無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

2014年08月

引き続き、独立行政法人国立長寿医療センター名誉総長の著書、「医療のかたち、国のかたち」について、ポイントを整理してみたいと思います。

<病院医療から在宅医療への転換>

■これまでの医療にはもう一つ大きな特徴がある。それは「病気に関わることはすべて病院で」というような医療を推進してきたということ。生まれてから死ぬまですべて病院というやり方である。

■しかし、病院は高度で高額の医療機器を集中的に整備し、人も非常に厚く配置して、先端の高度な医療を提供できるような環境を整えている。したがって、そのような環境でしか扱えない病気だけを扱うべきではないか。そういう考えがあっても不思議ではない。

■治療の場としての病院とは、言ってみれば緊急避難のときの隔離社会のようなもので、そのような社会から隔離されたところで何日間か生活するというのは、そこでしかできない病気の治療、高度専門医療を受けるために。やむを得ずそうするのである。

■高度専門医療ではなく、病院でなくても可能な医療なら、生活の場である家や地域のなかで行うのが当たり前ではないか。

■こう考えてくると、治療の場の問題というのは、単に社会資源の有効活用という合理的な話だけではなく、人にとってどんな終末期の在り方がよいのかという根本的な問題だということがわかる。

■生活を中心に考えれば、その核となるのは在宅医療である。在宅医療は、生活の場のなかにある医療そのもので、動くことは困難だが、病状が一定している高齢者にとっては望ましい医療提供の在り方だといえる。

■国民だけでなく医療関係者でさえも、在宅医療に関して十分な理解ができていない。病気なら何でも病院にいくという文化を、戦後40年、50年かけてつくってきてしまったのである。

8月30日の日経新聞に見出しの記事が掲載されいます。今後の看護師の活躍が期待されます。我々も積極的にかかわっていきたいと考えております。従来の訪問診療だけではこれからの在宅ケアは困難です。

■女性が9割以上を占める看護師の仕事の幅が広がり始めた。医師不足や在宅医療の普及などを背景に、医師の判断を待つだけではなく、自ら診療行為の一部を担ったり、介護・看護事業を手掛けたりする動きがでてきた。

■政府は今後増え続ける虚弱な高齢者にできる限り自宅や高齢者住宅などで「療養してもらう方針。そのため病院ではなく、高齢者宅や介護施設で活躍する看護師が増える。

■診療行為は原則として医師にしか認められていない。特定に診療行為ができる研修を受けた「特定看護師」であれば可能となる。政府は医師不足を踏まえてこうした看護師の育成に向けて制度作りを進めている。

■国の試行事業などで一定の研修を受け、一部の診療行為が担える看護師は現在全国に250人ほどいるとされる。15年10月以降、法律に基づく研修制度が始まればさらに増える見通しだ。

■がんや在宅看護など特定の分野について高い専門性と相談・調整能力を併せ持つ「専門看護師」、各分野で熟練した技術を持つ「認定看護師」といった日本介護協会が定める資格もある。それぞれやぅ1300人、1万4000人いる。

■全国で働く看護師は増え続けており、現在100万人を超えたが、まだ人数は足りない。高度な能力を発揮する機会が増え、看護師の需要は更に高まりそうだ。

8月20日の高齢者住宅新聞で見出しの記事が掲載されました。結果として報酬不十分となっています。

■(財)介護労働安定センターは8月11日、2013年度に実施した「事業所における介護労働実態調査」の結果を発表。

■2012年度10月から1年間の離職率は、全体で16.6%(昨年17.0%9と昨年より若干改善。採用率は全体で21.7%(同23.3%)であった。

■全体では「不足感がある」と回答した事務所は全体の56.5%と、「適当」(43.0%)と答えた事業所よりも多く、まだまだ人手不足が解消しているとは言えない結果となった。

