無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

2014年05月

日経新聞に今週、表記の記事が経済教室に連載されました。現在話題になっている重要なテーマだけに、そのポイントを探ってみたいと思います。

初回のレポートは明治大学教授 加藤久和氏によるものです。高度人材200万人増を提案しておられます。ポイントは次の3つとまとめています。

①短期の人手不足と長期の対応は別次元の話

②移民は成長のパートナーとしての位置づけ

③ポイント制改善や留学生の受入加速を


■2010年以降日本の総人口は毎年25万人ずつ減少している。2060年には8670万人となり現在の3分の2となる。高齢化も相まって労働力人口が減り、潜在的な生産能力に負の影響を及ぼすのは間違いない。恒常的な-成長の可能性も高まり、「持続不能」な状況そのものとなろう。

■外国人労働力の導入に関しては、雇用や労働条件への影響、財政的な負担増、社会的コストの拡大などを踏まえた反対が根強い。未熟練外国人労働力の導入は、国内の該当する労働者との間の代替を引き起こし、国内労働者の賃金を引き下げ、また失業率を引き上げるという批判がある。

■しかし、ハーバード大学のウイリアム・カー教授らの実証分析など、欧米の労働市場では外国人導入の負の効果はそれほど大きくないという評価もある。失業給付や生活保護などの潜在的な財政負担が高まるとの見方もあるが、税や社会保障負担による財政への貢献も考慮する必要がある。

■治安維持や社会的統合のための一定の社会的コストは、グローバル化の流れのなかで受け入れなければならない費用と捉えるべきであろう。

<次回に続く>

街の中心に都市機能を集めるコンパクトシティの実現を目指す改正都市再生特別措置法が14日に成立しました。
その内容は次の通り。

■区域を指定し企業に福祉施設やスーパーなどの建設を促す。地方都市の再生には「規制より誘導が有効」との考えにたっている。

■改正の目玉は区域指定。市町村は福祉・医療や商業など生活サービス機能を配置する区域では、施設の用途や容積率の規制を緩和できる。

例えば、最も規制が厳しい第1種低層住居専用地域に介護施設は造れないが、新たに特定用誘導地区という制度を使えば可能となる。容積率の上限も市町村の裁量で決められる。

投資を後押しする税制措置もある。住居とスーパーなどの複合施設を中心に建設事業者に土地を提供し、この施設に住む地権者には譲渡益への所得税課税が繰り延べられる。

しかし、都市計画区域を市街化区域と調整区域に分ける「線引き制度」は都市計画の要であり、開発を抑える調整区域で例が措置を講じて開発が進んだり、どの区域にも属さない「非線引き白地地域」に開発の手が伸びたりと制度の綻びは各地で広がっているといいます。

「線引き制度はコンパクトシティの実現を目指す政策に必ずしも対応していない。土地利用には誘導とルール(規制)の両輪が欠かせない。国がコンパクトシティ推進の旗を掲げるなら、それに合った土地利用制度の構築も急ぐべきだろう」と述べられています。

コンパクトシティ実現のためには土地活用をめぐる制度の見直しも急がれます。

5月19日の日経新聞には最近話題になっている民間の日本創成会議が発表した消滅可能都市について国も対策を急ぐとの話が出ていました。

一番の特徴は、 「既存の人口推計より減少スピードが速い」ということの危機感が漸く、認知され始めたということでしょうか。これまでの国の人口推計よりもその規模は大きく、衝撃をもって受け入れられたようです。

■人口減に備えるため国は5万人以上の市を「中心市」とした定住自立圏構想でも間に合わず、総務省が進めている人口20万人以上の市を核に広域連携を促す「地方中枢拠点都市構想」も間に合うかどうか。

■地方都市だけの問題ではなく、周辺部の地方都市で人口減となれば、当然大都市にも影響がでてくることになります。
東京都も例外ではなく、増田氏は8日の記者会見で「東京は超高齢化が進み(若者の流入が続いても)介護がなりたたなくなる」と強調した。

■自治体の半分が消える事態になれば、大都市圏も無傷ではいられない。

先日日経ヘルスケアの編集の方が来られました。4月の医療報酬の改定がサービス付高齢者向住宅にどのような影響を与えているのかを知るためでした。

やはり、4月以降、徐々に影響が出始めているようです。我が社も同様です。その影響は大きく次のパターンに分かれているようです。

1.同一建物における減額措置に対して月1回は複数の患者を、もう1回は1回に1人の対応を行う(緩和措置対応) 
比較的病院と近い施設において可能となるケース。頻繁に訪問をするために距離が遠くなると対応困難、

2.緩和措置は使わず減額対象とする
 報酬が1/4の減額となるため、夜間対応や休日対応等について不可となるケースが多いようです。重度化になれば看  取り等において高い報酬を得ることで、不足する分をカバーする。

3.コストに見合わないと離脱をする
 地域によっては対応できる医療機関がないために、通常の往診対応のドクターを探さざるを得ない。

一度、エルスリー約50施設がどのような影響を受けているかを調べてみることにします。現状では医療のサポート力は低下をせざるを得ない状況かと推察します。どのように対応するか、新たなビジネスモデルの変更を余儀なくされています。

恐らく、多くのサービス付高齢者住宅において同様の傾向がみられているものと思われます。 

5月19日日経新聞の社説に見出しの記事が掲載されていました。「今の人手不足を奇貨とし、日本の成長力の向上につなげたい」というものです。企業はビジネスモデルの革新を求められています。対策について次のように指摘しています。我々も人手不足をバネに事業革新に取り組まねばなりません。方向性は見えています。後は実行あるのみです。
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1.一人の従業員が生む付加価値を増やすこと教育に力を入れ、質の高い商品やサービスを適正な価格で提供してはどうか。

2.ITの活用で無理なく合理化を進める
サービス業の質を高め、従業員の負担を増やさず仕事を効率化することは、日本の課題であるサービス業の生産性向上につながる。優れたノウハウの蓄積は海外にもプラスだ。

高齢化で介護の分野は、産業としても成長性が高いと期待されている。問題は介護サービスをする人材の確保だ。25年には約100万が足りなくなるとされる。最大のポイントは処遇の改善だ。その為には、

3.サービス向上で収入増をはかること
介護保険制度で報酬は定められているが、事業者の創意工夫で多様なサービスを提供し、働き手の収入を増やす道は開けている。保険外の市場を育てることがカギだ。利用者が介護保険を使いながら、必要に応じて保険の上限を超えるサービスや対象外のサービスを受けることは可能だからだ。
事業者には需要を掘り起こし、より付加価値が高く魅力的なサービスを提供していく努力が求められる。競争を通じてサービスの質を高めていくことが、介護職員の収入と意欲の向上につながる。


福祉機器や介護ロボットの開発、普及も大切だ。介護の負担を軽減するだけでなく、新しい産業育成にもつながる。

人手不足対策としては外国人労働力を様々な分野でもっと活用すべきだという議論がある。人口減による労働力不足を補ううえで外国人はたしかに大きな戦力だ。外国人がやりがいを感じて日本で働くためには、賃金などの待遇の改善も求められよう。そのためにも企業が生み出す付加価値を高める必要がある。事業を革新する力を企業は一段と問われている。

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