無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2013年06月

サ高住の成功モデルはサ高住+訪問・通所ではなく、サ高住+特定施設の収益モデルではないかということを前回お話しました。しかし、その運営は簡単ではないと申しました。

サ高住に特定施設並みの介護サービス、介護スタッフを配置せねばならないということになるのです。それ故に、運営のハードルは一気に上がることになるでしょう。

1.人員の確保
2.サ高住+訪問&通所サービスで、特定施設並みの切れ目のない介護サービスを展開するノウハウ
3.訪問&通所サービスで、特定施設並みの介護保険を得るノウハウ
が求められることになるのです。

1.の人材確保については、特定施設従来3:1という基準がありますが、重篤な高齢者が増えると3:1でも十分なサービスは難しくなります。特定施設の平均介護度は2.7程度と言われますが、このレベルで良いサービスを提供しようとすれば2:1程度の人員体制が求められるでしょう。それだけの人材をどのように確保するのか、難易度が上がります。

2.丸め報酬の特定施設並みの切れ目のない介護サービスを提供するためには、介護保険サービスと介護保険外サービスを継ぎ目なくつないでいくサービス体系をつくらねばなりません。しかも、コンプライアンスに抵触しないように。これも運営の難易度が上がります。

3.施設内に居宅支援事業所をおかずに、外部居宅との連携のもとでいかに納得性のある、介護保険サービスを提供するかというケアプラン作成の難易度が上がります。

以上の難易度の高い事業が実はサービス付高齢者向け住宅に求められるノウハウなのです。
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先日、4月時点での介護保険の利用状況等について最新のデータを整理してブログに記載しましたが、サ高住や住宅型有料老人ホームの介護サービス外付けモデルの収益構造について触れてみたいと思います。

受給者1人当たり費用額については下記のようになっていたと思います。

介護予防サービスでは40.2 千円、介護サービスでは189.7 千円となっている。
内訳は、次の通りです。
①訪問・通所サービス107.4千円、②特定施設213,1千円、③グループホーム278.1千円、④施設サービス296.1千円(介護福祉施設サービス279.6千円、介護保険施設サービス295.3 千円、介護療養施設サービス391.7千円)

サ高住等の外付けモデルでは介護保険サービスでいくら取れるかがポイントとなります。特養約28万円、老健約30万円、介護療養病床約40万円と従来の3施設では一人当たりの費用は当然大きくなります。

サ高住や住宅型有料老人ホーム等では果たしていくらぐらいのサービスを提供できるのでしょうか?

一般に外付けモデルでは限度額の約半分と言われています。従って、平均介護度が3では267500円÷2=約13.5万円、介護度2では194,800円÷2=約9.5万円となります。介護度1では165800円÷2=約8.5万円となるでしょう。

サ高住の平均介護度が1.8とすれば良く取れて1人10万円前後となるのではないでしょうか?これは①に相当します。これでは介護保険外の費用を上げないと経営は難しいといえます。

家賃5万円、食費5万円、管理費3万円として合計13万円、それに介護保険で10万円とすれば、合計23万円となります。このモデルではサ高住の商品力は十分な介護のついたものにはなりえず、商品力に限界があります。

一方、特定施設(介護付き有料老人ホーム)の例であれば、上記利用料金にプラスして②21.5万円とすれば、合計で34.5万円となります。

サ高住の成功モデルはサ高住+①ではなく、サ高住+②の収益モデルかと思います。ここまでくれば、かなりの商品力をもった高齢者住宅となるのです。但し、今度は運営は簡単ではなくなります。
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本日、関西圏で初めて小規模低価格型高齢者住宅エルスリーが誕生することになりました。

これまで、低価格型高齢者住宅が乱立する大阪を避けるようにしてきたエルスリーですが、漸く、大阪を取り巻く周辺での開発ができるようになりつつあります。

今回は関西で始めて、京都で開発を行う運びになりました。中国・九州・四国地区から出発し、関西を飛ばして中部・東海圏、そして、関東圏と開発を進めて参りましたが、間の関西が抜けていましたので、いよいよこれから、その穴を埋めるべく開発着手となります。

しかし、関東圏同様、しばらくは東京、大阪を取り巻くエリアからの開発になりそうです。京都に拠点ができれば、滋賀県、兵庫県、奈良県が視野に入ってきます。

本日も京都での契約を終えた後、兵庫県の医療法人様との勉強会に出席をさせて頂きましたが、かなり活発に動いておられます。地域の皆様の関心も高いものがあります。

いつものように中心部を外して、周辺から攻めていきたいと考えております。

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厚生労働省から介護給付費実態調査月報(平成25 年4 月審査分)が報告されました。調査の概要は次の通りです。介護保険受給者は増え続けています。ポイントを抜粋しておきます。

1 受給者数
全国の受給者総数は、複数サービスを受けた者については名寄せを行った結果、介護予防サービスでは996.9 千人、介護サービスでは3,633.4 千人となっている。

2 受給者1人当たり費用額
受給者1人当たり費用額は、介護予防サービスでは40.2 千円、介護サービスでは189.7 千円となっている。
内訳は、次の通りです。
訪問・通所サービス107.4千円、特定施設213,1千円、グループホーム278.1千円、施設サービス296.1千円(介護福祉施設サービス279.6千円、介護保険施設サービス295.3千円、介護療養施設サービス391.7千円)


3.データ
受給者数の月次推移
要介護状態区分別にみた受給者数
25年4月介護度別人数・割合 

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BS11の報道番組「ウイークリーニュースONZE」(23日日曜日午後6時放送)を見ました。

内容は次のようなものですが、現場で一生懸命働く介護の方々の姿が映し出されていました。印象に残りましたのは、現場のスタッフが、安倍総理に是非、現場にきてもらいたいという場面です。

現場は高齢者の数が増加し、2025年までに100万人の介護人材不足と話をされていましたが、政府の成長戦略には介護の事までは全くといってよいほど触れてはおりません。税と社会保障の一体改革はどこに行ってしまったのでしょうか?
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■高齢化が進む中、きつい仕事や低賃金などで人手不足が続く介護の問題をリポートする特集「密着!介護現場 幸せな高齢化社会を考える」を放送する。 

■超高齢化社会を迎え、2060年には65歳以上が約2.5人に1人、75歳以上が4人に1人になるといわれる日本。介護業界は、今後の成長産業と期待されるが、きつい仕事や低賃金などで人手不足が問題となっている。

■番組では、特別養護老人ホームや在宅での介護の現場を取材。結城康博・淑徳大総合福祉学部教授をゲストに、介護保険制度の課題や国が進める「税と社会保障の一体改革」の問題点について考える。

■放送は23日午後6時から、キャスターは、元村有希子・毎日新聞科学環境部編集委員と黒塚まやさん、コメンテーターはジャーナリストの山路徹さん。(毎日新聞デジタル)

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