無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2014年09月

認知症 ともに歩む

「痴呆」から「認知症」に呼び名が改められて10年。認知症とどう向き合うのか、その最前線が報告されています。注目すべき記事について掲載しておきます。
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■認知症は国内だけの問題ではない。世界の患者数は推定約4400万人。2030年には7600万人に増えるとの予測もある。介護などにかかる社会保障費は急増し、各国の財政を圧迫する。

■認知症の治療研究はなかなか前に進まない。ここ数年、メガファーマと呼ぶ世界の巨大製薬会社がアミロイドβを標的にした薬の臨床試験でに取り組んだが、次々と中止に追い込まれた。病気の解明が進むにつれ、手ごわさがわかってきた。

■薬の開発競争の行方は混沌とする。15年前に初期の進行を遅らせる薬「アリセプト」を世界に先んじて送り出したエーザイの杉本八郎は「出遅れ感がある日本の製薬会社や資金量で劣るベンチャーにも十分チャンスはある」とみる。

■5月から6月にかけて、富士フイルムグループは独自開発の新薬候補の効果をみる治験(第2段階)を日米で始めた。米国では全米最大のアルツファイマー病研究機関「ADCS」の支援を受けた。神経細胞を保護する作用があるという。同社グループの富山化学工業常務執行役員の安藤良光は「動物実験では認知機能を改善できた」と十分な手応えを感じている。

■iPS細胞を活用し、将来効きそうな人を事前に選ぶ手法も開発する方針だ。
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<前回に続く>

203年までに多くの市町村の人口が減少します。その特徴とは次の通りです。
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■国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、福島県を除く1680市区町村のうち、2030年の人口が15年に比べて2割以上も減る自治体は509ある。

■人口が増える自治体は81。全体のわずか4%にすぎなかった。

■減少率トップは群馬県南牧村の46%減。奈良県川上村(42%減)、高知県大豊町(42%減)と続く。山深く、過疎に悩む村だ。

■人口が10万人以上の市に限って比較すると、減少率が最も大きいのは北海道小樽市。次いで岩手県一関市、北海道函館市、福岡県大牟田市、山形県酒田市。

■交通の要衝として栄えた都市が多いが、首都圏のほか、札幌、福岡、仙台といったブロック中枢都市への人口流出の影響を受けている。

■人口が増えた自治体は大都市の近郊が多い。福岡市に近い福岡県粕屋町(14%増)や仙台に近い宮城県富谷町(12%増)などだ。

■政府は60年に1億人の人口確保を目標に掲げ、対策に乗り出した。ただ出生率が30年に1億人維持の前提となる2・07まで上がっても、当面は人口減の流れは変わらない。

■法政大の小峰隆夫教授は「地方活性化は分散よりも集中を大事にすべきだ。薄く広くお金をばらまいても効果がない。東京、ブロック都市、県庁所在地、市町村の中心部と、それぞれに集中させる対策が必要」と指摘する。
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<前回に続く>

■30年までに市町村の3割は人口が2割以上減る。この間、現役世代は1千万人近く減り、国民の3人に1人が引退世代になる時代が到来する。世界に例のない人口の病をどう克服するのか。

■中心に住民移転
北海道夕張市。11年に廃校になった旧夕張小学校は、農場に生まれ変わっていた。体育館でホワイトアスパラやチコリなどの西洋野菜が育ち、校庭ではトウモロコシが実る。「百貨店の物産展に出品し、雇用を増やしたい」。学校を市から譲渡された社団法人の安斉尚朋(41)は意気込む。

■人口減にあえぐ街にとって夕張は1つの解を示す。住民の流出で財政破綻に至った衝撃から、官民を挙げた街のリストラが進む。東京23区が収まる面積に学校は小中高それぞれ1つ。残りは農場や介護施設、郵便局への転用を決めた。公営住宅の入居者の中心部への移転も数千人規模で進む。

■人口減が招く危機は社会の傷みだけではない。内閣府の分析では人口が集積する地域ほど交流を通じてイノベーションが生まれ、経済成長力が高い。人口密度の低下は経済活力を損ない、さらなる人口減を招く悪循環にはまる懸念がある。

■夕張は破綻した07年までの10年間で人が4分の1減った。国の推計を分析すると、30年までに破綻前の夕張以上の人口減に直面する市町村は全体の1割強、223にもなる。各地で「次の夕張」が続出しかねない。

■少子化対策と同時に、人がさらに減る未来を前提にした社会の再設計が要る。夕張市長の鈴木直道(33)は訴える。「自分の街を縮小させることはつらいが、住民も政治家も将来を考えて決断すべきだ」
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<前回に続く>

