無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

2012年01月

いよいよ12年度からの介護報酬改定金額が下記により決定してきました。懸念される内容について何回かにわけてポイント整理してみたいと思います。
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小宮山洋子厚生労働相は25日、介護職員処遇改善交付金に代わる加算の創設などを盛り込んだ2012年度の介護報酬改定案を社会保障審議会(社保審)に諮問した。社保審介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)はこの日の会合で同案を了承し、小宮山厚労相に答申。12年度からの新たな介護報酬や各種基準が決まった。3月上旬にも告示される。

答申では、昨年末に決まった1.2%の改定率を踏まえ、サービスごとの基本報酬や加算の算定要件、人員・設備・運営の各基準などを明記。また、年度末で終了する介護職員処遇改善交付金に代わり、14年度末までの「介護職員処遇改善加算」を創設することや、介護報酬の地域区分を国家公務員の地域手当に応じた7区分に見直すことなどを盛り込んでいる。
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詳細は公表されていますが、介護を在宅に誘導しようという方針のもと、施設の利用は重度者に絞り、家族らによる自宅での介護を支援するメニューを増やしたこと、とりわけ、懸案となっておりました「24時間対応の定額訪問サービスや、訪問看護と短期の施設利用を併用する複合サービスを新設することになりました。

又、心配しておりました「利用者の住居と同一建物に所在する事業所」に対する報酬が一定以上の利用者に対して、正式に10%削減ということになりました。

サービス付き高齢者向け住宅等の建物と同一の建物に所在する事業所が、当該住宅等に居住する一定数以上の利用者に対し、サービスを提供する場合の評価を適正化する。
同一建物に対する減算(新規)⇒ 所定単位数に90/100を乗じた単位数で算定

※算定要件
・ 利用者が居住する住宅と同一の建物(※)に所在する事業所であって、当該住宅に居住する利用者に対して、
  前年度の月平均で30人以上にサービス提供を行っていること。

・ 当該住宅に居住する利用者に行ったサービスに対してのみ減算を行うこと。
(※)養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、旧高齢者専用賃貸住宅

1月25日付高齢者住宅新聞に見出しの記事が掲載されました。24時間サービスは最大月30,450点、但しこれは介護・看護利用者に限られ、介護だけの利用者は26,700点と特定施設並みの定額点数となっています。

特に注目をしていましたサービス付高齢者向け住宅等に対する訪問介護では建物と併設される事業者がその建物居住者の一定数以上にサービス提供を行った場合は、入居者に対するサービス分について報酬を10%減算するという内容が掲載されています。

この一定数以上という考えに対してまだ具体的な数字目標が公表されてはいませんが、どうやら40人以上という考えもあるようです。

併設する介護事業所にてサービス付高齢者向け住宅を推進しつつ、一方においてその報酬を減額するという、事業がまだ軌道にものっていない段階で、国は一体何をやりたいのでしょうか? 

サービス付高齢者向け住宅はまだ完全に軌道に乗ったわけではありません。漸く事業がスタートしたばかりで、介護報酬を活用しながら難易度の高い事業を成功させねばならない時期であるにも関わらず、報酬の減額に踏み切るのは一体どういうことでしょうか?サービス付き高齢者向け住宅への介護事業者の参入に一気にブレーキがかかることになるでしょう。

下記の記事が掲載されました。高齢者住宅大手のメッセージが在宅サービスを提供するジャパンケアサービスを完全子会社化するといいます。施設系と在宅系がひとつになることで、大きなインパクトを業界に与えるのではないかと思います。

これまでニチイ学館が旧コムスンの施設を取得することで一気に在宅系と施設系の統合を果たしたと同様の効果を発揮することになるのではないかと思われます。

今後、ジャパンケアサービスの子会社化によるメッセージの新しい戦略とその成果を見届けたいと思います。
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介護業界、施設系と在宅系の連携加速か-メッセージのジャパンケア買収、影響度は?
医療介護CBニュース 1月23日(月)

介護付有料老人ホームなどを運営するメッセージは、訪問介護などを手掛けるジャパンケアサービスグループの完全子会社化を目指し、株式公開買い付け(TOB)に踏み切った。実現すれば、両社の売上高の単純合計(2011年3月期)は550億円を超える。施設系中心のメッセージと在宅系中心のジャパンケア―。同じ介護業界といえども得意分野を異にする両社の連携は、今後こうした動きを加速させる呼び水になる可能性もある。(外川慎一朗)

「メッセージの理念、考え方、品質を持った在宅介護サービスを届けたい」メッセージの岩本隆博経営企画部長は、キャリアブレインの電話取材にこう話した。メッセージは関西地方や関東地方を中心に介護付有料老人ホームを展開。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の積極展開にも乗り出し、16年3月期までに1万室(11年3月末時点で1852室)へと拡大する方針を打ち出している
一方のジャパンケアは、200か所を超える訪問介護事業所を持つなど、主に在宅介護サービスを、東日本中心に手掛けてきた。12年度からスタートする新サービス「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(24時間訪問サービス)にも乗り気だ。

両社が得意とするサービスは、同じ介護業界であっても異なる。そこでメッセージは、自社に不足している在宅向けの訪問介護サービスのインフラを補い、グループで複合的なサービスを提供するため、ジャパンケアの買収に踏み切った。自宅に住む高齢者はジャパンケアの訪問介護サービスを利用できる。要介護度が重くなれば、そこからメッセージのサ高住、介護付有料老人ホームに移り住むこともできる。岩本部長は、グループ内で多くのサービスを提供することで、「利用者が地域で住み続けられるような環境をつくりたい」と強調する

