無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

2013年03月

先日日経新聞の経営塾(3月29日)に「ものづくり」にこだわると題して東京大学藤本教授のお話が出てました。ポイントは次の2つです。

①ものづくりに強い経営者の必要条件とは、「良い設計の良い流れ」を現場と現物で掌握できる能力だ。これが「現場現物適合」の論理である。

②こうした経営者は現場の組織能力を見極め、製品の設計思想(アーキテクチャー)を適合させる。

こうした見解を我々の高齢者住宅事業の当てはめてみると今後の経営戦略のあり方が見えてきます。

製品の設計思想(アーキテクチャー)とは我々にとってビジネスモデルの設計思想ということになります。ビジネスモデルのアーキテクチャーに併せて、組織編制をし、その組織を運営できる人材の確保と育成を行うことが重要ですが、逆の方向も今後は考えねばなりません。

介護業界は人材確保が極めて困難な環境にあります。即ち、手段が戦略を左右する環境にあるのです。そうであれば、現場組織に合せたビジネスモデルの再設計(リ・アーキテクチャ)が必要な時代に直面していることも考えられます。

エルスリー一つ一つに合せた「現場現物適合」の論理を展開せねばなりません。

昨日、株式会社フェアスタートの永岡鉄平社長と面談することができました。監査法人からの紹介を頂き、兎に角早く会いたいと思っていた人物です。児童養護施設退去者の就職支援をしている会社の代表です。

驚いたのはその若さです。1981年生まれですので、丁度私と30歳離れています。31歳です。このような若い方が、児童養護施設退去者の自立支援を事業として取り組んでいることに驚きを隠せませんでした。

永岡代表のお話では現在、児童養護施設は全国で585カ所、総人員は約3万人といわれます。年間1000人程度が卒園していると言われます。これも驚いたことですが、親の居ない入所者は1割とのこと。9割は親がいるというのです。虐待やネグレクトといった家庭環境に恵まれない子供達が入所されているケースが多いということにも大変驚きました。

施設を退去し就職するのが8割と言われますが、必ずしもその後の仕事環境には恵まれてはいないようです。ここに彼の役割があります。仕事につくものの、事前に十分なカウンセリングが受けらないまま、ミスマッチをお越し、フェードアウトしていく、そのような若者が多いと聞きます。正社員から非正規社員に、そしてニートになっていくという若者もいるといいます。

企業との間に立って、就職支援、自立支援を行いたいという代表の志に大変共感します。介護の現場は大変な人材不足です。是非、コラボレーションをしたいと思います。介護の仕事を通して自己実現を図ることのできるキャリアプランを提案したいと思います。

本日は大手商社様のお世話で、ミャンマーの関係者と面談をしました。多くの日本の企業がミャンマーに人を求めて来ているようです。

ヘルスケアの人材が来日するには、フィリピンやインドネシアと異なり、まだまだ時間がかかるように思いましたが、ミャンマーの政府が動けば、意外と早く環境が整うのではないかとも思いました。

日本の政府もミャンマーに対する投資を加速度化させているようですので、今後可能性があるように感じました。ミャンマーの人口は約6000万人、その内、就業人口は約3000万人、20代~30代の若者が2000万人といわれます。何らかのルートをつくり、若者の人材確保の方法を探りたいと思います。

本日の日経新聞の社説にも外国人介護士を支える制度が必要と述べられています。

『厚労省は2025年に介護職が90万人不足すると試算しています。これを日本人だけで担うのは難しい。中国や韓国などでも高齢化が進んできており、優秀な介護・看護人材の国際的な争奪戦は既に始まっている。

来日した外国人候補者が将来、日本で得たノウハウを母国に持ち帰り、次世代の人材を育てる立場になることも期待できる。ノウハウを受け継いだ若い人材が日本で働く意欲を持つような流れを今のうちに築いておくことも重要だ。』

本日のミャンマーの関係者もミャンマーも一人っ子政策で子供の数が少なくなり、将来は日本と同様になると話をされておりました。次世代の人材を育てることも含めて海外からの人材確保を模索したいと思います。

昨日深夜のテレビBS1の世界のドキュメンタリーで、“ギャレスのコミュニティー合唱団 ”の再放送がありました。前回も一度見たのですが、昨日の再放送に何か衝撃を感じました。自分が現在一番悩んでいる組織作りについてヒントを得た為です。

イギリスのカリスマ合唱指揮者のギャレス・マローンが、活気を失った町でコミュニティ合唱団の結成を呼びかけ、再び自信と結束をもたらすまでの9か月と、その後の合唱団の進化を描いたものです。

『貧しく、娯楽のないロンドン郊外の住宅地サウスオキシーに活気と誇りを取り戻そうと、カリスマ合唱団指揮者のギャレス・マローンが乗り込み、持ち前のバイタリティーで次々と町のキーパーソンを巻き込み、コミュニティー合唱団を結成。ノリノリのポップスから始め、難しいラテン語の曲にも挑戦するうちに、合唱を通して住民たちがささやかな楽しみと交流の場を見つけ、町への愛着を高めていく。番組では、その9か月間の挑戦を追うとともに、再びサウスオキシーを訪れ、合唱団メンバーの暮らしがこの活動を通じてどう変わったのか、メンバーの変化を見つめる』という内容でした。

この番組を見ていて高齢者の街づくりを行うことにオーバーラップをしてみました。ギャレスは合唱指揮者として町興しをやったのです。名もなき人々を組織化し、見事に合唱団を育て上げ大舞台で発表するところまで9カ月で成し遂げたのです。本当に素晴らしいことだと思いました。

彼の取った手法はオルガナイザーとしても一流のものです。地域のキーマンを見つけ、自分の運動に参加させ、キーマンを通して人を集め、その中から素質のある人材を選別してヒーローにし、全員を合唱の渦の中に巻き込む。そして小さな発表の場を設け、実際に演じさせ、その自信をもって、更に次の大きな舞台へと目標を明確に設定し誘導していく。そんな彼の手法はこれからの高齢者の街づくりに大いに参考になるものでした。

我々も目指すべきものは高齢者のコミュ二ティ―作りであることを再認識させられました。

今弊社の企画のメンバーが韓国に行っています。フィリピンからベトナム、そして韓国、今週末にはミャンマーの関係者の方との面談が控えています。雇用機会は既に国外に広がっています。一昨日お会いした社会福祉法人の人事の方の話では既に、外国人が6人在籍していると言っていました。

しかし、一方においては、国内でも就職先のない、就職したくてもできない多くの若者がいるのも事実です。本日も監査法人から児童養護施設の就職支援をしている会社様を御紹介して頂きました。是非、近々お会いをしてお話を聞いてみたいと思います。

又、先日も、若者キャリア研究所の理事長より若者の就職支援の勉強会への出席についての要請がありましたが、人材不足と言われる一方で多くの若者が就職できないで苦しんでいるのです。このミスマッチを何とか解消せねばなりません。

本日の日経新聞にも「世界も悩む」として、若者の就職支援にどこの国も必死に対策をしようとしている内容が報告されていました。

『米企業が危惧するのは失業がもたらす技能の低下や断絶だ』と言われています。『明日を担う若者が技能や経験を得る機会を奪われれば、ツケは企業自身に跳ね返る』とも警告しています。

最後の言葉が胸に突き刺さります。

『若者の奪われた機会を取り戻す取り組みが世界で始まっている。そのまま日本に持ち込めるわけではないが、その知恵を生かさなければ忍び寄る影は追い払えない』

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