無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

2011年10月

本日の日経新聞の景気指標の欄で、見出しの記事が出ていました。急速に進む高齢化のなかで明らかに消費動向が変化してきています。コンビニのPOSレジのテンキーを変更せざるを得ない というローソン社長の話はその典型例でしょう。
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「高齢者のお客様が増えているのでPOSレジのテンキーを変更しないといけませんね」とローソンの新浪社長が言われている。コンビニの主要顧客層は若者が中心であったのが、高齢化社会の進展で客層が変わってきているようだ。

同社の顧客データでは全顧客に占める29歳以下の割合は1999年度の45%から、今上期は31%に低下。逆に50歳以上は20%から36%に上昇した。

POSレジには「年齢性別テンキー」があり、店員が顧客の年齢を推定して年齢層のキーを押す。だが、顧客が60歳代、70歳代であってもキーは「50~」(50歳以上)の1つだけ。国勢調査(2010年)で50歳以上の人口の割合は43%。50歳以上のキーの細分化を新浪社長は考えているようです。

消費は加齢と共に変化する。家計調査(10年)を分析すると、世帯当たりの生鮮野菜の支出が最も多いのが60歳代で、29歳以下に比べ2.1倍。コンビニが急速に生鮮類の品揃えを強化したのは高齢世帯への対応だ。

こうした例は食品だけではなく、パック旅行の支出が最大なのは70歳以上の世帯。最も低い30代の3倍となる。元気な高齢者が旅行産業をけん引する。

高齢化はこれからも続く。20年には約3590万人(高齢化率29%)へ増加する。人口減時代の日本で消費全体の大きな伸びは見込めないが、「停滞する日本経済の中で数少ない成長分野が高齢者市場なのは間違いない」(A・T・カーニーの後藤治パートナー)。

高齢化は消費構造の大きな変化をもたらし、企業や社会の形も変えていくであろう。

介護関連の収益拡大の記事が載っていました。高齢者住宅はインフラであり、その周辺ビジネスもその成長の波にのって事業を拡大してきています。建築、厨房機器、介護ベッド、食事サービス、リネンサービス、ファクタリング、介護用品レンタル・・・これらの事業は高齢者住宅の開発にセットで付いてくるものです。おのずと事業拡大の戦略がみえてくるというものです。

介護関連の収益拡大、パラベッドは営業益最高 4~9月
2011/10/29 2:00 情報元 日本経済新聞 

介護関連各社の収益が拡大している。介護ベッド最大手のパラマウントベッドホールディングスの2011年4~9月期の連結営業利益は、前年同期比6割増の45億円前後になったもようだ。従来予想を6億円強上回り、4~9月期では過去最高になった。業務用調理機器のマルゼンも高齢者施設の食堂向け出荷が拡大、3~11月期の営業利益は前年同期比2割増の25億円となる見通し。

高齢者施設が増えていることが背景にある。パラベッドの4月~9月期のベッド販売台数は2割弱増え、中でも高齢者移設向けは3割増えた・・・・。フランスベッドホールディングスも主力の介護ベッドレンタル件数が伸びている。

調理機器も好調。マルゼンは高齢者施設向けの出荷が3割増え、収益をけん引する。外食向けは微増にとどまり、売上高に占める高齢者施設向けの割合は1割を超えそう。施設事業者向けに高齢者にも食べやすい料理の講習会を開いて受注を増やしている。

国の制度改正が高齢者施設の増加を後押ししている。10月からは高齢者賃貸住宅の事業者に国が補助金を出す制度が始まった。来春からは24時間訪問介護サービスなどが介護保険の対象となるなど、高齢者は自宅で手厚い介護サービスを受けやすくなる。

介護利用料の引き上げ検討が始まったようです。

施設入居者は原則、重度対応にし、収入のある高齢者には利用料を引き上げる(介護保険の1割自己負担を2割自己負担)にするというものです

収入のある高齢者は介護保険をできるだけ使わなくなるでしょうし、軽度者は施設を利用しないようにするという方向になるでしょう。

ではこれからの介護事業者は誰を対象にどのようなサービスを提供すればよいというのでしょうか。
おのずと今後の事業の方向性が見えてきます。重度の低所得者を対象にするということになるのではないでしょうか。では、その対象となる高齢者をどこで受け入れれば良いいうのでしょうか。重度対応の特養や老健は待機待ちの状態、グループホームや介護付き有料老人ホーム等の特定施設は事実上の総量規制、高額のサービス付高齢者住宅には入れない。

結論は、ローコスト型の重度対応までできるサービス付高齢者住宅ということなるのではないでしょうか。
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厚労省、介護利用料上げ検討 現役並み所得、負担2割に
2011/10/29 情報元 日本経済新聞 

厚生労働省は介護保険サービスの給付費抑制に向け、利用料引き上げの検討に入った。

①自宅で暮らせる軽度者の施設入居の抑制策
②収入が現役世代並みの利用者の負担割合を現在の1割から2割に引き上げる案

を中心に議論を進める。介護サービス費の総額は10年前の2倍で、65歳以上が支払う保険料も当初の2911円から4160円まで上昇した。来年度以降は5000円を超える可能性があり、

