無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2011年04月

昨日に引き続きタムラプランニング&コミュニケーティング田村社長からの報告を続けます。今回は、料金のトレンド、運営主体並びにシェアについて説明のあった内容を報告しておきます。

①地域によって料金体系に差がでてきていること・・・九州、北海道で低料金化が進んでいます。
  九州は一時入居金57万円、月額10.2万円
  北海道は一時入居金70万円 月額10.6万円
  関西一時入居金340万円 月額16.3万円
  首都圏一時入居金562万円 月額19.3万円

  要介護の平均月額 141千円
  自立型の平均月額 187.8万円

②トップクラスのシエアの低さ・・・・市場規模に対してまだまだ参入の余地はあります
  メッセージで高齢者住宅シエア5.4%
  上位20社で約22%

③事業主体・・・医療法人の取り組みが先行しています
  医療法人              19.1%
  在宅サービス            18.1%
  不動産事業者           14.4%
  訪問介護事業者          14.4%
  建設、デイデベロッパー     6.5%
  社会福祉法人          5.8%
  NPO               2.5%
  その他             11.5%
  不明               7.7%
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シニアリビングセミナー2011にて弊社の出資者でもあるタムラプランニング&オペレーティング田村社長がこれからの高齢者住宅の開発に流れについてコメントをされましたので、そのポイントを報告しておきます。これからの流れを示唆したものとなっております。

1.高齢者住まい法が可決されれば供給が急増するであろう。法案が通れば夏場から受付が始まり、早くて11
     月施工が実現するのではないか

2.東日本大震災により需要が喚起されるであろう

3.介護保険法施行時のような状況となるが、施設系の供給は横ばいであろう

4.既存の介護付き有料老人ホームの入居率は上昇するであろう

5.居住系といえども、医療・介護サービスは必須となるであろう

6.サービスなしには入居者は集まらないであろう

7.施設系と居住系の統合が進むであろう
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昨日参議院を「高齢者住まい法」改正案が通過したといいますが今日の新聞にもあまり記事になっていないようです。これが通過したことでこれからの高齢者住宅開発大きな影響がでてくるものと思われます。

どちかというとこれまで2006年以降規制強化の影響で需給ギャップが拡大してきたこの市場において、一気にそのギャップが解消する方向に進むのではないかと思います。タムラプランニング&オペレーティングの田村氏が言うように、2000年の介護保険後にグループホームや介護付き有料老人ホームが一気に市場に投入されたような状況になるのではないかと推察されます。

グループホームでもピーク時に年間27,000戸、介護付き有料でも23,000戸です。それがこの後、夏場に申請開始となっても10月過ぎから着工となますから、半年で30,000戸の供給が始まるとすれば、どれだけ市場が過熱するでしょう。

しかし、懸念するのは誰が運営をするかということです。難易度の高いサービス付高齢者住宅を一体誰が30,000戸も運営できる力をもっているというのでしょうか?

以前のグループホームや介護付き高齢者住宅は介護保険は丸めで介護度に応じて定額制ですから、どちらかというと運営をしやすいという利点がありました。介護保険が始まったばかりで民間企業や医療法人を新しい事業に誘導する意味もありました。

しかし、サービス付高齢者住宅はこれまで多くの先人が失敗をしてきたサービス外付けの難易度の高い商品です。

国会答弁で国土交通省は廉価な価格帯でのサービス提供を考えているようです。月額利用料としては12万円~13万円程度を考えているようですが、これだけではサービス付高齢者住宅は運営ができません。いかに介護保険を上乗せして経営を行っていくかがポイントになります。

そのためには、不確定な介護保険を充てにした不確定なサービスを提供しながら経営を成り立たせていく経営力をもっている運営会社が必要となりますが、果たしてそのような力ある運営会社がどれほどいるのでしょうか?

又、どうしても25㎡以上の居室面積が必要となれば、その分利用料金に跳ね返り金額が高くなると、今度は入居リスクが高くなってしまいます。

下手をすると助成金目当ての建築が先行し、運営者がいない、又は運営者がついても経営がなりたたないという高齢者住宅が乱造されるのではないかと心配しています。

リスクの少ない高齢者住宅を大量に市場に投入しするには高齢者住宅事業のLLC(ローコストキャリア・・・低価格航空会社)である我々のeL3(小規模ローコスト型高齢者住宅)以外には考えられないというのは考えすぎでしょうか?
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高齢者住宅経営者連絡協議会より本日、下記の連絡が入りました。

陽春の候、皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
平素、協議会の運営につきましてご協力いただき誠にありがとうございます。

さて、本日「高齢者住まい法」改正案が参議院本会議を通過しました。
衆参両本会議にて表決の結果、可決・成立の運びとなったことをご報告いたします。
こちらには付帯事項がいくつかございますが、詳細は追ってご案内致します。

公布は5月2日(月)、官報に掲載予定との情報をいただいております。
取り急ぎ情報まで。
………………………………………・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いよいよ法案の成立のようです。日曜日の日経ヘルスケアのセミナーでこれから参議院に送られ、
連休明けに成立か、と言われていただけに驚くべきスピードです。
動きが加速度化してきます。
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前回に引き続いて国土交通省の伊藤課長のセミナーの話を続けます。高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部改正法案の概要で説明されたのが次の内容です。

目的:高齢者の居住の安定を確保するため、バリアフリー構造等を有し、介護・医療と連携して、高齢者を支援するサービスを提供する「サービス付高齢者向け住宅」の登録制度の創設等を行う。尚、所管は、国土交通省・厚生労働省共管の制度として、都道府県知事への登録制度とする。

<概要>
1.登録基準 ※有料老人ホームも登録可((登録を受けた場合には有料老人ホームの届出不要)            
  ①住宅・・・床面積(原則25㎡以上)、便所、洗面設備等の設置、バリアフリー
  ②サービス・・・サービスを提供すること。(少なくとも安否確認・生活相談サービスを提供)
  ③契約・・・高齢者の居住の安定が図られた契約であること、前払い家賃等の返還ルール及び保全措置が  
         講じられていること

2.事業者の義務
  ①入居契約に係わる措置(提供するサービス等の登録事項の情報開示、入居者に対する契約前の説明)
  ②誇大広告の禁止

3.指導監督
  ①住宅管理やサービスに関する行政の指導監督(報告徴収・立ち入り検査・指示等)

4.その他
  ①高円賃・高専賃(登録制度)、高優賃(供給計画認定制度)の廃止
  ②高齢者居住支援センター(指定制度)の廃止

心配していました有料老人ホームの制度は、従来の老人福祉法として存続しますので、どちらかで登録、又は届出をすることになりそうです。この両方を使い分けることで面積基準をクリアーすることができそうです。一番恐れていたのは、住宅型有料老人ホームも面積基準でサービス付高齢者住宅の基準に合わされることでした。

国土交通省は住宅をベースに、介護が必要な人は介護保険法改正による「定期巡回随時対応サービス(平成24年4月~)」等と組み合わせた仕組みを普及させたい考えです。
しかし、依然として国土交通省と厚生労働省の壁を感じざるを得ません。高齢者にとっては、国土交通省と厚生労働省どちらでもよいのです。それぞれの状態に合わせた最適な住まいを提供してくれれば良いのです。ケースバイケースで良いのです。制度、法律はどうしてもこの壁を越えてくれないのでしょうか。
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