無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

2012年05月

最近はサービス付高齢者向け住宅の増加と併せて、住宅型有料老人ホームも増えてきています。介護付き有料老人ホームやグループホームなどは総量規制が外れたとはいえ、実質的には各行政における財政負担の増加により強い総量規制が働いているとみてよいと思われます。

従って、高齢者の増加に伴い要介護認定者の数も増加していることから、要介護者の受け皿が不足をしています。その受け皿としてサービス付高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームが注目を浴びているのですが、ここにきて問題が出てきています。

それは、サービス付高齢者向け住宅は昨年高齢者住まい法の改正により補助金までつけて推進を図っている関係から、高齢者支援施設を併設し、介護のついた高齢者を受け入れてもオッケイなのですが、住宅型有料老人ホームは自立型という考えをし始めている行政が出てきているということです。

今回の改正では、住宅型有料老人ホームも従来の高専賃も一定の条件を満たしたものはサービス付高齢者向け住宅として登録が可能となったわけですが、なぜか、住宅型有料老人ホームは自立という認識が生まれ始めていることを懸念します。

そもそも、有料老人ホームにはマルメ報酬の介護型と外付けサービス利用の住宅型と後は健康型の3つがあります。介護型と住宅型の違いは、マルメか外付けかの違いがあるのみであって、介護か自立かという差はなかったように思います。

住宅型有料老人ホームは自立型という認識はどこから生まれてきているのでしょうか? 要介護者を受け入れるには介護付き有料老人ホームの申請をして下さいと行政担当者から言われますが、介護付き有料老人ホームの枠を得ることは容易ではないことはわかって言っているのでしょうか?

少なくとも自立~介護までの全ての高齢者をが外付けサービスにて受け入れる高齢者住宅の位置づけをして欲しいものです。

24時間介護に人材・採算の壁(中国新聞5月25日)

地方都市で今年度新設の24時間巡回型介護サービスが低調です。新しい制度が現実と乖離している実態が明らかになってきています。
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4月から介護保険で提供できるようになった24時間対応型の訪問介護・看護サービスが中国地方で低調だ。

サービスが始まったのは米子市だけで、本年度中の開始見込みも全107市町村の約1割の12市町にとどまる。夜間の人材確保の難しさや中山間地域の採算性の悪さが背景にある。助成金制度を設けるなどして事業者の参入を促す自治体も出ている。

中国地方で唯一、24時間の訪問サービスに取り組むのは米子市の複合福祉施設・なんぶ幸朋苑。4月11日からヘルパーや看護師が夜も含めて1日数回、市内のお年寄り3人の自宅を巡回訪問する。電話があれば昼夜を問わず駆け付ける。松本恭治総合施設長は「住み慣れた家でケアが受けられると喜んでもらっている」と手応えを語る。

気掛かりなのは3人にとどまる利用者数。「特別養護老人ホームやデイサービスと一体で運営しているので成り立つが、単独だったら採算が合うかどうか…」と明かす。

広島市や福山市、岩国市など12市町も本年度中に民間事業者がサービスを始めると見込む。ただ、都市部が多く、島根県内では予定がない。点在する民家を回るのに時間と経費がかさむ中山間地域や島では、参入の計画が浮上していない地域もある。

2013年度の開始に向け、事業者を募る予定の三次市は「応じてくれる事業者がいるかどうか…」と不安そう。14年度の開始を目標にする庄原市も「降雪時の夜間に訪問できるかどうかなど不透明な部分もある」と打ち明ける。

中山間地域の苦境を見越し、岡山県は4月から中山間地域に限定して1回の訪問ごとに250円を報酬に上乗せする独自の助成制度を創設した。

介護保険に詳しい県立広島大の住居広士教授(老年学)は「24時間の訪問サービスは自宅で介護するために必要だが、基盤の施設や人員が不足している。自治体が補助金を出してモデル事業などを展開していく必要がある」と指摘している。

