金を取る従来型の有料老人ホームの形態のトラブルが絶えないというのはどこにその原因があるのでしょうか?

都市型の投資金額がかさむ有料立地での高額の有料老人ホームの場合は、どうしても初期投資回収型という側面から、一時金方式が高く成らざるを得ないと思われます。このパータンは、前払い金の保全措置があるのであり、それをしっかりと守ることが求められますが、問題はその償却方法にあると思われます。何年償却かが明確になっていないのと、年次別の償却割合に明確な基準がないのが問題と思われます。

しかし、根本的な問題は、入居時の説明責任がどれだけ果たされていたかにあるのではないでしょうか。

今後基準が厳しくなっていくことが予測されますし、もう一つの方向性は、入居一時金を取らない方向にいくことだと思われます。今後のローコスト型は圧倒的に後者が主流となるのではないでしょうか。
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前々回に官民が連携して鉄道、水、原子力、太陽光発電などのインフラ輸出を促進・・・と報告をしておりました。これまでの機材の単品売りではなく、システム全体をパッケージとして売り込む戦略が明確になったのは今年、大いに前進したという見方があります。

しかし、海外では、システム導入にあたって、個々の機材の性能や耐久性だけでなく、システム全体を実際に動かしたときの安全性や信頼性などを実証するよう、導入する側が求める傾向が強まっているようです。

この問題は、我々高齢者住宅をパッケージで新市場に提案していこうというビジネスモデルにも共通するものがあります。その内容を検証しておきたいと思います。

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『多少の不具合が生じても機材の供給者と「擦り合わせ」しながらシステムの問題を改善する日本の常識が海外では通用するわけではない。

例えば、日本側はシステムを構成する個々の機材の性能の高さ、日本での故障や事故の少なさを強調しがちだが、それに対し相手側は、環境が大きく違う場合でも日本と同じようにシステムが安全かつ効率的に動くのか、明確な保証を求めるわけである。

多くの日本企業は、こうした「システム・アシュアランス(保証)」と呼ばれる考え方自体に慣れておらず、システムを保証する根拠となる企画の導入も遅れている。これでは保証を求められても、うまく対応できないであろう。』

・・・インフラ産業を新たな市場に投入する時には「システム・アシュアラン
   ス」は当然の視点となるであろう


『海外のインフラ商戦で日本企業が直面する、別の「保証」の問題もある。システムを建設、納入する側が、長期間にわたるシステムのオペレーション(運転・運営)の保証も求められる例である。

アブダビの原発商戦で、60年間のオペレーションを保証した韓国連合に敗れたのは記憶に新しい。ブラジルの高速鉄道プロジェクトでは、三井物産、三菱重工などの企業連合が、40年間にわたる運営保証とう難題に直面した。

国がリスクを引き受ける格好の韓国と違い、日本は民間企業が負いかねるリスクをどこが取るのかの態勢が整っていないと言われる。』

・・・国家が保証できないのであれば、民間企業がそのシステムを構築す
  るしかない。それは新たな保証(保険)システムであり、お互いに保証
  する運営者組織を早急に作り上げねばならない。


ここまでがeL3バージョン2.0に求められるパッケージシステムである。
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後期高齢者の医療依存度の高さを裏付けるデータが出ています。高齢者の生活に医療は不可欠の様相を呈しています。参考までに下記により報告をしておきます。
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[医療費] 後期高齢者では、受診率の高さが医療費高騰の要因

(厚労省2010年12月22日 提供:WIC REPORT(厚生政策情報センター) 後期高齢者医療費の特性(12/21)《厚労省》

厚生労働省は12月21日に、後期高齢者医療費の特性について公表した。これは、平成20年度における若人(75歳未満)と後期高齢者(75歳以上)の医療費を比較・分析したもの。

後期高齢者の1人当たり診療費は85.2万円、若人の18.2万円と比べて4.7倍となっている。とくに入院では7.2倍(後期高齢者43.1万円、若人6.0万円)と、格差の大きなことが分かる。

また、医療費の三要素(受診率、1件当たり受診日数、1日当たり診療費)に分解して比較すると、後期高齢者では、若人に比べて受診率が高いことが如実に表れている。
外来では2.5倍、入院では6.6倍だ。さらに、1年間の受診頻度を示す1人当たり日数を比較すると、若人に比べて外来で3.3倍、入院で9.1倍という状況である。

こうした結果から、受診率の高さが高齢者医療費を押し上げる主因であることが伺える。
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前回のパッケージ型提案の話に続いて、今回はeL3(小規模ローコスト・ロープライス高齢者住宅)のバージョンアップのお話をしたいと思います。

高齢者住宅事業も実はインフラ産業としての位置づけができると思います。
今後競争が激化することが予測されます。様々な建設関係の方々や異業種の方々がこの分野を成長分野と捕え、今再び開発を加速度化させています。

今後の高齢者住宅開発の提案の差別化は正に高齢者住宅のパッケージ化にあるでしょう。

「高齢者住宅を通じて高齢者の安全・安心な生活を支援する」というメインコンセプトをもとにハードとソフトを更に一段バージョンアップをしていく必要があります。

これまでのeL3は小規模ローコスト・ロープライス用のハードと運営ソフトを組み入れたものでありましたが、今後の大量普及に備えて更なるバージョンアップを図らねばなりません。そのポイントを再度整理しておきたいと思います。

①箱モノをeL3用にパッケージ化すること。
  建築+設備(スプリンクラー、ナースコール込み)+厨房(新調理仕
    様)+特浴をパッケージ化
②食事をパッケージ化すること。
  小規模高齢者住宅を成立させるための、新調理方式をパッケージ化
    させる
  食材の調達+調理方法+調理シフトの組み合わせ
③生活支援システムをパッケージ化すること。
  生活と介護をパッケージ化すること。24時間切れ目のないトータルケ
    アを実現する
④介護と医療をパッケージ化させること。
  生活・介護と連携した24時間在宅医療とのパッケージ
⑤人材開発・人材育成システムをパッケージ化すること
⑥運営管理システムをパッケージ化すること

これらのトータルパッケージ化したものがeL3バージョン2.0となります。
更に、低利融資(又は助成)、空室保証、運営代行保証をバックアップシステムとしてパッケージ化することで更なるバージョンアップを図りたいと思います。

全く新しい高齢者住宅のあり方(eL3)を進化させて参らねばなりません。
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