無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2014年05月

・離職率が10%未満にとどまっている事業所と30%以上を超えている事業所との二極が起きている。数としては10%未満の事業所が最も厚い層をなしている。介護職は離職率が高いどころか、多くの事業所は非常に低い離職率を実現できているのだ。しかも、10%未満の事業所の中には「職員が1年間で1人もやめないという職場も数多い」。

・介護労働実態調査を細かく見ると、訪問介護系事業所の約7割、施設系事業所の約5割が、正規職員の離職率0%を達成している。

・一方で、全体の離職率を押し上げているのが、30%以上の事業所の存在である。上智大学の藤井准教授は「正確には離職率の二極化ではなく、ロングテール化だ」と話す。

・「30%以上の内容をさらに詳細に分析すると、離職率40%台、50%台、60%台を超える事業所がなだらかに存在し、中には1年間で職員が2回転してしまうような離職率200%に達する事業所もある」藤井氏。

■離職率が高い事業所の特徴は何か?

・介護労働実態調査によれば、事業開始から3年未満の事業所や職員19人以下の小規模事業所で離職率が高いという結果が出ている。また介護サービス別では、有料老人ホームなどの特定施設入居者生活介護や認知症グループホームで離職率が高い。

・ある専門学校の教員はその特徴を次にように話す。
「事業を開始して間もない事業所の場合、組織としての体制が整っていないために、組織や介護サービスのあり方に疑問を抱いたり、多忙による疲労感から離職していく介護職員が多い。」

・小規模事業所については、少人数であるがゆえに、現場をマネジメントできる主任リーダー層の人材不足の問題に直面しがちだ。そのため人事管理が十分に機能していない事業所で、高離職率になっていることが想定される。また狭い職場の中で人間関係に行き詰って辞めていく職員も多いと考えられる。

・一方、有料老人ホームやグループホームの離職率が高い理由について、藤井氏は「一般に職員数が急激に増えている職場ほど、離職率が高くなる傾向にある」と語る。職員数の急激な増加に人事管理が追い付かず、これが高離職率を招いているというのだ。但し、職員数の増加率が落ち着くとともにこの5年間で大幅に改善されつつある。

・いずれにしてもマネジメントが機能不全に陥っている職場ほど、離職率が高いといえる。

<次回に続く>
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<前回に続く>

②介護という職種の社会的地位を上げる

・誰にでもできる仕事と思われているがゆえに、介護職はその専門性について言及されることがない。資格をとっても資格手当がつくぐらいで、大きな改善にはならない。現在、厚労省が進めている研修体系の一本化や、キャリア段位制度などは介護職の専門性を高め、社会的な地位を引き上げるための方策の一つと云える。

・介護業界は規模の小さな事業者がひしめいている。その多くは、1法人、1事業所、かつ零細。介護報酬だけに収入を頼れば、人件費も限られる。だが、複数の事業の効果的な組み合わせや、法人間の連携によるバックオフィス機能の効率化など、マネジメントの変革を推進することで雇用の質を高める余地は出てくる」と堀田氏は云う。

・介護報酬を引き上げる以外にも、職員の賃金を上げる方策はまだあるのかもしれない。

③事業所の多くは低離職率、カギはマネジメント

・公益財団法人介護労働安定センターが発表している「介護労働実態調査」によれば、介護職の離職率(1年未満、非正規含む)は2009年度以降16~17%台で推移しており、12年度は17.0%。これに対して厚生労働省の「雇用動向調査」によれば、全産業系の離職率は09年以降、14から16%台で推移しており、12年度は14.8%となっている。

・確かに介護職の離職率は、全産業の平均と比べれば2~3ポイント程度高い状況が続いている。しかし、逆にいえば、数ポイントの差にすぎないともいえる。

・実は、離職率の高さがより深刻なのは、サービス業関連である。平成24年度雇用動向調査によれば、宿泊業・飲食サービス業の離職率は27.0%、生活関連サービス業・娯楽業は21.3%に達している。

・私たちはまず「介護職=高離職率」という先入観を捨てる必要がある。問題は高さではなく、二極化していることである。<次回に続く>
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<前回に続く>
25年までに1.6倍人材確保が喫緊の課題

・現在、日本の介護職員の数は約150万人。団塊世代が一斉に75歳以上となる25年、介護保険の利用者数は現在の約1.5倍にまで増え、その時に必要とされる介護職員は237万人~249万人と推計される。

