無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

2012年07月

前回に引き続き「認知症の人を地域でWEDGE Report」の要約をしてみたいと思います。

■1980年代に社会問題化した「寝たきり老人問題」は、90年のゴールドプランを皮切りに、10年越しで結実した介護保険制度により少しづつ改善されている。しかし、介護保険は身体ケアが主で、認知症の取り組みは遅れた。認知症対応型グループホームの整備が始まったのが2000年。それから10年越しで、今回の報告に至ったということになる。

■この間、精神科病院に入院している認知症の人は96年の2.8万人から08年の5.2万人に増えた。(そして直近の調査では7.2万人にまで増えているといわれます)

■「統合失調症の新規入院患者が減っている精神科病院にとって、認知症患者は欠かせない顧客」(精神科医)との声も聞かれる。

■今後の取り組みの核は、「初期集中支援チーム」(以下「初期チーム」)と「身近型認知症疾患医療センター」(以下「身近型」)だ。

■「初期チーム」は看護師や作業療法士、精神保健福祉士、心理士といった多職種からなる「初期チーム」が自宅を訪問して支援する。「身近型」は自宅や施設を訪問し、本人・家族やかかりつけ医、あるいは「初期チーム」を支援する出前形式の専門医だ。認知症を進行させるような不適切な対応や投薬を防ぎ、地域の関係者を啓発する役割を担う。

■これまでも認知症疾患医療センターは基幹型・地域型という名で整備されてきたが、多くが精神科病院に併設され、むしろ入院の窓口のようになっているとの批判がある。「センターについては、精神科病院を担当する社会・援護局精神・障害保険課から、老健局高齢者支援課へ所管替えを行う」(藤田政務官)。

  …これが実現できると画期的な取り組みとなるのではないでしょう。

■レポートでは「初期チーム」のモデルとして英国やオランダのメモリーサービスを紹介している。高齢者人口4万人に1ヵ所設置され、多職種からなる。2人1組で自宅を訪れ、本人と家族に対して2時間ほどの面談を行ない、これまでの人生(生活歴)や、認知症のレベル評価(認知症機能評価)、精神面の既往歴、本人の今後の生活に関する希望などを確認し、自宅生活を続けるために何をしたらいいかを見つけ出す。医師はこれらの情報に基づいて最終的な診断を行う際に登場する程度だ。

その他、国内でも地域で支える先進事例…初期チームや身近型の先進事例が生れてきており、今後の取り組みが本格化する動きがあります。しかし、この動きにも精神科病院側の強い抵抗がありそうです。

<続きは次回に>

今月のWEDGEに「認知症の人を地域で」厚労省が本腰 精神科病院が抵抗という記事が載っていました。先般、私がブログで取り上げた厚労省の画期的な報告書の内容ですが、その内容を更に掘り下げてレポートされておりますので、数回のわたって紹介をしておきたいと思います。大変重要なテーマと考えます。

■厚生労働省が画期的な報告書を出した。「認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会」の実現を目指す、とある。

■誰しもが家族の介護や自身の老後で認知症を意識する時代になった。しかし、病状が悪化すれば、精神科病院に長期入院することになるのが現状の体制だ。

■経営に直面する病床削減に精神科病院は抵抗している。国民の意思が問われる。

■6月18日、厚生労働省が「今後の認知症施策の方向性について」という報告書を発表した。題名は地味だが、内容は画期的だ。曰く、認知症の人は精神科病院や施設を利用せざるを得ないという考え方を改める。

これまでの「自宅→グループホーム→施設あるいは一般病院・精神科病院」という、ケアの不適切な流れを変える。役所か拘わる「無謬性」すら否定しているように見える。

<続きは次回に>

先週末、20日、21日と中部エリアで二番目のエルスリー三河西尾の内覧会が開催されました。一色市役所が直ぐ近くにあり(写真奥が市役所)、住宅地の中の好立地にあります。2日間を通して約150名程度の参加者があり大変盛況でした。皆様ありがとございました。

3月にオープンをした名古屋南もほぼ満室になり、いよいよ名古屋エリアにて量産体制に入って参ります。年内だけでも名古屋南を入れれば次の5施設が予定されています。
①エルスリー名古屋南(3月1日オープン済み)
②エルスリー三河西尾(8月1日オープン予定、)
③エルスリー豊田(10月10日オープン予定)
④エルスリー長久手(11月18日オープン予定)
⑤エルスリー名古屋守山(12月15日オープン予定)

