無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2015年05月

ついにコンビニが「介護」を始めた!異分野事業との融合で超高齢化社会のインフラに
(フーズチャンネル2015年5月27日)白田 茜(フリーランス記者) 2015年05月27日

コンビニ業界が介護事業に進出を始めています。介護事業者がコンビニのフランチャイズ店を経営する、という新しい展開が生まれていています。注目すべき内容です。

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食品業界で介護食や介護サービスが注目されている。コンビニ業界では高齢者層の取り込みに力を入れ、宅配サービスでもしのぎを削っている。2015年4月にはローソンが介護食や介護用品、介護サービスを提供する「介護コンビニ」を初出店した。

コンビニが「介護」に力を入れている背景について迫ってみたい。

シニアのサロンまで併設、「介護コンビニ」の登場
2015年4月3日、ローソンは埼玉県川口市に「介護コンビニ」1号店をオープンした。「かたさ」や「粘度」で食品を分類した「ユニバーサルフード」などの介護食や、介護関連用品も取り揃えるほか、介護の相談窓口も設けているという。

店舗を運営するのは、首都圏で介護事業を展開する「ウイズネット」(さいたま市)。ローソンの加盟店となっている。介護事業者が運営することで、コンビニにケアマネージャーが常駐し、要介護申請の手伝いや介護ケアのアドバイスなどのサービスが可能になったわけだ。

同店には、シニアのコミュニティの場となる「サロン」まで併設されている。自治体や医療機関、介護事業所などの高齢者向けの情報を提供していくという。また、コンビニの標準的な品揃えのほか、約70品の介護関連商品を取り扱っている。ウイズネットの在宅サービスと連携した宅配などの買い物サポートも展開するという。

ローソンにとっては、加盟店からの加盟料やロイヤリティが収益になる。加盟店のウイズネットにとっても、ローソンのノウハウや「看板」を使えるので宣伝効果も見込める。提携は両者にとってメリットがありそうだ。

ローソンによると、2015年夏を目処に「介護コンビニ」2号店を埼玉県さいたま市内にオープンする予定。ほかの介護事業者にも加盟店になってもらい、大阪や名古屋など大都市部を中心に2017年度末までに約30店舗を出店する計画だという。

<次回に続く>
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認知症:社会的負担14.5兆円 医療、介護費用など試算 厚労省
毎日新聞 2015年05月30日 東京朝刊

認知症の社会負担について初めて試算がなされています。この負担を抑えるための社会インフラの整備が不可欠です。

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■認知症患者の医療や介護の費用、家族らによる日常的なケアなど、認知症にかかわる社会全体の負担(社会的コスト)が、年間約14兆5000億円に上ることが、厚生労働省研究班の推計で29日明らかになった。

■国内総生産(GDP)の3%に相当する。国内の認知症の社会的コストが試算されたのは初めて。高齢人口がさらに増える2060年には、約24兆3000億円に膨らむ見込みという。

■推計の対象は、14年に医療機関にかかったり、介護サービスを受けていたりする認知症患者約200万人。

■医療費は全国の医療保険の診療報酬明細、介護費はサービス受給者数と平均利用額から計算した。無償で実施されている家族らのケアは、認知症患者を介助する全国4236人に調査用紙を送り、食事や入浴の介助など在宅ケアの内容と時間を質問した。回答のあった1685人のデータから、支払われたはずの労働対価を計算した。

■推計の結果、年間の社会的コストの内訳は、入院・外来医療費1兆9000億円▽施設・在宅介護費6兆4000億円▽家族らによるケア6兆2000億円(要介護者1人当たり382万円)−−となった。

■研究班主任の佐渡充洋・慶応大助教(精神・神経科学)は「これまで見えていなかった無償ケアの負担が大きいことが分かった。社会全体で介護者を支える仕組み作りが、患者の生活の質を向上させるうえでも重要だ」と話す。

■別の厚労省研究班の推計では、12年の国内の認知症患者数は462万人。

■予備群である軽度認知障害の高齢者も約400万人いるとされ、医療機関や介護施設にかかっていない人も含めると社会的コストはさらに膨らむ可能性がある。【阿部周一】
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今年の介護事業所の倒産、過去最悪ペース- 改定と人手不足が影響? 東京商工リサーチ
(キャリアブレイン 2015年5月28日)

介護事業所の倒産件数が増えているという記事が掲載されています。今後、更に深刻になる状況が予測されます。4月からの介護報酬改定がどの程度の影響を及ぼすのか、想像がつきません。
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■今年に入り、有料老人ホームや通所介護事業所などの倒産が過去最悪のペースで増え続けていることが、東京商工リサーチの28日までの調査で明らかになった。

