無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2012年07月

今月のWEDGEに「認知症の人を地域で」厚労省が本腰 精神科病院が抵抗という記事が載っていました。先般、私がブログで取り上げた厚労省の画期的な報告書の内容ですが、その内容を更に掘り下げてレポートされておりますので、数回のわたって紹介をしておきたいと思います。大変重要なテーマと考えます。

■厚生労働省が画期的な報告書を出した。「認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会」の実現を目指す、とある。

■誰しもが家族の介護や自身の老後で認知症を意識する時代になった。しかし、病状が悪化すれば、精神科病院に長期入院することになるのが現状の体制だ。

■経営に直面する病床削減に精神科病院は抵抗している。国民の意思が問われる。

■6月18日、厚生労働省が「今後の認知症施策の方向性について」という報告書を発表した。題名は地味だが、内容は画期的だ。曰く、認知症の人は精神科病院や施設を利用せざるを得ないという考え方を改める。

これまでの「自宅→グループホーム→施設あるいは一般病院・精神科病院」という、ケアの不適切な流れを変える。役所か拘わる「無謬性」すら否定しているように見える。

<続きは次回に>
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先週末、20日、21日と中部エリアで二番目のエルスリー三河西尾の内覧会が開催されました。一色市役所が直ぐ近くにあり(写真奥が市役所)、住宅地の中の好立地にあります。2日間を通して約150名程度の参加者があり大変盛況でした。皆様ありがとございました。

3月にオープンをした名古屋南もほぼ満室になり、いよいよ名古屋エリアにて量産体制に入って参ります。年内だけでも名古屋南を入れれば次の5施設が予定されています。
①エルスリー名古屋南(3月1日オープン済み)
②エルスリー三河西尾(8月1日オープン予定、)
③エルスリー豊田(10月10日オープン予定)
④エルスリー長久手(11月18日オープン予定)
⑤エルスリー名古屋守山(12月15日オープン予定)

来年には既に5施設が予定をされておりますので、合計で10施設となります。

今回の内覧会の特徴は地域の介護事業者の方々の参加が多かったことです。エルスリーとはどのようなものか、既に名古屋南の実績があるだけに、皆さんが大変関心をもってこられました。特に料金に関して、「どこまでの含まれるのか」、「利用料金の値上げはないのか」といった、具体的な内容での質問が多かったように思います。直ぐの御紹介の案件もあるようであり、今後が期待されるものでした。ご参加の皆様、重ね重ね御礼を申し上げます。ありがとうございました。
写真1
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前回に続き、日経ビジネス「老人ホーム革命」のポイントを整理してみたいと思います。今回が最終回です。

高齢化先進国、スウェ―デンの教訓(グスタフ・ストランデル 舞浜倶楽部社長に聞く)

■スウェ―デンでは早くから高齢化問題に取り組んだことで、多くのノウハウが蓄積されていきました。我々が達した結論は、「経済的にも競争力を持った福祉社会」の実現でした。

■介護については、80年台から認知症の教育に注目してきました。病気が進んでも、患者の能力を維持し、最後まで人間らしく生きる「緩和ケア」を理念に掲げています。そのため、音楽療法やマッサージといった手法を使っています。簡単に演奏できる楽器を使って、集団で演奏することで、脳の機能訓練になり、達成感も得られる。

■マッサージでは、オリーブオイルを使って、撫でるように進めることで、高齢者と介護する人のコミュニケーションや信頼関係を生み出します。こうした手法は、いずれもコミュニケーションやチームワークが重要になります。認知症をうまくコントロールできれば、それこそ最大の家族支援になるのですね。長く自分の家に住めるように、在宅介護や在宅医療も重要視しています。

■日本の介護施設は、北海道から沖縄まで300近くの施設を見学しました。日本人らしく、少ない財源と人材で、上手に運営している施設もあります。しかし、人手不足の問題を含めて、今の制度には無理がある。介護制度を作り直すためには、介護報酬をこれ以上、抑えてはいけません。介護業界の地位を向上させるためにも、より高い水準を目指し、医師と看護師のような組織化されたプロを育成する必要があると感じます。

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高齢者の知見と潜在力を引き出し、認知症になっても安心して暮らせる高齢社会を実現するためには、報酬体系を抜本的に変える必要があるのではないでしょうか。グスタフ氏が主張しておられる「経済的にも競争力を持った福祉社会の実現のためには、医療と介護の一体的改革が必要であり、高齢者の心身の症状に応じてより専門的な対応ができる人材育成が必要となります。国が制度改革をやってくれないのであれば、自らが改革を行うしかありません。
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前回に続いて日経ビジネス「老人ホーム革命」の続きを整理します。高齢者をどう活用するかのヒントが述べられています。