■介護サービスを運営する上での問題点をみると、全体では約半数が「良質な人材の確保」が難しい」(54.0%)と問題を抱え。「今の介護報酬では人事の確保・定着のために十分な賃金を払えない」(46.9%)、「書類作成が煩雑で、時間に追われている」(30.7%)など、十分な報酬がないたま採用を増やせず、その結果、仕事に追われているという構図が浮き彫りになった。

■また採用が困難である事業所は約7割。その原因を訪ねたところ「賃金が低い」(55.4%)、「(身体的・精神的に)仕事がきつい」(48.6%)ことがあげられた。

■しかし、「事業拡大をしたいが人材が確保できない」は昨年に比べ8.6ポイント減の19.3%と改善している。

「どこで最期を迎える、理想の最後」日経新聞8月29日

終末介護「ターミナルケア」について述べられています。まだまだ制度的な課題が多いです。
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■3000万人の高齢者が暮らす日本は、年間130万人が亡くなる「多死社会」でもある。

■日本では病院で死を迎える人が約8割を占める。欧米諸国は3~5割で、自宅に近いナーシングホーム(高齢者の療養施設)やケア付き住宅が多い。

■国は2000年代以降、先進国で突出して長い入院日数の短縮に力を注ぐなど、高齢者の療養の場を病院などから地域や家庭に転換する政策を進めた。一方で、高齢者が退院後に行き場を失う状況も生まれた。

■高齢者人口に占める介護施設や住宅などの定員は4%程度にとどまる。有料老人ホームは12年時点で約7500施設と4年間で倍増したが、需要に追い付かない。厚生労働省によると、特別養護老人ホームに入りたくても入れない人は13年に全国で52万人に達する。

■厚労省は在宅医療を担う医師を増やそうと06年、「在宅療養支援診療所」制度を作った。全国在宅療養支援診療所事務局長で医療法人アスムス(栃木県小山市)理事長の太田秀樹医師は「病院中心の医療システムに虚弱な高齢者を支える機能は小さい。超高齢社会の在宅医療は、病院に行かずにすむような生活を支えるところに本領がある」と話す。

■20年後には年間170万人が亡くなる時代になる。誰もが安心して最期を迎えられる医療・介護の仕組みを整える時間的余裕は乏しい。しかし、トップランナーとして地道に築いていけば、日本を追って超高齢社会に向かうアジア諸国の手本になるはずだ。

介護の現場では社会福祉法人との競合が最近は多くなっています。高齢者住宅にご入居の高齢者が介護度が3以上になると社会福祉法人の特別養護老人ホームに移動されるケースが増えています。いずれも相部屋タイプの低価格での入居です。

社会福祉法人の経営の内容そして、制度上の問題が議論されます。是非、公正なルールの元で競争ができる制度改革をお願いしたいと思います。

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社会福祉法人の8割、金融資産1億円以上(日経新聞8月26日)

介護や保育などを手掛ける社会福祉法人の8割が1億円以上の金融資産を持つことが、みずほ証券のアンケート調査でわかった。うち半数の4割は5億円以上を保有する。

■社福法人は国や自治体から課税減免や補助金などで手厚い保護を受けている。27日から本格化する社福法人の改革論議にも一石を投じそうだ。

■全国には計2万弱の社福法人がある。みずほ証券はこのうち、年間の事業収入で10億円以上を目安に約3千法人を選んでアンケートを行い、320件の回答を得た。調査期間は2014年5~6月で、今回が初めてだ。

■社福法人が保有する金融資産では「1億円以上5億円未満」が39%で最も多く、これに「10億円以上50億円未満」が20%、「5億円以上10億円未満」が18%で続いた。

■金融資産(複数回答)は「銀行預金」88%、「国債・公共債」が43%と高かった。株式など比較的リスクの大きい金融商品はいずれも10%を下回った。

■介護や保育に参入した企業からは、国や自治体の保護を受ける社福法人との競争条件が公平でないとの批判が強い。

■厚生労働省は27日からの社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の福祉部会で社福法人改革を議論する。年内にとりまとめ、15年の通常国会に社会福祉法改正案の提出を目指す。

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