利用者の負担増で高齢者全員が払う保険料の上昇を抑える。

具体的には、介護をそれほど必要としない軽度者(要介護1~2)の施設入居を抑える方向で議論を進める。

要介護度2の場合、在宅では約20万円までしかサービスを利用できないが、特別養護老人ホームなどの施設に入居すると、利用額が20万円を上回る。

厚労省は給付費のかさむ施設利用をなるべく重度者に限定し、軽度者は自宅でサービスを受けるように促す。軽度者の施設利用料の引き上げなどが焦点になる見込み。

主な利用料・給付見直し案は次の通り。
①軽度者の施設入居の抑制
  給付の膨張につながる特別養護老人ホームなどの利用は重度者中心に
②現役並み所得者の利用料上げ
  年収320万円以上の高所得高齢者の利用料を現在の1割から2割へ
③介護計画(ケアプラン)作成の有料化
  無料をとりやめ、利用者が一定額を負担
④低所得者向け追加給付の支給要件を厳格化
  資産が多い高齢者には、収入が少なくても追加給付を認めない

政府、地銀74行と連携 建設業の再編支援
2011/10/28 日本経済新聞
 
政府は年内にも、全国の主要な地方銀行74行と連携して、業績が低迷している中小・零細の建設業者の再編支援に乗り出す

M&A(合併・買収)や転廃業に向けた専門家の助言を国費で受けられるようにし、銀行に新たな経営戦略の立案や融資などを要請する。公共事業の減少や過剰な業者、従業者数を抱える建設業界の経営効率化を目指す。

東日本大震災の被災地では復興に向けた建設需要が増えているものの、国土交通省は建設業界の再生には抜本的な経営効率化が必要と判断。東日本銀行や北海道銀行、みなと銀行、西日本シティ銀行など全国の地銀、第二地銀と協定を結び、再編や転廃業を促す事業を実施することにした。

全国の建設業者数は3月末で約49万8千社。このうち6割は資本金が1千万円以下の企業が個人事業主だ。建設投資がピーク時の半分程度に減少していることから、国交省は将来的には業者数を現在の6~7割程度に再編する必要があるとみている。

相談内容は事業の売却・買収のほか、事業継承や転業、廃業、新事業への進出など。銀行の担当部署の職員のほか、公認会計士や中小企業診断士といった専門家が無料で相談に乗る。銀行は建設業者と協力して新たな経営計画や具体的な事業精算の方法などを決め、必要な資金を融資するよう要請する。

国交省は厚生労働者とも連携して、転廃業した建設業者の社員の職業訓練や転職支援なども実施。建設業界の再編が失業者の増加につながらないようにする。

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建設業者が建設だけでは飯が食えない状況が生まれています。建設という社会インフラに関する事業をベースにしていることから、そのベースの上に、新たなソフトサービスを組み合わせた新しいビジネスモデルの展開が求められています。そこに建設業界生き残りの活路が開けるのではないかと思うのです。

医療が医療単体では成長性が期待できない時代、医療と介護の複合ビジネスに活路を見出そうとする医療業界があるように、建設が建設単体では成長性が望めない時代です。

建設が新たなソフトサービスを取り入れた新ビジネスモデルの構築を模索すべきであるし、そこに政府も予算を投入すべきと考えます。

成熟したマーケットが求めているのはスペックインの発想による新しい需要の創造です。

来年度の診療報酬の改定を巡って議論が活発になされています。医師会が主張していた介護報酬増 0%という内容を中心に進みそうです。
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診療報酬増、0%台で攻防 厚労省が議論開始
2011/10/26 日経新聞

来年度の診療報酬と介護報酬の同時改定に向けた議論が26日、本格的に始まった。小宮山洋子厚生労働相は医師不足で苦境に立つ医療の現場を立て直すため、診療報酬を前回改定(2010年度)に続いて引き上げる方向を明言している。ただ引き上げは医療費の膨張を招く。年末に決まる改定率は0%台の小幅な増額を軸に議論が進む見通し。病院の救急・産科の報酬を手厚くするなど配分にメリハリを付けることができるかが焦点となる。

厚労省は26日、社会保障審議会の医療保険部会に診療報酬改定の方向性を示す基本方針の原案を提示した。救急や産科などで働く医療従事者の負担軽減や在宅医療の強化を重点分野に位置付け、入院日数の短縮や後発医薬品の利用促進など医療費抑制につながる効率化に取り組む方針も打ち出した。

社保審は今回の原案を基に、診療報酬の基本方針を決める。厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が具体的な議論を進める。がん医療や認知症の早期判断などの診療報酬を手厚くするほか、医薬品や医療機器の価格引き下げ、長期入院の抑制策などをまとめる方向だ。

前回は10年ぶりのプラス改定。厚労省と財務省は年末までに全体の上げ幅(改定率)を決め、来年度の予算案に盛る。

民主党は地域医療を再生するため、診療報酬の増額を政権公約に掲げている。だが診療報酬を1%引き上げれば、医療費が約3600億円、政府負担が約900億円膨らむため、財務省などには警戒感がある。

患者や健康保険組合の負担も増す。診療報酬が1%増えると、中小企業の従業員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)の平均保険料率は0.09%高まる。「負担は限界に近い」との声も出ている。

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