無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

2014年03月

特養の個室率が上昇している状況が明らかになってきました(高齢者住宅新聞3月26日号)。これは大変好ましいことかと思いますが、一方においてはご利用者の月額の負担も増える傾向にあるのではないでしょうか? 

まだ依然として値段の安い相部屋のニーズも高いものがあります。今後、個室化が進んできた場合には特養にも入れない方々が増えてくるのではないでしょうか。
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■2012年10月1日時点での特養の個室割合が67.5%と2011年10月1日より2.7ポイント上昇したことが厚生労働省の調査で明らかになった。これは3月13日に公表された「平成24年介護サービス施設・事業所調査」の調査結果に基づく。

■全国の特養数は6590。定員総数は47万5695人。1施設あたりの定員数は72.1人。平均入居率は97.8%となった。

■全居室に占める個室の割合は67.5%で前年より2.7ポイント上昇。4人部屋の割合は前年より1.8ポイント減少し、21.6%となった。

■個室化の比率は老健の42.3%、介護療養型医療施設の20.1%に比べて高いものとなっている。ちなみに、老健、介護療養型医療施設ともに居室で最も多いのは4人部屋。いずれも2011年に比べると減少しているものの、それぞれ全居室の41.5%、50.8%を占めている。

■ユニットケアを実施している施設は36.1%、1施設あたりの平均ユニット数は6.1.

■入居者の平均要介護度は3.89で前年と同じ。ここ5年間でも「ほぼ横ばい状態となっている。

■入居比率に占める割合が最も多いのは要介護度5で全体の35.3%を占めている。尚、この割合は2011年より0.5ポイント減少した。又、次回の介護保険制度改正で、特養の入居対象者から外される見込みの要介護1または2の入居者は全体の11.6%を占めており、微減傾向が続いている。

特養待機52万人、4年で10万人増 大半が重い要介護厚労省集計(日経新聞2014年3月26日)

特養の待機者が又増加ました。従来42万人と云われていましたが、4年で10万人も増加しています。後期高齢者の増加に比例して重度対応型の高齢者住宅の必要性を強く感じます。
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■厚生労働省は25日、特別養護老人ホーム(特養)への入所を希望している待機者が、今年3月の集計で全国に約52万2千人に上ると発表した。2009年12月の前回集計の約42万1千人から約10万人増えた。

食事や排せつに介助が必要な要介護3~5の中重度者は約34万4千人で、待機者全体の3分の2を占めた。 待機者が増加したのは、高齢化が進み、自治体の特養整備状況を入所希望が上回っているためだ。政府は施設入所から在宅介護への移行を促しており、15年度からは特養への入所を原則、要介護3以上に限定する方針。

■ただ、今回の集計結果は特養での介護を望む高齢者が依然として多いことを示しており、政府方針とのギャップが浮き彫りになった。安心して暮らせるよう、施設整備に限らず在宅介護の体制充実が急務といえそうだ。

<前回に続く>

■例えば、ドイツでは連邦医師会の終末期に関する事前ルール(ガイドライン)に治療に差し控え・中止の判断基準という形でスイッチが設置されている。具体的には「治療効果が望めない場合には、全ての選択肢を患者に説明した上で、治療の差し控えか中止を推奨する」と定められている。患者は、医師の提案に同意することでスイッチを押す。ガイドラインに従っている限り、医師は連邦医師会により法的に保護されている。

デンマークでは、加齢で身体が衰弱したり栄養摂取が困難になったりした場合がスイッチである。スイッチを押す人は、患者や家族と信頼関係にある総合診療医(GP)である。ドイツのようにルールがなくても問題が起きないのは、老衰などに積極的治療を行わないという社会的合意があるためと考えられる。

■03年に医学雑誌ランセットに掲載されたロッテルダム大学のハイデ医師らの研究によれば、デンマークで終末期と診断された場合は、若年層も含めた全体の約3分の1で、QOL重視への切り替えが実施されている。

米国では高齢者向け公的医療保険(メディケア)に「ホスピス給付」というスイッチが導入されている。医師に余命半年と診断されると、従来通り治療を続けるか、ホスピス給付でQOL重視に転換するかを患者が選択できる。このスイッチを患者が押すと患者負担はほぼ無料となり、必要であれば家事ヘルパーやカウンセラーも利用できる。