※水道維持できず

■日本の総人口は1億2704万人。ピークの08年から104万人減った。深刻なのは世代のひずみだ。15~64歳が400万人弱減り、65歳以上が400万人超増えた。横浜市の人口を上回る規模の年齢構成の変化に耐えかね、あちこちで社会が傷み始めている。

■「このままだと水が出なくなります」。5月、埼玉県秩父市の担当者は住民に頭を下げた。水道管の老朽化で家に届くまでに3割の水が漏れ、修復のために水道料金を上げる計画だからだ。人口減で料金収入が減り、本来35%の値上げが必要。だが「負担が重い」と市議会が反発して半額にとどめ、一般会計で不足を埋める綱渡りになる。

■防災にも影を落とす。南海トラフ巨大地震への備えを急ぐ愛知県瀬戸市。消防団員は定数の268人を18人割り込んだままだ。「助かる命も助からない」(消防本部)。飲食店での割り引き特典を付けるなど躍起だ。

■農村から都市に広がり始めた人口減の打撃。民間有識者による日本創成会議が5月に公表した独自の人口推計は、20~39歳の女性が40年までに半減する896自治体を「消滅可能性都市」とした。このなかには青森、秋田、旭川など279もの市が含まれている。

■外壁や窓は落下し、鉄筋は腐食――。都市では小中学校の老朽化が深刻だ。築30年以上の施設の割合は政令指定都市で6割を超す。国の試算では、全国の小中学校の施設維持にかける支出を今の学校建築費の年8千億円より抑えようとすると、施設を35%減らすと同時に、約40年の施設の寿命を改修によって築80年まで延ばす必要がある。
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<前回に続く>

■ 『若い世代と混住』  危機を防ぐには、新たな支え合いの仕組みが要る。

■高齢者支援を担うNPO法人「人と人をつなぐ会」はミニ保険会社のメモリード・ライフ(東京)と組み、一人暮らしの高齢者のリスクを補償する保険の取り扱いを始めた。

■高齢者世帯を見守り、遺品整理や葬儀手配も引き受ける。 NPO法人会長の本庄有由(76)は「住民の善意に頼る仕組みでは限界がある」と話す。

■品川区は若い世代と高齢者の「混住」をつくり出そうとしている。
齢化が著しい八潮地区につくった「住み替え相談センター」を拠点に、高齢者向け住宅を若年層に紹介する。空いた住戸に若い世代を呼び込み、地域に老若(ろうにゃく)の支え合いを創る狙いだ。ただ都内だけで高齢者のケアを完結させるのは限界もある。

■杉並区は静岡県南伊豆町に特別養護老人ホームをつくり、区民を優先的に入所させる構想を進める。
特養に入れない人が約2千人いるが、区内では用地が確保できず整備が進まないからだ。

■特養は寝たきりや認知症など重度の人が対象。それだけに本人の意に反して住み慣れた地を離れる「うば捨て」の懸念も強く、国は移住型に慎重だ。

■だが特養ができれば人口減が続く南伊豆町にも雇用が生まれ、家族が街を訪れる利点がある。  「東京は周辺自治体と協力しないと介護の将来を描けない」。 日本創成会議座長の増田寛也元総務相は話す。

■『高齢者、3割が単身』
 東京の高齢化は高齢者の人数が増えるだけでなく、質的な変化がある。みずほ情報総研の藤森克彦・主席研究員は「後期高齢者化、単身世帯化、未婚化を伴う」と分析する。

■2010年から35年かけて都内の75歳以上の後期高齢者は80万人(65%)増える。 増加率は高齢者全体の41%を大きく上回る。

■世帯の姿も変わる。 高齢者に占める単身者の割合は既に全国平均より高い24%だが、28%にまで拡大する。ずっと未婚で子供のいない独り暮らしが多くなる。

■家族のいないお年寄りをどう支えるか。 特別養護老人ホームなどは既に待機者であふれ、供給不足は今後一段と深刻になる。藤森氏は杉並区のような「地方との連携は一つに手」と位置づけた上で「地域の絆作りも重要」と指摘する。

■高齢化率が5割前後のマンモス団地、都営戸山ハイツ(新宿区)の一角には無料のよろず相談所「暮らしの保健室」がある。 地域で長く訪問看護に携わる秋山正子室長が11年に開いた。病気や障害、住まい、お金。 「高齢者は個々に様々な問題を抱えている。 一人ひとりに向き合い寄り添うことが大切」と秋山室長。相談は年間延べ800件近くに上る。

■ 官と民が手をつなぎ、医療や介護など縦割りになりがちな支援策を橋渡しし、高齢者の暮らしに目を配る。こうした活動を広げることも、首都の超高齢化を乗り切る条件になる。
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