無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2014年11月

<前回に続く>

■誰の人件費が削られるのか? 現場職員ももっと声を上げていく必要がある

■もし人件費を削るとすると、誰の人件費を削るでしょう? 機能訓練指導員のほとんどは看護師・准看護師です。看護師不足、確保困難はもはや説明するまでもないです。管理者や生活相談員も資格要件があり人材確保は簡単ではありません。とすると配置のみを考えると資格要件も経験も必要ない介護職員に焦点があたってくるのではないでしょうか? シビアに合理的な選択をしていくと、こうなる可能性もあるわけです。

■しかし実際は、介護職員の質が事業所の質を左右しているといっても過言ではないほど重要な役割を担っています。介護職員処遇改善加算は手厚くなりそうですが、それがどの程度給与に反映されるのかはまだわかりません。

■経営者ではなく、現場で活躍している介護職員ほど声を上げていかなければならないのではないでしょうか? それとも、大好きな介護の仕事ができるなら給与はいくら低くても構わないって思っているのでしょうか? でも正直者が馬鹿を見るような世の中は嫌ですね。もっと介護職員の評価・待遇が上がっていってほしいと思います。

■第115回の介護給付費分科会では介護職員処遇改善加算についても話されました。これは介護職員の質というより、組織の質を評価して介護職員の待遇に反映させるというものです。就職売り手市場の介護職員は職場選びもとても重要ですね。
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<前回に続く>

報酬減で人件費が削られる可能性も
 1点目についてもう少し詳しく説明したいと思います。

■現在、小規模デイサービスの客単価は約1万円程度だと思います。ちなみに私が運営しているデイサービスは10,700円前後です。

■定員10名で月25日営業(日曜休み)、稼働率が7割とすると、事業所の収入は10(定員)×25(営業日)×0.7(稼働率)×10,000(単価)=1,750,000円です。人件費率を収入の5割程度だとすると875,000円です。経営者はだいたいこのラインを意識しているのではないでしょうか。

■管理者兼生活相談員1名、介護職員2名、機能訓練指導員1名で運営しているとすると、一人あたり218,750円です。管理者、生活相談員、機能訓練指導員は介護職員よりも給与が高いのが一般的ですので、介護職員の給与はこれよりも減ることになります。これも稼働率7割を達成しての話です。これが10%の報酬減になるとしたら、上記の例では月に175,000円のマイナスです。

■経費削減で埋め合わせができればいいですが、消費税も上がってくる中で月に17万円以上も経費削減するのは容易ではありません。できても数万円程度でしょう。この先は経営者の考え方によって大きく変わってくると思います。人件費を削る、稼働率を上げる、定員を増やす、役員報酬を下げるなどいろいろな対策を、経営者の考え方によりバランスをとってやっていてくことになると思います。これまでと何も変わらずにやっていける事業所はほとんどないでしょう。
<次回に続く>

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介護報酬改定 vol.2 法改正が現場職員に与える影響
by 孤高の人 (医療・介護サービス経営者) 2014-11-26

来年度の介護報酬改定が小規模デイサービスに与える影響について前にも紹介しましたが、引き続きその影響について紹介しておきます。
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前回に続き、今回は報酬改定での小規模デイサービスにおける変更点が、現場に与える影響について考えてみる。

経営者だけではない、現場にとっても切実な影響が・・ 
■前回、平成27年度介護報酬改定での小規模デイサービスの変更点を列挙してみました。とても大きな変更点がたくさんありましたが、現場の介護職員はそれほど法改正の行方に敏感ではないように感じます。話が出るのは、「報酬が減らされてどうやってやりくりしていくのか?」という経営者サイドの声が多いように思えます。

■ しかし、現場で働く人たちにとっても、法改正は本来、とても影響のある出来事のはずです。現場の職員にとって、どんな影響があるのか考えてみました。

■介護報酬減で、人件費(給与・賞与)が削られる可能性がある。また、昇給ができなくなる可能性がある=年収減
認知症介護実践者研修修了者(認知症対応)、看護師(重度対応)、理学療法士等のセラピスト(総合訓練)など有資格者中心の機能評価及び加算算定となるため、相対的に介護職員の社会的地位がますます低くなるのでは?
迎え、送りに併せて訪問介護のような仕事もこなさないといけなくなる