■今年1月から4月までの倒産件数は30件を超え、過去最多の倒産件数となった昨年の同期の6割増しとなっている。急増の理由について東京商工リサーチでは、2015年度の介護報酬改定が9年ぶりのマイナス改定となったことや深刻化する人手不足が、事業者の経営意欲をくじいたためと分析。

■今後、マイナス改定の影響が各事業所の業績悪化として顕在化すれば、さらに事業所の倒産に拍車が掛かる可能性もあると指摘している。【ただ正芳】

■東京商工リサーチでは、今年1月から4月までにかけての有料老人ホームや通所介護事業所、訪問介護事業所などの倒産件数やその負債総額などについて、調査・分析した。

■その結果、今年1月から4月までの倒産件数は31件で、過去最多の倒産件数を記録した昨年の同期(19件)と比べて63.1%の増加となった。また、負債総額も34億3300万円で、昨年同期(28億2900万円)から21.3%増加した。

■今年に入って倒産した事業所をサービス種別で見ると、最も多かったのは「訪問介護事業所」(12件)で、「通所・短期入所介護事業所」(11件)がこれに次いだ。また従業員数別では、「5人未満」(21件)が最多で全体の67.7%に達した。さらに、設立年数で最も多かったのが「設立から5年以内」(19件)で、全体の61.2%を占めた。

2割負担導入で、さらに倒産拡大か

■倒産の原因別では、「販売不振(業績不振)」が11件で最多となり、以下は「事業上の失敗」(10件)、「他社倒産の余波」(4件)などの順。倒産の形態別では、「破産」が30件、「民事再生法の適用」が1件だった。

■調査・分析に当たった東京商工リサーチの担当者は、小規模の通所介護事業所の基本報酬が約1割引き下げられるなど、15年度の介護報酬改定は、規模が小さな事業所には特に厳しい内容だった上、8月には一部の利用者の自己負担が2割に引き上げられ、サービスの利用控えを招く恐れもあることから、「今後、介護事業所の倒産がさらに拡大する可能性もある」(情報本部)と警鐘を鳴らしている。
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全国マイケアプラン・ネットワークのホームページから参照させて頂きます。マイケアプラン作成の法的根拠です。
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厚生労働省にききました「自己作成(セルフケアプラン)の法的根拠を教えてください」

マイケアプランネットワーク事務局に寄せられる質問の中に、 「ケアプランを自己作成できる根拠を教えて欲しい」という内容のものが少なからずありますので、そのようなご要望にお応えするため、厚生労働省の担当官に内容を確認していただいたQ&Aを掲載することとしました。

Q1 自己作成って何ですか。
介護保険サービスを利用する時に、居宅サービス計画の作成をケアマネジャーに依頼しないで、本人(実行上家族が成り代わる場合も含む。)が自ら作成した居宅サービス計画のことを「自己作成ケアプラン」、「セルフケアプラン」などと称しております。この自己作成したケアプランを事前に市町村に届け出て受理された場合は、サービス利用時に1割の利用者負担をして、残りの9割分を介護給付として市町村から直接事業者に支払われる、いわゆる現物給付方式でサービスを利用できる仕組みが設けられております。

Q2 でも、ケアプランの作成は介護支援専門員(ケアマネジャー)だけに限定されているのではないですか。
サービス利用時に1割の利用者負担をして、残りの9割分を介護給付として市町村から直接事業者に支払われる、いわゆる現物給付方式でサービスを利用するためには、次のいずれかの手続きが必要です。

1.指定居宅介護支援事業所のケアマネジャーに居宅サービス計画の作成を依頼する旨、事前に市町村に届け出ている場合。

2.要介護認定を受けた高齢者が自ら作成した居宅サービス計画を事前に市町村へ届け出て、受理された場合。

したがって、必ずしもケアプラン(居宅サービス計画)の作成がケアマネジャーだけに限定されているわけではありません。


Q3 そうは言っても、市役所に相談したら、介護保険法に規定がないので、自分で居宅サービス計画をつくっても現物給付の扱いはできないと言われました。それは間違いですか。
それは間違いです。その市役所の担当者は、制度の理解が不十分なため自己作成ケアプランの仕組みを知らないのか、あるいは制度の仕組みは知っているけれども、本人が作成して届け出た居宅サービス計画の介護報酬コードや指定事業所番号などの記載内容をチェックして国民健康保険連合会に給付管理表を送付する事務処理が大変なので、そのような対応をしたのかのどちらかです。

