無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2011年07月

先日、新聞に見出しの記事が出ていました。徐々に市場に浸透してきています。この姿を我々は高齢者住宅に置き換えます。主要な記事を抜粋しておきます。非常に示唆に富む内容が含まれています。
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日本の空路がが大きく変わろうとしている。大手航空会社より料金が大幅に安い格安航空会社(LCC)事業に全日空と日本航空が進出、アジア各国のLCCも日本便を相次いで開設・増便している。LCCがアジア各地を結ぶ空のネットワークを充実することで、人の流れが変わるのは確実。同時に既存の大手航空会社の経営を揺さぶる。

日本の国際線は合計で週3000往復。LCCのシエアは約3%にとどまるが、10年以降に路線や便数は倍増した。いずれ30%前後を占める欧州主要国と同じような構図になるといわれる。急成長を支えているのは安さだ

客室乗務員は機内の掃除もする。間隔を狭くして座席数を増やし、機内食は有料化。中には機内のトイレ有料化や肥満体の人は追加料金といったメニューを考えたLCCもある。あの手この手でコスト削減を図り、大手航空会社の5~7割の運賃で人を運ぶ。

海外に比べ日本勢は出遅れている。しかし、「アジアでも既存航空がLCCに浸食される時代がくる」(全日空の伊東信一郎社長)とエンジンが掛り始めた。

全日空が香港の投資会社などと設立したLCC「ピーチ・アビエーション」。来春の運行開始を目指す同社の幹部は最近、「コールセンターは本当に必要なのか」という、アイルランドのLCC、ライアンエアーのパトリック・マーフィー元会長の質問に言葉を失ったといわれる。

マーフィーはライアンをLCCに変身させ、欧州最大の航空会社に育てた当事者である。ピーチのアドバイザーに就任後、子細な指示を出す。

全日空から引き算をしてもLCCにはならない。ゼロから作り上げろ」。業界の常識を疑うところから出発をするマーフィー氏の注文を受け入れながら、ピーチの準備は急ピッチで進む。

LCCは乗客の半分がこれまで航空機にのらなかった層と言われる。旅客数が頭打ちになっている国内航空大手にとってLCCは新規顧客開拓の有力な手段。
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本日の日経に「介護給付適正化進まず」という記事が載っていました。無駄な支出の抑制に効果的といわれる介護・医療情報の照合や、給付費の比較を実施している市町村は60%台にとどまるというものです。

無駄な支出の抑制、負担増を抑えるための適正化、給付費抑制策7項目・・・という言葉が躍りますが、一体これはどういうことでしょうか?行政の役目は一体何でしょうか?
適正化のための指導体制は一体どうなっているのでしょうか?無駄な給付が行われないように絶えず監視するのが行政の役目なのでしょうか?あまりに発想が貧困すぎます。
高齢者の生活や介護を支えるための施策を講じるのが行政の役目ではないのでしょうか?

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「介護保険給付費は高齢化の進展で増えている。09年度は6.8兆円に上り、制度を導入した00年度の2倍に膨らんだといわれます。ただ高齢者が過剰な給付を受けている例もみられ、保険料や公費の負担増を抑えるための適正化が課題となっている。」

「介護保険の運営主体は市町村。厚労省は08年度から都道府県を通じ、各市町村が7項目の給付費抑制策を実施するよう求めてきた。最も新しい09年度時点の統計をみると、介護の必要度を決める「要介護認定」が適切かどうかの点検については、市町村の93.6%が実施していた。しかし、7項目のなかでも効果が大きいといわれる介護・医療情報の照合に関しては、実施率が62.4%にすぎなかった月ごとの給付費を比べ、不正請求がないかどうかを点検している市町村も、68.3%にとどまった。」

事業者が作った介護計画(ケアプラン)の点検や福祉用具の購入・貸与の実態調査は、実施率が60%を割り込んでいる。」

厚労省は08年~10年度の3か年計画で、7項目の施策を一律に実施するよう要請をしてきた。だが実施率が想定を下回っているため、目標の見直しが避けられない。

「11年度からの新たな4カ年計画では、費用対効果が高い施策を優先するよう求める。たとえば介護給付費の利用者への通知は、郵送などの手間がかかる割に効果が見えにくい。
むしろ、介護・医療情報の照合といった施策を、地域の実情に応じて盛り込むことを推奨する。」

「十分な人員を確保できず、実施が進まない市町村については、国民健康保険団体連合会への業務委託などを促す考えだ。必要な経費8500万円程度を11年度当初予算で既に確保しており、市町村の要請に応じて補助する。」

市町村の介護給付費の適正化状況(09年度)
 ①要介護認定の確認            93.6%
 ②住宅改修の実施点検           73.5%
 ③月ごとの給付費比較           68.3%
 ④介護費用の通知             63.3%
 ⑤医療情報との照合            62.4%
 ⑥福祉用具の購入・貸与の実態調査   58.8%
 ⑦ケアプランの点検            56.4%    
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■施設サービスの利用者負担の目安
(1ヵ月。保険料負担第4段階以上・要介護5・甲地の場合)

