無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

2012年11月

私が尊敬する作家である塩野七生さんが見出しの内容で国際交流基金のシンポジュームで基調講演をされたようです。そのポイント(日経新聞11月27日日)を備忘録的にまとめておきたいと思います。

■現代日本の停滞は、純粋培養された人材が組織から飛び出さないという大企業病に原因があると感じている。

■私が書く歴史上の人物は、40歳までは自己生産能力がある。だが最も力を発揮するのは、自己生産能力を持つ人材を活用できた人物である。

<国際交流基金への提言>

■日本文化の定義を確立すること。日本文化という商品を知らなけば、販売戦略は生まれない

■次に、戦略を考える総合職と、実行に移す一般職に職員を分けること。格差を生むと反対意見もあるが、悪いのは格差の固定化だ。

■古代ローマやベネチアにも格差はあった。しかし、流動的で社会は健全さとエネルギーを保っていた

女性の積極的活用を勧めたい。イタリアでは「バラの割合」と呼び、3割以上の雇用を定めている。

若者にも機会を与えてほしい。素質は天性のものだが、経験を積んで磨く勘も必要だ。

■そして、創作者とそれを売るプロ、この二者を職員に加えるべきだ。これまで基金の活動を担ってきた学者や官僚からすると異分子だ。だが、異分子との接触がなければ、新しい文化も、改革も生まれない。

■古代ローマでもベネチアでも、異分子との接触が活力を生んでいた。異なる刺激のない純粋培養では、組織の抵抗力が失われてしまう。

本日の日経新聞の「電子版 この1本」の欄に掲載されました見出しの記事に注目しました。

ワタミの渡辺会長が非常勤から常勤の会長に復帰したことについて、業績好調の今日、その狙いは何かと問うているものです。業績好調であっても、今後の動向に市場は敏感に反応しているといわれます。怖いことです。

■主力の外食と合せた介護、高齢者向け宅配事業の3本柱はいずれも堅調だ。だが、市場では今後もこの堅調さを維持できるかについて懸念が出始めている。

■例えば、介護事業は有料老人ホームの総量規制の影響などで、開設数の見通しが厳しくなっている。

■施設の入居率も昨年から微減傾向で今期の会社計画を下回っている。


■外食産業は既存店売上高が4%減と期初計画を下回った。

■ワタミは店舗の初期投資を2年半で回収できる立地に限って出店してきたが、渡辺会長は収益環境の悪化をにらみ、「2年で回収するモデルを作る必要がある」と語る。

■それを実現するには大胆な事業構造の見直しが不可欠だ。

本日の朝日新聞に見出しの記事が掲載されていました。身体障害者の雇用を増やそうという企業が増えています。注目すべきことです。

■企業が雇わなければならない障害者の割合が、来春に引き上げられるためだ。27日からは、精神障害者の雇用を義務づけるかどうかの議論が国の審議会で始まる。その結論を先取りした動きも出てきた。

■未達成企業、1人不足で月5万円を国へ
企業が達成しなければならない、従業員に占める障害者の割合(法定雇用率)は、労働市場の中にいる働く意欲がある障害者の割合を根拠にして決める。現在は1.8%で、来春には2.0%に引き上げられる。未達成の企業は、足りない1人につき月5万円を国におさめなければならない。

■「今年は身体障害者が全然集まらない」。ソフトバンクの通信3社で人事を担当する甲田修三執行役員は頭を悩ませる。
現在は、従業員の1.9%の障害者を雇っていて基準を満たしているが、来春には下回る。従業員全体は増えているので、障害者をあと70人分雇わなければならない。めどがついたのはまだ十数人。知的、精神障害者を採用することを視野に、どんな仕事があるか、検討を始めた。

■人材紹介会社にも求人依頼が殺到している。インテリジェンスは企業からの求人数が昨年の3倍に。しかも「あと何十人必要です」といった大型案件が目立つという。求人の9割以上が身体障害者だ。

■障害者専門のゼネラルパートナーズも、紹介を頼んでくる企業が約750社と昨年の1.5倍になった。大手からの依頼が増えており、数年ぶりに求人を出してくることも多いという。進藤均社長は「企業が一斉に身体障害者の採用に動き出した。精神障害者は採用後の丁寧なケアが必要で、企業には心理的な壁があるのでは」と指摘する。

■精神障害者に対して「ノウハウがない」「途中ですぐに辞めないか心配」とためらう企業は多い。「若い身体障害者はいまや『金の卵』」(大手製造業の担当者)という言葉すら聞こえてくる。

■働く障害者に占める身体障害者の割合は6月時点で76%。ハローワークを通じて就職する身体障害者はここ5年は2万2千~2万4千人台で横ばいだが、今年度は2万6千人を超えそうだ。