Q4 そうであれば、再度、市役所と話し合ってみたいので、根拠規定を明確に整理した資料はないですか。
1.居宅介護サービス費の支給に関しては、介護保険法第41条第6項に次のように規定されております。すなわち、「その他の厚生労働省令で定める場合」に該当すれば、現物給付が可能であるわけです。「居宅要介護被保険者が指定居宅サービス事業者から指定居宅サービスを受けたとき(当該居宅要介護被保険者が第46条第4項の規定により指定居宅介護支援を受けることにつきつきあらかじめ市町村に届け出ている場合(注1)であって、当該指定居宅サービスが当該居宅支援の対象となっている場合その他の厚生労働省令で定める場合に限る。(注2))は、市町村は、・・・・居宅介護サービス費として当該居宅要介護被保険者に対し支給すべき額の限度において、居宅要介護被保険者に代わり、当該指定居宅サービス事業者に支払うことができる。

2.(注1)の「第46条第4項の規定により指定居宅介護支援を受けることにつきあらかじめ市町村に届け出ている場合」とは、すなわちケアマネジャーに心身の状況などの実態分析~課題設定~居宅サービス計画(ケアプラン)作成~サービス担当者会議~フォローアップという一連の手順による介護支援を指定居宅介護支援事業所に依頼することをあらかじめ市町村に届けている場合をいうものであります。

3.(注2)の「その他の厚生労働省令で定める場合」とは、介護保険法施行規則第64条の規定を指しており、その内容は以下のとおりであり、Q2の説明に記したとおりです。すなわち、自分で作成したケアプランであっても現物給付を可能とする根拠は、介護保険法第41条第6項に基づく介護保険法施行規則第64条第1号ニの規定ということになります。

(参考)介護保険法施行規則(抄)第64条  法第41条第6項 の厚生労働省令で定める場合は、次のとおりとする。一  居宅要介護被保険者が指定居宅サービス(居宅療養管理指導及び特定施設入居者生活介護を除く。)を受ける場合であって、次のいずれかに該当するとき。イ 当該居宅要介護被保険者が法第46条第4項 の規定により指定居宅介護支援を受けることにつきあらかじめ市町村に届け出ている場合であって、当該指定居宅サービスが当該指定居宅介護支援に係る居宅サービス計画の対象となっているとき。ロ 当該居宅要介護被保険者が基準該当居宅介護支援(法第47条第1項第1号に規定する基準該当居宅介護支援をいう。以下同じ。)を受けることにつきあらかじめ市町村に届け出ている場合であって、当該指定居宅サービスが当該基準該当居宅介護支援に係る居宅サービス計画の対象となっているとき。ハ 当該居宅要介護被保険者が小規模多機能型居宅介護を受けることにつきあらかじめ市町村に届け出ている場合であって、当該指定居宅サービスが指定地域密着型サービス基準第74条第1項 の規定により作成された居宅サービス計画の対象となっているとき。ニ 当該居宅要介護被保険者が当該指定居宅サービスを含む指定居宅サービスの利用に係る計画をあらかじめ市町村に届け出ているとき。
Q&Aの最終更新日 : 2015-05-15
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<前回に続く>

仕事を増やしたくない自治体担当者

 自己作成プランが普及しないもう一つの壁は市町村自治体の後ろ向きな姿勢にありそうだ。

「全国マイケアプラン・ネットワーク」の2009年の調査によるとそれは明らかだ。全国の保険者自治体の中で回答のあった896自治体に自己作成の態勢がどの程度整っているかを以下の3項目で聞いている。

(1)保険者発行のパンフレットに自己作成を記載している
(2)自己作成の相談を受ける担当者を決めている
(3)自己作成の手引書を作成している

その結果、各項目で「なし」と解答してきたのは、(1)が76.6%、(2)は65.0%、(3)は87.7%となった。大半の自治体で腰が引けていることがよく分かる。自己作成の普及への意識を問うと「積極的」と「やや積極的」で3.8%に過ぎなかった。

 この調査で、自治体担当者に自己作成についての問題点を聞いているが、その9割近くが「ケアプランを自己作成にすると、利用者からの問い合わせと相談に追われてしまう。プランのチェックや手続きが相当の業務負担となる」と回答してきた。つまり、仕事量を増やしたくないのである。

 この調査を裏付けるような現場の声はよく耳にする。住民が自己作成できることを知って、自治体に手続きに行くと「難しいからやめた方がいい」と断られるケースが各地で頻発している。門前払いを食わす自治体がまだ多い。

 千葉県流山市のAさんもその一人。かつて、自己作成を始めようと市役所を訪れると「複雑で重労働ですから」と暗に拒絶されてしまった。その後、粘り強く折衝を重ねて、自己作成への道を開いた。

 だが、多くの住民は、自治体から前向きな返事をもらえなければ諦めてしまう。介護保険は地方自治体にとって、「地方分権・地方主権の試金石」と当初言われたが、この体たらくでは失格と言わざるを得ないだろう。
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