■日本の現状では、このようなスイッチやそれを押す人が曖昧である。今回の診療報酬改定の効果を十分なものにするためにも、医療の目的を転換する仕組みや意思決定の担当者を明確にする必要がある。

「在宅医療の促進に限界」という記事が3月19日日経新聞経済教室に掲載されていました。診療報酬を考えるというテーマです。河口洋行 成城大学教授が報告されていますが、大変興味深い内容です。

在宅医療は「終末期ケアに基準を」というものです。最近、この意味するところが非常に良く判る気がします。サービス付高齢者住宅の究極の生き残り戦略はこの点にあるのではないでしょうか。2回にわたって、整理をしてみたいと思います。
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■デンマークでの終末期患者に対する医療の供給は次のようになっています。

■死亡患者は終末期と診断(41%)と突然死(終末期と診断せず)(59%)に分けられ、終末期と診断されれば、「①対症療法や痛みの除去(22%)」、「②治療の差し控えや停止(14%)」は生活の質重視のケアへ移行し、それ以外は「③救命・治療の継続(64%)」に分けられるようです。

■特に注目すべきは①と②です。河口教授はデンマークや、ドイツなどに先例があり、終末期のルールや慣例が重要と云われています。病院から在宅へのカギを握るのは、在宅での看取りを促進する仕組みが必要と訴えておられます。

■在宅で病院と同水準の終末期医療を受けることは困難である。いつかの時点で「救命・治療重視」から患者の「生活の質(QOL)重視」に転換する必要がある。この切り替えのスイッチ(転換する仕組み)」とその「スイッチを押す人(意思決定者)」が誰かは、国民の価値観(死生観)により決定されるべきである。

<次回に続く>

<サ住協調査>診療報酬改定でサ高住の訪問診療が激減?(2014/03/20)

懸念していました高齢者住宅への訪問診療の影響について見出しのアンケート結果が報告されました。概ね74%の医療機関が何らかの形で訪問診療を続けると云われますが、一方22%程度は止めるという結果が出ています。緩和措置の発表で何とか訪問診療を続けて頂けそうな状況下ではありますが、影響は大きいでしょう。
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■一般財団法人サービス付き高齢者向け住宅協会(サ住協)は、3月12日、先ごろ発表された診療報酬改定のなかで、集合住宅に対する診療報酬が大幅に引き下げられたことを受け、サ住協会員または、連携する医療機関に対し、緊急アンケートを行い、その結果を公表した。

■増え続けるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の中でも、医療機関と連携し、訪問診療等を行うところの人気は高い。そのため、医療法人がサ高住を開設したり、医療機関併設のサ高住などもある。

■しかし、移動のコストがほとんどかからないことから、集合住宅に対する診療報酬が大幅に下げられるとなると、連携する医療機関にとっては大打撃だ。
今回は、その心中を率直に聞く内容となっている。

【質問】今回の診療報酬改定を受けて、今後、高齢者向け住まいの入居者に対する訪問診療 の方針をどのように変更すると考えているか。

「医療機関自体を廃院する」9.6%
「高齢者向け住まい全般への訪問診療を止める」2.6%
「一部の高齢者向け住まいへの訪問診療を止める」4.3%
「体制の見直しや診療の効率化等を行い、訪問診療を続ける」22.6%
「これまでどおりの体制で訪問診療を続ける」51.3%

「その他」9.6%

■「その他」を含め、おおむね8割強の医療機関が「これまで通り訪問診療を続ける」と回答していることに安堵したが、一方で、16.5%の医療機関は「訪問診療を止める」という決断をしていることがわかった。しかも驚くべきことに、約10%の医療機関は「廃院する」とまで回答しており、サ公住との連携にうまみがなくなれば、さっさと出張診療所のような形態を排してしまう変わり身の早さがうかがえる。

■入所者の中には、「訪問診療があること」を条件として安心して入居した人もいるだろう。それが診療報酬の改定で、医療機関が踵を返すようなことがあってはならない。

◎サービス付き高齢者向け住宅協会

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