無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2011年02月

昨日は廃校を高齢者住宅に転換できないかという話題でしたが、先般、空き家が増加している内容が日経で報道されていました。
2008年の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家率は13.1%で03年調査に比べて0.9ポイント上昇して過去最高を記録したようです。

この間に年間約20万戸の空き家が生まれていることになります。10年の新設住宅着工数は81万戸。1973年の191万戸のピークから半分以下に落ち込んだが、なお供給過剰が続いています。リクルート住宅総研によると、英国の空き家率は4.6%、フランスは6.5%。賃貸住宅の大量供給と高齢化の進行で日本の比率が突出しているといわれます。

その内訳をみると、08年は757万戸の空き家のうち賃貸用が55%を占めます。公団住宅を管理する都市再生機構は現在も76万戸の賃貸住宅を抱え、築30年以上の住宅が半数にのぼるようです。賃貸住宅の5%程度が空き家といいます。次いで空き家が多いのが転勤・入院などで居住者がいなくなった住宅で、空き家全体の35%を占めています。自宅を離れて介護施設や子ども世帯の住まいに移る高齢者が増えているといわれます。

空き家が年間20万戸生まれ、高齢者住宅が年間10万戸必要(高齢者住宅経営者連絡協議会)といわれます。

それでも今なお、税制面での優遇措置のある賃貸アパート・マンションを建てる動きが後を絶たないといいます。ストックが十分にある現在は空き家増加に拍車をかけているといわれ、高齢者住宅への転換が遅れています。税制も含めて抜本的な対策が必要とされています。加えて、不動産活用の一環としての高齢者住宅への取り組みへ向けて関係者の一層の努力が求められます。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

本日はある社会福祉法人の方々と面談をしました。eL3の導入に大変意欲的な法人です。来週お会いするのも社会福祉法人ですが、前回も報告をしましたように社会福祉法人の取り組みが活発化しております。旧モデルの有料老人ホームではコストの面で相乗効果を図ることが難しく、この分野の取り組みは活発化しておりませんでした。

我々が提唱する小規模ローコスト型の高齢者住宅のeL3(エルスリー)となりますと、特養待機待ちを含めて相乗効果が生まれてきます。特養と実は価格的にも入居者特性からしても相性が良いのです(最大の競合にもなるのです)。 

それをいち早く察知した社会福祉法人の方々が動き始めたということでしょうか。今後、社会福祉法人の方々との連携が重要になってきます。参考となる記事がでていますので、報告しておきます。
…………………………………………………………………………・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<特養老人ホーム入所への待機期間は平均1年3か月、最長11年>

「介護の不安」のアンケート調査によれば、4人に1人が「希望する介護施設に入れない」ことを挙げている。なかでも、入所待ちの高齢者が行列を作っているのが、特別養護老人ホームだ。なぜ特養ホームには行列ができるのか?

地方自治体や社会福祉法人が運営する特別養護老人ホーム(特養)では、介護保険制度で定められた施設サービスを受けられる。人気の理由は、何といっても費用の安さにある。

公的補助が出る介護保険施設なので、月額の利用料は居住費や食費、介護保険の自己負担分を含めて10万円程度と、介護付き有料老人ホームなどと比べて圧倒的に安い。それでも、食事、入浴、排せつ介助のほか、生活支援や健康管理、緊急時対応などのサービスは、介護付き有料老人ホームと同内容だ。

また、特養には要介護度の高い高齢者が入れるため、実際、(5段階で)要介護3以上の人が入所者の9割近くを占める。最期を看取ってくれる「終の棲家」であることも申込者が多い理由だ。しかし、希望者が殺到しているので、入所の順番待ちは長蛇の列になっている。

厚労省の調査によれば、2009年12月時点の入所申込者(待機者)は、定員とほぼ同数の約42万人。野村総合研究所の昨年3月の報告書によると、申し込みから入所までの平均期間は1年3か月、最長11年だった。施設ごとにも待機者の数は異なる。一般にどんな施設が人気なのだろうか?

「国が定めた介護士配置基準は、高齢者3人に対して介護士1人。現在、多くの施設はおおよそ2.5人対1人といわれますが、中には2対1や、個室を取り入れて1.8対1というところもあります。介護士が多い施設は人気が高く、ますます入るのが難しくなっています」(社会保障論が専門の結城康博・淑徳大学准教授)