                 合計    1割負担    居住費    食費      

特別養護老人ホーム   約8.1万円  約2.9万円   約1.0万円   約4.2万円    

特別養護老人ホーム
(ユニット型個室の場合) 約13.1万円  約2.9万円   約6.0万円  約4.2万円    

老人保健施設       約8.3万円   約3.1万円   約1.0万円   約4.2万円   

療養病床          約8.9万円   約3.7万円   約1.0万円   約4.2万円

※ 金額は標準的なケース(参考)です。
※ 居住費と食費は利用者と施設の契約により設定されます。

個室タイプとなりますと、特別養護老人ホーム個室型が一つの目安となります。ここをベースに今後の価格体系を組み立てねばなりません。
介護保険1割負担を除くと、約10.2万円となります。高齢者住宅において、10万円ハウスの実現が望まれます。

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介護給付費の格差1.6倍 09年度、最高は徳島28万円

 下記の「介護施設の利用が多い地域ほど介護給付費がかさむ傾向があり、保険料の上昇を抑制するためには、在宅や地域での介護の充実を図る必要がある。」とする見解には無理があるのではないでしょうか。
介護施設の利用が多い地域は、高齢化が進んでおり、自宅での介護が無理になってきている実情を反映せず、介護施設に利用が多いと決めつけるのはおかしいのではないかと思います。徳島県は平成21年の段階で高齢化率が26.6%とトップクラスの高齢化率を誇ります。埼玉県は20.0%と全国でも最低レベルの高齢化率です。両者を比較して一人あたりの介護給付額を比較するのはおかしいといわざるを得ません。

高齢化率が上昇し、後期高齢者の増加に伴い、重度化する高齢者に対して介護保険の上昇を抑制するために、施設、高齢者住宅、自宅といった総合的なインフラ整備を進めていかねばなりません。施設か在宅かという2者択一の評価では問題点の解決にはなりません。

 65歳以上の高齢者の1人あたり介護給付費で、都道府県の間に最大1.6倍の開きがあることが厚生労働省の調査で分かった。2009年度、最高の徳島県は28万1300円だったのに対し、最低の埼玉県は17万4100円にとどまった。介護施設の利用が多い地域ほど介護給付費がかさむ傾向があり、保険料の上昇を抑制するためには、在宅や地域での介護の充実を図る必要がある。

 09年度の1人あたり介護給付費の全国平均は22万5000円。18万円以下の埼玉県や千葉県は、65歳以上の人口に対して介護を必要とする認定を受けた人の割合が13%前後と全国平均(約16%)に比べ低かったほか、在宅サービスの割合も平均の50.7%を上回った。

 一方、徳島県は在宅サービスが42%にとどまり、施設サービスの割合が約46%と平均(40.6%)に比べて高い。長崎県は要介護者の割合が21%弱と全国で最も高かったが、地域密着型のサービスが15%台と平均(8.7%)を大幅に上回り、施設サービスの割合を38%弱に抑えたことなどから、1人あたり給付費は沖縄県や鳥取県に比べて低かった。

 介護給付費の総額は09年度に6兆8721億円と、制度が始まった00年度の2倍以上に膨らんでいる
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訪問介護、生き残りに保険外サービスも-訪問介護協議会・荒井会長が提案
2011年7月11日(月)

厚生労働省老健局の岸係長が個人的見解としつつも、24時間巡回型訪問介護と通常の訪問介護を併用することができない意向を示しています。サービス付高齢者向け住宅等高齢者住宅に併設する訪問介護事業所において、どちらの対応が主流になるのか、或いは規制が働くのか、注目すべき発言ではないでしょうか。
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全国訪問介護協議会の荒井信雄会長は7月9日、同協議会が東京都内で開いたセミナーで講演し、既存の訪問介護サービスを手掛ける事業者は、介護保険制度の改正や介護報酬改定といった「制度リスク」に備える必要があると指摘。家政婦紹介事業など介護保険制度の枠にとらわれないサービスへの参入を検討すべきと訴えた。

「事業継続のための生き残り戦略」をテーマに講演した荒井会長は、「時代背景や介護保険法、介護報酬が変わるため、(訪問介護事業者は)それに合わせて(事業戦略を)変えていかないといけない」と指摘。その背景として、地域包括ケア研究会が2025年の在宅サービスの提供体制について、「24時間365日での短時間巡回型の訪問サービスが中心」と提言している点や、来年4月施行の改正介護保険法に、▽都道府県が市町村との協議に基づいて訪問介護などの居宅サービス事業者の指定を取りやめたり、指定の際に条件を付けたりすることができる▽市町村が地域密着型サービスの事業者指定を公募で行うことができる―といった内容が盛り込まれている点などを挙げた。

その上で、訪問介護事業者にとっての「生き残り戦略」として、▽24時間体制で訪問介護と訪問看護を一体的に提供する新サービス「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(24時間訪問サービス)への参入▽低価格で家事代行などを行う介護保険外の「家政婦紹介所」の開設▽福祉用具貸与事業所の開設―などを提案。各事業者は経営革新に取り組む必要があると訴えた。

■24時間訪問と訪問介護、併用できない可能性も
この日のセミナーでは、厚生労働省老健局振興課の岸英二・基準第一係長を交えたシンポジウムが行われた。岸係長は「個人的意見」と前置きした上で、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスが、訪問介護に求められるニーズに対応し切る可能性は極めて高い」と述べ、利用者が両サービスを同時に利用できない可能性を示唆した。
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