■「地域包括ケア」実現へ大きな一歩?
今回の買収は介護業界にどのようなインパクトを与えるのか―。いちよし経済研究所企業調査部の柳平孝主任研究員は、「特にサ高住などの施設系サービス事業者と、訪問介護などの在宅系サービス事業者の連携を、加速させるきっかけになる可能性がある」とみている。

施設系のサービスを得意とする事業者と、在宅系に秀でる事業者が連携すれば、今回のケースのように、双方のメリットを生かせるからだ。サ高住や介護付有料老人ホームなどの施設系サービスでは、入居者の集客に成功するかどうかがカギとなる。在宅介護サービスの事業者と連携すれば、その利用者が重度化したら自社の施設や住宅への入居が見込める。地域の利用者を囲い込めれば、集客という課題解決の糸口にできる。

一方、訪問介護など在宅介護サービスでは、移動コストが掛かるために、収益性が低いという課題を抱える事業者が少なくない。もしサ高住などに集まって住む利用者にサービスを提供できれば、効率的な事業運営が可能となり、収益性の向上を見込める。

柳平氏は「連携が進み、地域の中で多様なサービスが提供されるようになれば、要介護度が高まっても地域で住み続けられる。国が推進する『地域包括ケアシステム』の実現に近づく可能性がある」とも話す。団塊世代が75歳以上となる25年に向け、今回の買収はそのための大きな役割を果たすのかもしれない。

外国人介護福祉士候補が29日に初めて国家試験に挑戦します。日本で働き続けるためだが、ハードルは高く、不合格なら帰国せねばならないという厳しいものです。

厚生労働省の試算では25年には看護師が30万人以上、介護職は70万人以上不足すると予測されています。

日本人だけでまかなうのは難しいのが現状です。

政府は昨年、ベトナムからも人材の受け入れを決めました。TPPでも、人の移動は柱の一つとなっています。優秀な人材は国際的な獲得競争が始まっていると言われます。難解な試験ばかりを続けていては日本を素通りしてしまうことになります。人材の採用もグローバルな時代になってきています。

一足先に外国人の受験が始まった看護師では、日本人の9割が合格するのに、難解な日本語が壁になり、09年度の合格者は3人、10年度も16人で合格率は5%にも届かないというありさまです。

「介護の世界でも、既に母国において資格をもつ人に「介護の基本」といった筆記試験を日本語で受けさせる必要があるのか?一定期間の実務経験を積めば、仕事で必要な日本語能力を試験すれば十分ではないか」

と言われていますが、その通りだと思います。

このままでは医療と介護においても世界から見放されてしまうでしょう。思い切った採用の仕組み、試験の仕組みを構築せねばなりません。

本日の日経新聞には見出しの記事が躍っていました。少しコメントをつけてみました。

不動産開発・施工大手が訪問介護やサービス付の賃貸マンションを相次ぎ投入する。長谷工コーポレーションは年間3~5棟開発、東京建物も大型物件を開発する予定とのこと。いずれ  も各社はこれまで高齢者住宅の取り組みを何らかの形で取り組んできた経緯がありましたが、ここにきて、本格的に規模を拡大する方向で進めているようです。

 →建設・不動産関係者の取り組みは、以前から試験的に取り組んでいたところが本格的に取り組みを開始する例が増えそうです。市場の拡大と運営ノウハウの習熟が一定のレベルに達してきたともいえるのではないかと考えます。本格開発の時代に突入か?

■その背景には、都市部での需要の増加が見込めるという事情があります。国立社会保障・人口問題研究所の予測では、65歳以上の高齢者がいる世帯は2010年の1568万世帯から25年には約2割増の1901万世帯に増えるとみています。しかし、都市部などで急増する高齢者世帯に対して、多様な暮らし方に対応した住居の数は不足しており、欧米に比べ遅れているといわれる高齢者向け住宅の整備が急務となっています。
 
 →今後増加する高齢者の過半数は三大都市圏に集中すると言われ、都市部の整備が遅れています。都市部では自立~介護に至る全ての分野の商品アイテムが必要となります。特に自立系の高齢者住宅は都市部での需要が顕著と考えられます。

■とりわけ、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの施設に比べると、より自立した生活を念頭においた高齢者用の賃貸住宅などの普及が進んでいない。国土交通省は10年に発表した成長戦略ではこうした高齢者向け住宅の充実をうたい、今後10年で60万戸を整備する方針を示した。

 →介護付きの施設比較して自立型の普及が進んでいないという見解も正しいのですが、そもそも介護型の施設、住宅も不足しているのです。全体の量が足りていないのです。

■これを受けて、大手不動産開発会社には「予算措置がついたことで、同住宅は年間3万~5万戸が供給され、10年後には累計30万戸の市場規模になる可能性がある」と予想する声もある。

 →高齢者住宅必要戸数200万戸の時代に突入しつつあります。

■普及の課題は物件やサービス内容の質の確保。事業者の参入が相次ぐ過程で、物件の内容にばらつきがでる可能性がある。入居時は健康な居住者が年数を経て要介護状態が上がっ  たときの対応など、事業者にはソフトの運営まで含めた高いノウハウが必要となるとみられる。
 
 →自立から介護、そして医療分野にまで及んだ、幅広い高齢者住宅の開発と運営のノウハウとその普及を図らねばなりません。これは業界再編を促すことになるでしょう。

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