本日の日経新聞に見出しの記事が出ていました。その中で神話の3として「内需産業というカテゴリーが存在する」という項目がありました。

■流通や食品、建築などが内需産業の代表格だろうが、こうした業界でもファーストリティリングのように海外志向を鮮明にする企業が増えている。

■今後5年もすれば、海外に行き遅れた「内需企業」はあっても、産業全体が国内に閉じるケースは例外的になるのではないか。

■「内需/外需産業」の2分法が意味を失う。そんな時代がすぐそこまで来ている。
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この記事に共感できるものがあります。

恐らく、5年以内に介護事業もグローバルな時代を迎えることになるでしょう。その引き金は日本の慢性的な人材不足です。


この問題を解決しようとすれば、日本という国内問題で解決することができない時代になってくるのではないかと考えられます。介護の優秀な人材を海外に輸出する時代になると同時に、全世界が同一目線で高齢化の問題を議論する時代がくると思われます。東アジアの高齢化社会の到来もその引き金になるでしょう。

<前回に続く>
民間企業が異業種から人材を獲得する手法について

①みずからが人材採用の力を持つこと。

②その為には、現場の労働生産性を高め、魅力ある報酬体系や人事システムで他産業からの人材の流入を促す魅力ある業態となること。

③その為には、商品開発や新しいサービスの提供により現在の事業を付加価値性の高い事業へと業態転換を行うこと。

④更に、労働生産性を高めるための人的資源のレベルアップを図るこ。

⑤その為には、自らの人材教育・訓練システムを持つこと。

看護師と介護士の報酬体系が異なるのは何故でしょうか? それだけ教育に時間をかけている? 医療の報酬体系が高く、高い人件費を吸収できる?

だとすれば、同じことを試みれば良いのではないでしょうか。人材教育や人事システムにより、高度なサービス業としての職業を構築すること、それに見合うだけの報酬を支払うこと、この好循環をつくり出さないことにはいくら制度をいじくっても、抜本的な改革にはなりません。

働きたい人に働く環境が与えられ、働けば働くほど、それに見合う報酬が得られる環境をつくりたいのです。

本日の日経の社説に見出しの記事が出ていました。医療介護やサービス業、新エネルギー関連など今後有望な産業は、経済参照省の試算によれば、2020年までに1000万人の人材需要を生み出すとされています。詳細は省きますが、そのポイントをいくつか整理してみます。

■派遣期間制限を見直せ
非正規労働に就く人たちの就業機会を制限している規制をとりのぞくこと。労働者派遣法はソフトウエアの設計や通訳・翻訳など専門的な26業務を除いて、人材派遣の期間を最長3年に限っている。だが、収益力がまだ安定せず、正社員を増やすことが難しいベンチャー企業などでは、営業や事務に派遣を活用したいという需要が多い。介護、サービス行や環境・エネルギー関連の企業は、大半がベンチャービジネスから出発する。企業の成長を支援するなら人材派遣期間の制限を見直すべきだ。

■人材サービス業が活発に活動できるようにするための規制の見直し
人材サービス産業への規制は労働者が不利な条件を強いられるのを防ぐため、労働力の取引をなるべく認めないという考え方からきている。しかし、勤務先を柔軟に変えられず、成長力を失った企業から抜け出せないままなら、何よりも本人にとって不幸だ。
ハローワークの職業紹介事業も民間に開放すれば、人材サービスが活発になる。民間のノウハウによって人材の移動を促すべきだ。

■職業紹介・訓練を民に
人材の能力や技能を高め、成長分野の企業が人を受け入れやすくすることも重要だ。公共職業訓練も民間事業者への開放を進めれば、訓練メニュー作りを民が競って質が高まる。看護・介護の知識やソフトウエアの設計技術などを習得する場を充実することが、人材の能力向上に欠かせない。
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目の前に巨大な人材マーケットがあるにもかかわらず、人材の産業間移動が進まない。それには上記の規制緩和が必要だということは良くわかるのですが、現場はそれを待つだけの時間がないのです。

制度改革が後出しになるのは世の常と考えねばなりません。民間企業がそれに先行して実績をつくり出さねばなりません。それでは我々は今何をせねばならないのか、次回には、改革の方向性について述べてみたいと思います。

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