■老人は蘇る!  高齢者の経済的価値はマイナスなのか・・・。経営難が続く老人ホーム業界で、「入居者が活躍する施設」が生れている。老人の潜在力を徹底活用しなければ、「1億総介護時代」は乗り切れない。

■子供と高齢者の一体型施設  子供達との触れ合いは認知症の改善効果が大きく、老人と子供の接点を作ることの相乗効果が生れている。こうした点に着目して、幼老一体施設によって待機児童の解消につなげている。ケースもある。

■米国、「大学内の老人ホーム」  米国では。大学の構内に老人ホームを併設するケースが急増している。全米の約60大学で、構内にシニア向け住宅が併設されているという。入居者は図書館や食堂などを利用し、講義  も聴講している。それだけではなく、入居者が次々と教壇に立つ。高齢者が過去の体験や現役時代の職業キャリアを生かしが授業が人気という。又、高齢者が学生の就職活動や恋愛の相談にも応じているという。

■自分たちで回す老人ホーム  高齢者は高い就業意欲を持っているという調査結果が出ている。もし高齢者がその潜在力を発揮する社会になれば、介護現場に象徴されるような、疲弊と荒廃が広がっていく老人ホームの「負のスパイラル」が止まるかもしれない。

■香川県東かがわ市にある特養「絹島荘」には「働き場」と呼ばれる場所が、施設内に設置されている。掃除や洗濯等、高齢者が施設の至る  ところで動き回り、「介護されている」というよ  りは、「働いている」ように見える。この絹島荘の活動はすごい。詳細は省きますが、重度対応といわれる特養施設で、手取り足取り面倒を見てきた介護から自分でできることは、全てやっ  てもらうという流れをつくり出している。そのことで、職員の負担が大きく減って、その余力で手厚い介護サービスが実現できるようになった。今年から、くもんの学習教材を使った認知症の  予防と改善に取り組んでいる。「仕事」や「学習」を通し、最も大切な「人間の尊厳」が守られている。
<次回は最終回>
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前回に引き続き日経ビジネス特集「老人ホーム革命」のポイントを整理します。

■日本が「介護破綻」する。国の財政が逼迫しているだけに今後、介護報酬が上がることは想定しにくい。厚労省によれば、2010年度に介護認定された人数は前の年度比22万人増の506万人に膨れ上がった。10年前の約2倍の数字で介護度3以上の比率も4割に上る。

■介護保険から支払う給付費も7兆円を突破した。今の制度を続ければ、2025年には20兆円に膨らむといわれる。

■高齢者は激増するが、介護士は集まらない。そして、介護コストばかりが膨張する。

■もう官のカネを当てにするだけでは、老人ホームは回っていかない。民間の感覚でサービス業として新商品サービスを生み出していくしかない。東京財団研究員の三原氏はそう読む。

■超高齢化社会をビジネスチャンスと捉え、介護に参入する企業が相次ぐ。しかし、現実は甘くない。そこは、国のルールに収益を左右される不自由な世界。既存の大手でさえ、事業モデルの転換なくしては生き残れない。

■「従来の介護付き有料老人ホームはその役割を終えつつある」(メッセージ橋本会長)。メッセージは業界でいち早く、介護付き有料老人ホームからサ高住へ、戦略転換することを表明した。

■目減りする介護報酬と生き残りをかけたビジネスモデルの転換を図る構図が見えてくる。

■冷める参入意欲。老人ホームの潜在需要は強く、今後も市場が拡大していくことは間違いない。だが、収益を上げるには、ハードルが高いビジネスでもある。新規参入を検討する企業も、そんな厳しい現実を認識し始めている。

■介護付き施設への参入熱が冷めようとしている中で、鼻息が荒いのが建設会社だ。補助金が見込めるサ高住を積極展開しようと狙っている。

■ある業界大手のトップは「10年前、老人ホーム事業に、異業種が相次いで参入して失敗した時とダブって見える」という。需要増を当て込んで参入したが、運営ノウハウもなく、赤字を垂れ流した。「国を頼りにしていたずらに施設を作っても、後で課題が噴出し、最後には入居者に迷惑をかける」と振り返る。
<次回に続く>
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