・だがむやみに人材獲得に走っても、介護サービスの質を落とすだけだ。介護は誰でも入りやすい業界だが、その仕事は決して誰にでもできるものではない。

・介護職員の待遇をもっと上げることで人材を集めようにも、介護保険料や家族の負担に限界があり簡単にできることではない。

■3Kの真実

①本当に賃金は他職種と比べて低いのか?重要な視点の欠如・・・それは介護自体が新しい産業であること

・2000年に介護保険が始まって、今年でまだ14年。現在、介護業界で働く人の多くは、他産業と比べて勤続年数が短い。介護労働安定センターが毎年実施している「介護労働実態調査」の12年調査によると、勤続年数が2年以上10年未満である人が過半数を占め、10年以上の人はわずか1割強に過ぎない。

・勤続年数と年齢を考慮して賃金カーブを作成すると、全産業計との差はぐっと縮まる。カイゴジョブと共同で実施したアンケートでも正規職員の過半数は、月収15万円~20万円未満と回答しているが、アンケート回答者のうち7割強は勤続年数が10年未満の人たちである。10年以上の人に限ってみれば、20万円以上と回答した人が過半数を占める。

・勤続年数を入れた賃金カーブを、他の職種と比べると、介護職員の賃金は一概に低いとはいえないことがわかる。

・女性では、勤続年数が上がるほど、看護師に次いで高くなる点も見逃せない。

・また、上智大学総合人間科学部の藤井賢一郎准教授は、次のような点も指摘する。
「福祉施設介護員」という職種には、施設長や生活相談員は含まれない。一定程度勤務を継続した介護職員の中には管理職のキャリアを歩む人もいるが、こうした人は統計から除かれいてる可能性が高い」

・労働政策研究・研修機構の研究員・堀田聡子氏によれば、「性別、年齢、勤続年数などさまざまな要素を勘案すると、介護職の賃金水準は全産業の中間からやや上との分析もある」。

・「確かに介護は、日本の超高齢化社会を支える重要な仕事だ。しかし、どの仕事でも、その仕事をやってさえいれば生計が立てられるという保証はない。世の中の評価が上がることによってその仕事の価値が上がり、働く人の賃金も上がる。介護職の専門性が地域の中で十分に発揮され、その重要性に対する理解が深まることで仕事の評価を高め、結果的に処遇改善につながる」(堀田氏)

・上智大学の藤井准教授によれば、かつて看護師も3Kなど、現在の介護職とおなじようなことを云われていたという。だが、この30年ほどの間に、社会的地位の高い安定的な仕事として評価されるようになった。准看護師の要請をやめ、大学が看護師養成に積極的にかかわり、医療職としての専門性を高めてきた結果だ。介護職も同じように専門性を高めていくことに大きな意義がある。

<次回に続く>
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5月17日号の週刊東洋経済に見出しの記事の特集が組まれていました。どのようなものかと興味をもって見てみましたが、非常に客観的に介護職について調べておられます。

興味を引いた部分を抽出してご紹介をしたいと思います。非常に参考になります。

介護を過酷な重労働、低賃金で離職率が高いと、俗にいう3K(きつい、給料が低い、高稼働率)の職場としてとらえるのではなく、非常にクリエィティブな仕事としてとらえていることです。
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■実際の現場では職場改善に向けた取り組みが進んでおり、さまざまなイノベーションも起こりつつあると、前向きにとらえています。

・なかなか心を開かない利用者と関係を築こうと試行錯誤を繰り返したり、おむつをつけずトイレに誘導する取り組みを進めていたりと、その仕事内容は実にクリエィティブ。その日の勤務を終えた後、自主的に勉強会やほかの職場の人たちとの交流会に出かけていくポジティブな職員も多い。

・介護は人間が相手なので正解がない世界。自分なりのアプローチで重い認知症の方と心が通じ合えたりする。イベントの司会もやれば書類作成の仕事もあり、ご家族への接遇も大事。幅広くいろいろな経験ができて、自分の成長も感じられる仕事だと思う。

■これまでネガティブなイメージが根付いてしまった大きな原因は第一にメディアにあると指摘しています。特に07年~08年にかけて、介護現場の厳しい労働条件、介護施設での虐待、コムスン事件などのネガティブな報道が相次いだことにも起因していると述べられています。

又、業界で働いている人たち自身が、必要以上にネガティブな発信ばかりしてきたことも原因の一つ(日本介護ネットワーク協会関口貴巳の指摘も紹介されています。

<次回に続く>

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5月16日(木)、17日(金)と2日間にわたって佐賀県神埼市に誕生したエルスリー佐賀神崎の内覧会が開催されました。
田園風景の中、隣は中学校と大変良い環境にあります。

佐賀は最近は医療系を含めて大変競争が厳しくなってきておりますが、それに負けない理想的な高齢者住宅をつくろうとスタッフ一同張り切っています。ゆるキャラも総動員でお出迎えです。

大変若いホーム長を中心に、今までにないキャラクターで新しい旋風を巻き起こしてくれるものと期待しています。
神崎0 神崎1
 
神崎2 神崎3
 
神崎5 神崎7神崎6
 

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