というような点があげられると思います。

■これらは、けっこう切実な問題だと思います。もうほぼ決まっているようなものなので、いまさらこれをどうこう出来るわけではないのですが、デイサービスの在り方が変わっていくなかで、現場職員の在り方も変わってくることになるのだと思っています。

<次回に続く>

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2014衆院選:とっとりの現場から/3 高齢者介護 サービス低下、不安広がる /鳥取
毎日新聞 2014年11月29日 地方版

地方都市から来年の介護保険制度改正にむけて不安が広がっています。
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◇消費増税しても「悪くなる一方」

■「要支援が国の制度から切り捨てられる。住んでいる地域の介護が今後どうなるのか、とても不安」。

■10月上旬、介護保険制度を巡り利用者や家族などが参加した鳥取市内での勉強会で、高齢女性の一人が嘆いた。今年6月の法改正で、来年4月から一部サービスを市町村事業に移管するなど、介護保険制度が大きく変わる。民主党は来月2日公示の衆院選をにらんだマニフェストで「サービスの低下」「介護離職が増えるおそれがある」などと批判を強め、県内でも施設関係者や自治体に不安が広がる。

■介護保険では介護の必要性が軽い順に「要支援1、2」「要介護1〜5」の7段階の区分があり、この要介護度を基に利用額の上限などを定める。自公政権は今年6月に「地域医療・介護確保法」を制定し、「要支援1、2」の対象の通所介護(デイサービス)と訪問介護(ホームヘルパー)を来年4月から3年間かけて市町村事業に移すことになった。

■これまで全国一律だった価格とサービスは、国が示す上限の範囲内で市町村が独自に決定。事業所への報酬の単価も決めることになる。自治体の財政状況などにより価格やサービスに格差が生じる恐れをはらんでいる。

■「給付額が減る可能性がある今回の変更は大きな痛手」と話すのは鳥取市でデイサービス施設を運営する男性(61)だ。この施設では約4割の利用者が「要支援1、2」という。県内の「要支援1、2」認定者は計8380人(12年度)で、要介護度認定者の26%を占める。「小さい事業所は減収の影響をもろに受ける。立ちゆかなくなるところも出るだろう」

■移管先となる自治体の戸惑いも大きい。鳥取市高齢社会課は移管について「詳細はまだ白紙」と、準備不足を口にする。国はコストを抑える切り札としてボランティアの活用を想定しているが、「市内に介護のボランティア団体は無いと思うので、何とも言えない」
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介護施設の現状
転倒防止笠間睦 (かさま・あつし)先生(2014年11月29日)

高齢者施設における事故の発生について述べておられます。これは高齢者施設の現状かと思います。
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■高齢者施設における転倒→骨折事故は、かなり多く発生しているのが現状です。

■2013年2月9日付朝日新聞生活面においては、2011年度の北海道の資料をもとに作製された高齢者施設などでの事故の内訳が報告されておりましたね。

■その資料によれば、事故の上位ランキングは以下のようになっています。
 1位:骨折(54.2%)
 2位:打撲(18.9%)
 3位:薬の飲み間違い─誤薬(13.9%)
 4位:誤嚥(4.4%)
 5位:無断外出─徘徊で一時行方不明になった例など(2.0%)


介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム;特養)などの高齢者施設は、介護事故が起きた場合、法令で市町村への報告が義務づけられています。また、有料老人ホームも都道府県が定める「指導指針」などに沿って、事故報告が必要です。

しかしながら、北海道のように事故件数を公表する自治体は少数派であり、また、どこまでを報告対象にするかは自治体の判断に委ねられており、報告すべき事故の基準が都道府県や市町村ごとに違うため全国集計が困難であるのが現状です。
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