無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2011年09月

以前日経の大機小機に「キャッシュ・イズ・キング」という記事が載っていました。

パナソニックの創業者、松下幸之助氏は大切な教えの一つに「経営はお金だ」という考えがある。一時的に投資などで減ることはあっても、最終的にお金がたまっていかない経営はどこかおかしいというものであるというものです。

「2008年のリーマン・ショック以降、企業経営の価値観は「キャッシュ・イズ・キング」に大きく変化してきた。お金を生み出す事業を育てるには現状を常に改革し、ビジネスモデルを効果あるものに変革していく必要がある。

その根底にあるものが、貸借対照表(バランスシート=BS)を軸にした経営である。経営革新は損益計算書(PL)からは生まれてこない。PLから生まれるのは改善にすぎず、抜本的に企業体質を変化させるには、トップが主導しBSの構造を変えていることが不可欠である。

いかなる事業、いかなる地域においても、経営理念とともにバランスシート中心の経営は、いつの時代も不変の要諦である。」

固定資産よりも流動資産、他人資本よりも自己資本、流動負債よりも流動資産によるキャッシュフロー経営を行わねばなりません。金融機関に大きく依存できない時代であるが故に、足腰の強い経営をおこなっていくうえで、不可欠の戦略といえます。
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本日は福岡でミサワホーム様主催の高齢者住宅についてのセミナーに出席しました。流石、ミサワ様で、九州全土から約30病院、50数名の出席者を集めておられました。いずれも医療関係者が中心で、病院、クリニック、診療所が取り組む高齢者住宅の開発についてそのノウハウをお話ししました。後の個別相談会も既に土地を取得して準備をしている病院さんが中心で、大変盛況でした。

本日私がご相談を受けました内容は、多くの病院関係者に共通する内容であろうと思いますので、ご紹介をしておきます。

土地も取得して、病院内部で既に検討も重ねてきておられるようでした。只、最終的に開発に取り組むにあたって、どうしても今一、決断できないハードルがあるとのことでした。それは、経費は間違いなく見込めるが、収入の見込みが立たないというものでした。

丸目報酬(定額報酬)の特定施設やグループホームと異なり、本当に入居された方々が介護保険をつかってくれる保証はなにもなく、売り上げ確保ができるかどうかが疑問という点を大変心配されておられました。この問題は病院関係者だけでなく、多くの運営者が確証を得られない内容なのです。それ故に、多くの運営者が基本料金に生活支援費としてプラスの経費を入居者に請求し、入居者リスクを負うと悪循環を繰り返して参りました。

先生もそれを心配され、どうしても収入を確実に確保する方法が見つからず、開発に踏み切れないというものでした。

私からは先日ブログでも書きましたが、月額利用料(家賃、食事、管理費)と介護度、介護保険適用率の3つの相関について説明し、確実に介護保険を活用するモデルについて説明をし、先生のご理解を求めました。その際に、内部に居宅支援事業所を抱えないことがポイントであることも説明をし、ご理解を頂きました。

医療法人が間違いなく、介護保険を活用するモデルができるとしたら、介護報酬と医療報酬のダブルインカムが実現し、高収益ビジネスが誕生するのです。従って、この問題の解決が医療法人がこの事業に取り組むかどうかの最大のポイントだといえます。

本日相談を頂きました医療法人様はその事業スキームがわかったがゆえに必ず取り組むことになるでしょう。一気に開発が進むことを祈念しております。
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前回に続き、サービス付高齢者向け住宅開発のポイントについて、最後に医療型について述べてみたいと思います。

 医療型になれば平均介護度は3~3.5程度となります。慢性疾患系の高齢者の患者の受け皿となる可能性が高く、医療連携は不可欠です。中でも入居者でもっともニーズが高くなるのが胃ろうの方やインスリンの夜間投入の必要な方となります。

 従って、24時間体制の医療と看護、介護のフルパッケージ型のサービスが必要となるのです 当然、24時間往診体制の取れる在療診の登録ドクターを配置することになるので、訪問診療報酬と介護報酬のダブルインカムによる収入を得ることができるので、収益率は高くなります。

 中でも介護報酬は、デイケアサービス、訪問看護、訪問介護と切れ目のないサービス(シームレスサービス)が可能となり、介護保険をまんべんなく活用することができるようになり、介護保険適用率も高く設定することができるようになります。 通常20%以上の収益を確保できる高収益型のサービス付高齢者住宅の開発が可能になるのです。 

医療法人がこの収益性の高さから、逆に利用料金を引き下げたロープラス型の高齢者住宅の開発に乗り出して来たら正に、鬼に金棒でしょう。
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前回に続いてサービス付き高齢者向け住宅の開発について、今度は介護型のポイントについて述べてみたいと思います。

 一定の介護が必要な人を対象とすると、今度は介護の要員の人件費が多くかかることになります。当然、介護保険を収入に見込まねばそれだけの要員を抱えることは難しいのはいうまでもありません。

 しかし、もともとの月額の基本料金(家賃+食費+管理費)が高いと1割負担の影響で介護保険を使わない傾向が強くなり、介護保険の適用率(介護保険限度額に対する介護保険使用率)が低くなる傾向があります

介護保険収益が見込めないため、介護スタッフの人件費を吸収できなくなります。結果として、収支と経費のバランスがくずれ、経営破たんとなる可能性が高くなるのです。

そこで、月額基本利用料をできるだけ下げて、介護保険を活用するスキームが必要となるのです。その為には入居者の介護レベルに応じて、それぞれの介護度別に介護保険適用率を設定し、全体として一定の介護保険を活用するきめ細かい対応が必要となります。

基本料金と介護保険適用率は1割の自己負担を巡って、お互いに相関することになりますので、基本料金に応じた適用率のシミュレーションが必要となります。即ち、基本料金が高いと介護保険の適用率は低くなると考えるべきです。

 双方が高い設定ができるのは富裕層を対象とする高齢者住宅のみではないでしょうか。

基本料金と介護度(対象者)と介護保険適用率(介護保険金額)はぞれぞれ相関し、この3つの最適バランスを考えることが計画上、最も重要な点になります。地域によって、対象者によって、このバランスの比率は異なると考えるべきす。

次回は最後に医療型のサービス付き高齢者向け住宅開発について述べてみます。
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前回に続いて、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のターゲットの選定(自立型)について考えてみたいと思います。

外部サービス付の高齢者住宅の計画で難しいのは収入の読み方です。その為には誰を対照するのかによってこの収益構造も変わってきます。自立型であれば、当然、介護保険を多く期待することは困難です。

 しかし、生活支援等のサービスはつけていなければ商品力が落ちることになります。そこで、要員を配置してサービスを行わざるを得ません。人件費が増加する分、それをライフサポート費用(生活支援サービス費)として利用料金に上乗せすると、全体の金額が大きくなり、入居リスクが高くなります。

即ち、家賃、食費、共益費に生活支援サービス費をのせると、月額利用料金がアップすることになるのです

 従って、このスキームが成り立つのは単価アップが図れる都市型とならざるを得ないのですが、地方都市では単純に上乗せはできないため、自立型単体は難しいといわざるを得ません。介護型との連動にて成り立つスキームと考えます。  
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