来年には既に5施設が予定をされておりますので、合計で10施設となります。

今回の内覧会の特徴は地域の介護事業者の方々の参加が多かったことです。エルスリーとはどのようなものか、既に名古屋南の実績があるだけに、皆さんが大変関心をもってこられました。特に料金に関して、「どこまでの含まれるのか」、「利用料金の値上げはないのか」といった、具体的な内容での質問が多かったように思います。直ぐの御紹介の案件もあるようであり、今後が期待されるものでした。ご参加の皆様、重ね重ね御礼を申し上げます。ありがとうございました。
写真1

前回に続き、日経ビジネス「老人ホーム革命」のポイントを整理してみたいと思います。今回が最終回です。

高齢化先進国、スウェ―デンの教訓(グスタフ・ストランデル 舞浜倶楽部社長に聞く)

■スウェ―デンでは早くから高齢化問題に取り組んだことで、多くのノウハウが蓄積されていきました。我々が達した結論は、「経済的にも競争力を持った福祉社会」の実現でした。

■介護については、80年台から認知症の教育に注目してきました。病気が進んでも、患者の能力を維持し、最後まで人間らしく生きる「緩和ケア」を理念に掲げています。そのため、音楽療法やマッサージといった手法を使っています。簡単に演奏できる楽器を使って、集団で演奏することで、脳の機能訓練になり、達成感も得られる。

■マッサージでは、オリーブオイルを使って、撫でるように進めることで、高齢者と介護する人のコミュニケーションや信頼関係を生み出します。こうした手法は、いずれもコミュニケーションやチームワークが重要になります。認知症をうまくコントロールできれば、それこそ最大の家族支援になるのですね。長く自分の家に住めるように、在宅介護や在宅医療も重要視しています。

■日本の介護施設は、北海道から沖縄まで300近くの施設を見学しました。日本人らしく、少ない財源と人材で、上手に運営している施設もあります。しかし、人手不足の問題を含めて、今の制度には無理がある。介護制度を作り直すためには、介護報酬をこれ以上、抑えてはいけません。介護業界の地位を向上させるためにも、より高い水準を目指し、医師と看護師のような組織化されたプロを育成する必要があると感じます。

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高齢者の知見と潜在力を引き出し、認知症になっても安心して暮らせる高齢社会を実現するためには、報酬体系を抜本的に変える必要があるのではないでしょうか。グスタフ氏が主張しておられる「経済的にも競争力を持った福祉社会の実現のためには、医療と介護の一体的改革が必要であり、高齢者の心身の症状に応じてより専門的な対応ができる人材育成が必要となります。国が制度改革をやってくれないのであれば、自らが改革を行うしかありません。

前回に続いて日経ビジネス「老人ホーム革命」の続きを整理します。高齢者をどう活用するかのヒントが述べられています。

■老人は蘇る!  高齢者の経済的価値はマイナスなのか・・・。経営難が続く老人ホーム業界で、「入居者が活躍する施設」が生れている。老人の潜在力を徹底活用しなければ、「1億総介護時代」は乗り切れない。

■子供と高齢者の一体型施設  子供達との触れ合いは認知症の改善効果が大きく、老人と子供の接点を作ることの相乗効果が生れている。こうした点に着目して、幼老一体施設によって待機児童の解消につなげている。ケースもある。

■米国、「大学内の老人ホーム」  米国では。大学の構内に老人ホームを併設するケースが急増している。全米の約60大学で、構内にシニア向け住宅が併設されているという。入居者は図書館や食堂などを利用し、講義  も聴講している。それだけではなく、入居者が次々と教壇に立つ。高齢者が過去の体験や現役時代の職業キャリアを生かしが授業が人気という。又、高齢者が学生の就職活動や恋愛の相談にも応じているという。

■自分たちで回す老人ホーム  高齢者は高い就業意欲を持っているという調査結果が出ている。もし高齢者がその潜在力を発揮する社会になれば、介護現場に象徴されるような、疲弊と荒廃が広がっていく老人ホームの「負のスパイラル」が止まるかもしれない。

■香川県東かがわ市にある特養「絹島荘」には「働き場」と呼ばれる場所が、施設内に設置されている。掃除や洗濯等、高齢者が施設の至る  ところで動き回り、「介護されている」というよ  りは、「働いている」ように見える。この絹島荘の活動はすごい。詳細は省きますが、重度対応といわれる特養施設で、手取り足取り面倒を見てきた介護から自分でできることは、全てやっ  てもらうという流れをつくり出している。そのことで、職員の負担が大きく減って、その余力で手厚い介護サービスが実現できるようになった。今年から、くもんの学習教材を使った認知症の  予防と改善に取り組んでいる。「仕事」や「学習」を通し、最も大切な「人間の尊厳」が守られている。
<次回は最終回>

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