※週刊ポスト2011年2月18日号

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

社会福祉法人の高齢者住宅への取り組みが活発化してきています。昨日も銀行様のセミナーで社会福祉法人が住宅型有料老人ホームができるのかというご質問がありました。社会福祉法人では公益事業として有料老人ホームの運営が可能ですが、会計処理において注意が必要のようです。下記により、その内容をお知らせしておきます。これから医療法人に続いて、参入が多くなってくることが予測されます。高齢者住宅市場に新たなコンペジターの登場です。
………………………………………・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
社会福祉法人、ということなので、原則的に、全体として「社会福祉法人会計基準」というものに基づきます。
その上で、社会福祉法人会計基準第2条に基づき、有料老人ホームの運営等の「収益事業」に係る部分については、次のような取り扱いを行なうことが定められています。
なお、以下の「法」とは、社会福祉法(旧:社会福祉事業法)を指します。

(公益事業会計及び収益事業会計)
第2条 法第25条第1項に規定する公益事業(以下「公益事業」という。)に関する会計及び同項に規定する収益事業(以下「収益事業」という。)に関する会計は、それぞれ特別会計として独立した会計単位としなければならない。
2 公益事業に関する会計の会計処理及び計算書類の作成は、この会計基準に準じて行うことができる。
3 収益事業に関する会計については、この会計基準は適用せず、一般に公正妥当と認められる企業会計の原則に従って行わなければならない。

したがって、有料老人ホームの運営に係る部分についてのみ、別途に分け、その特別会計の範囲内では企業会計原則を適用することになります。言い方を変えれば、一般の株式会社や有限会社と同等の取り扱いがなされる、と思っていただいても結構です。また、課税面でも同様です。

社会福祉法人会計基準関係の書籍、および企業会計原則関係の書籍を精読されることをおすすめします。
また、WAMNETに、関係資料が一太郎形式およびPDF形式で用意されていますので、こちらもごらん下さい。

● WAMNET(独立行政法人 福祉医療機構)

● 社会福祉法人会計基準
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb16GS70.nsf/vAdmPBigcategory60/49256FE9001ADF924925689B0006A5B4?OpenDocument

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

本日の日経に見出しの記事が載っていました。国土交通省は今年秋にも、独立行政法人の住宅金融支援機構が手がける一般賃貸住宅の事業者向け新規融資を打ち切る方針のようです。今後は融資対象を高齢者住宅や省エネルギー住宅に限定する方針です。都市の再開発融資も中小企業向けに絞り込むとのこと。

高齢者住宅の場合は、専門知識をもった職員が駐在して居住者の安否を確認するなど生活支援サービスの付いた住宅であることが前提となります。これは我々高齢者住宅を展開する事業者にとってはとっても朗報なのですが、問題があります。先般、住宅金融支援機構を訪問させていただいた時に次のように言われました。

「介護付の住宅は融資対象とはしない」というものです。

要は現時点では、安否確認や24時間対応の緊急システムを設けた自立向けの高齢者住宅は融資の対象とするが、介護付きの本格的な高齢者住宅については融資の対象としないというものです。聞き違いであれば良いのですが、その時の支援機構のお話ではそのように理解をしています。

国土交通省と厚労省が進める、生活支援サービス付高齢者住宅がどうも画一的で、各省庁が多様化する高齢者住宅を補足できていないように思えるのです

高齢者は自立支援、介護支援、医療支援と多様な支援を求めています。生活支援はそのうちの一部に過ぎません。もっと多くのサービスを求めているにもかかわらず、制度がそれについてこれていないのは誠に残念といわざるを得ません。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

介護療養病床の廃止期限、17年度末に先送り (厚労省2011年2月16日)

一旦凍結され、3年延期といわれていた介護療養病床の廃止が6年先まで伸ばされました。又、改革が先送りされることになります。新しいビジネスモデルの転換が必要なのに、本当にこれで良いのでしょうか?
………………………………………・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 厚生労働省は15日、介護型の療養病床を廃止する期限を6年間延期して、2017年度末とする方針を固めた。介護施設への移行が想定通りに進んでいないため、先送りが必要と判断した。今国会に提出する介護保険法の改正案に盛り込む方針だ。

 療養病床は、長期入院が必要な患者を受け入れている。ただ、行き先がない高齢者が長期間とどまり続ける「社会的入院」が問題化したことから、そのあり方が見直されることになった。医療保険が適用される医療型(09年7月で約22万床)と介護保険が適用される介護型(同約9万床)を再編する必要もある。

 再編にあたり、医療と介護の施設を一体的に見直す必要性から、診療報酬と介護報酬が同時に改定される18年4月に合わせて廃止する。その間、介護型の新設は認めず、医療型や介護施設への移行を促す。長期入院患者を受け入れている一般病床は療養病床への転換を勧め、受け入れに必要な数を確保する考えだ。

 介護型は、06年に医療費抑制策の一環として11年度末までの廃止が決まった。一方、民主党は09年のマニフェストに「計画の凍結」を明記。政権交代後、当時の長妻昭厚労相が廃止期限を先送りする考えを示した。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