■精神障害者にも関心
厚生労働省の労働政策審議会の分科会は27日から、精神障害者の雇用義務づけについて議論する。現在の法定雇用率は身体・知的障害者だけを計算の根拠にしているが、精神障害者の雇用が義務づけられると計算の仕方が変わり、さらに引き上げられる可能性が高い。

■身体障害者の採用が難しくなっていることもあり、優秀な精神障害者を確保しておこうという企業も出てきた。
伊藤忠商事は特例子会社「伊藤忠ユニダス」で精神障害者の採用を増やす。現在の雇用率は2.0%程度。余裕をもたせて2.2%程度まで引き上げる。中心は精神障害者になりそうだ。ユニダスの萩原能成社長は「採用の幅を広げないと、優秀な障害者の確保が難しい時代に入った」とみる。

■障害者雇用を推進するNPO法人「eキャリア・雇用プロジェクトk」(神奈川)には、企業から「精神障害者の採用を検討している。対応に詳しい人を紹介してほしい」との相談が今年になって入るようになったという。
安部省吾理事・事務局長は「制度改正を前に企業のいろいろな動きが出ている。雇用の量の増加も大事だが、労働条件など雇用の質を高めることも重要だ」と話す。

本日はある医療法人の依頼で、近隣の高齢者住宅賃貸物件について一緒に地主との面談をしてきました。地主も他の介護事業者からの提案を受けているようすが、病院が借りてくれるのであればと積極的です。

この病院は、現在サービス付高齢者向け住宅を計画中で、エヌ・ビー・ラボが開発と運営の支援をさせて頂きます。1階を透析病院とし、2階、3階を透析患者を対象としたサービス付高齢者向け住宅を計画しています。

それと同時並行して、賃貸で我々の小規模ローコスト型高齢者住宅「エルスリー」を病院周辺に複数作っていきたいという構想をもっています。

この医療法人は既に病院の他、特別養護老人ホーム、老健保健施設やデイケアを運営をしており、いよいよ高齢者住宅に乗り出してきたわけです。小規模での賃貸物件は、ホスピス型を含めて、高齢者の症状に合わせた複数の高齢者住宅を今後展開していきたいという病院側の意向です。

病院を核とした老人保健施設と医療型高齢者住宅、その周辺に特別養護老人ホームと複数の賃貸による症状別や対象者別の小規模高齢者住宅群を作る構想が動き出しました。医療法人の新しい動きです。

できれば我々もその周辺に介護型の高齢者住宅を開発して参りたいと考えております。

これまで人口減社会を考えるシリーズで㊥まで要点を述べましたが、11月9日の日経新聞の経済教室で同テーマの㊦で、日本大学人口研究所長・教授小川 直宏氏が「高齢化の重荷軽減が急務」という内容で報告がなされています。

ポイントは次の3つ。

1.最近ほど若者の経済的独立が遅くなる傾向
2.高齢者が子供世代の安全網の役割果たす
3.労働所得のピーク時を51歳から伸ばす必要


高齢世代から子供世代・孫世代への経済支援パターンが出てきたのはバブル経済崩壊後の94年以降で、この傾向は今も持続している。高齢者は年金受給者なので安定収入があるのに対し、成人した子供世代はリストラ等で失職することがあり、又非正規労働者の増加などで高齢者が政府に代わってセーフティ-ネット(安全網)の役割を果たしている。

ただ、04年から09年にかけては、高齢者から若い世代への私的移転(ネットブロー)が実質・名目ベースともに減っている。08年のリーマンショックで高齢者の財産所得が減り(70歳代では実質で5%、名目で9%の減少)、経済的余裕が低下したことを反映しているのであろう。

年齢ごとにみた労働所得のピークは51歳だが、高齢化の進行にオーナス(重荷)状態の悪化をさけるために、これを52歳、53歳というように労働政策を実施しようというわけだ。計算によれば、53年までに労働所得のピーク年齢を9歳右(60歳)にシフトできれば、44年間はオーナスの悪貨を避けられる。

しかし、そうした労働市場の変化が起きると、60歳の労働所得は現在の1.7倍、65歳では3.7倍となる。労働所得の大幅な上昇に見合うように、中高年の労働生産性の向上を実現する必要がある。

若年人口にも目を向ける必要がある。そもそも人口高齢化が起きた主因は出生率低下であり、子どもの数を減らしても質を高めたいという親世代の考え方が背景にある。

しかし、09年の年齢別労働所得みると、多くの教育投資が実施されてきた我が国の若年世代の人的資本が十分に活用されているとはいいがたい。彼らのキャリア形成に役立つように高等教育を変革し、グローバル経済の中でも競争できるように雇用体系や賃金制度を改革することが必要だろう。

結論は、高齢者の生産性向上によ労働所得の向上(51歳からピークを60歳にシフトすること)と若年人口の活用の為の制度設計であろうと思います。ここに叡智を傾けねばなりません。

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