無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

2015年05月

<前回に続く>

自己作成だと「わがまま」「欲張り」になる?

 高齢者を「無能」扱いしているからかもしれない。介護保険制度や地域のサービス事業者の存在、最も肝心なサービスの内容などにもすべて「無知」なるがゆえに、マネジャーの指図が必要とされる、と決めつけられたのだろうか。

医療を除く他のサービスと違って、介護サービスの原資は税金と保険料。公的なものだから、余分に、無駄に使わないよう一定のハードルを設ける必要があったのだろう。

 そこで、よく指摘されるのが、自己作成だと「わがままプラン」や「欲張りプラン」に走るという問題である。自分勝手になって、「余計なサービスを組み込んでしまう」「家政婦さんと勘違いして沢山の時間を入れがちになる」という批判だ。客観的でなくなるというわけだ。だから、ケアマネジャーが必要という結論になりかねない。本当だろうか。

 先述の高木さんは反論する。

「誰も好き好んで他人を自宅に迎えようとはしない。ヘルパーさんが毎日のように来られては、受け入れるだけで疲れてしまう。自分の生活を第一に考えれば、最低限の必要な時間、回数しか支援を求めなくなる。ケアマネジャーに頼むと、そのプランになかなか文句を言えないが、自分で考えれば、もっと切りつめたプランになる」

 ネットワークの島村代表も「マイケアプランに切り替えたら、それまでのケアマネが立てたプランより、時間や頻度が少なくなったことをよく聞く」と話す。過剰なプランが逆に是正されているのが実態のようだ。

 一方、ケアマネジャーの中には、自社の訪問介護やデイサービスをできるだけ使ってもらうようなプラン作りをしてしまうこともある。所属事業所グループの全体の収益を考えると、こうした誘導をしかねない。過剰プランの原因と指摘される。

 ケアマネジャー本人は中立を保とうとしても、事業所グループの上司から「自社への誘い」を迫られることも少なくない。

<次回に続く>

<前回に続く>

本来、ケアプランを立てるのは「利用者本人」

 まず、第一に考えられるのは、ケアマネジャーを頼まなくても介護サービスを利用できるという事実がきちんと国民に伝わっていないためである。厚労省は積極的にPRしていない。問われれば以下のように答える。

 自己作成の根拠は、介護保険法第41条第6項にある。同6項で居宅介護サービス費の支給について定めており、具体的には介護保険法施行規則第64条第1号二の規定にきちんと書かれている。「当該居宅要介護被保険者が当該指定居宅サービスを含む指定居宅サービスに係る計画をあらかじめ市町村に届け出ているとき」という文言である。

 つまり、利用者が事前に市町村に在宅サービスの内容を届けていればよいのである。この条文の理解が、自治体にも介護関係者全般にも知られていない。

 そもそも介護保険制度は、サービス提供事業者と利用契約を交わすのは利用者自身である。利用者に契約内容の理解や判断能力に欠ける場合は、民法により成年後見人がその役割を果たす。

 ケアマネジャーというのは、あくまで利用者の代弁者に過ぎない。従って、ケアプランを立てるのは本来は利用者であり、それが困難な時に限ってケアマネジャーが登場する。

 私達の日常生活を考えてみればいい。買い物に行くときに、ショッピングマネジャーはいない。映画や旅行、保険、自宅の購入時にそれぞれ代行してくれるマネジャーはいない。情報の共有が難しい医療でも然り。医者に診察を頼むときでさえ、メディカルマネジャーはいない。誰でも自由に診療所や病院を自分の判断で受診する。医療は介護より専門性が高いけれど相談相手になったり医療保険の仕組みを教えてくれるマネジャーは存在しない。

 ただ、煩雑な法律や規則が多い裁判や建築では、代理人として弁護士や建築士に頼まざるを得ない。もちろん自身で裁判に臨むこともでき、家を建てることもできる。

それなのに、医療より生活に近い介護にだけ、なぜマネジャーが存在しているのだろうか。
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<前回に続く>

自己作成がサービス利用を円滑にする

 東京都多摩市に住む66歳の高木洋子さん。脳梗塞の後遺症で左半身麻痺に陥り、15年前から介護保険を利用している。初めは、ケアマネジャーを通して訪問介護や訪問リハビリを受けていた。

 ケアマネジャーから「日中はデイサービスに行かれては」と強く勧められたが、高木さんはメリットがないと断っていた。さらに、ほとんど顔を見せないケアマネジャーと意思疎通がうまくいかなかったこともあり、他のケアマネジャーに替えようかと調べていたら、自分で作ってもいいことが分かった。

 3年後には自分でケアプランの作成に乗り出した。多摩市内の訪問介護の事業所を探し、提供依頼にこぎつけた。今は、月曜と金曜の週2回、トイレや風呂の掃除などでヘルパーがやってくる。

 高木さんは、片手しか使えないので、野菜を切るなど料理の手伝いもヘルパーに頼んでいる。

「自分の生活に合わせた納得のいく介護サービスを使えるようになった。他人(ケアマネジャー)にやってもらうと、自分のことなのに、丸投げのお任せ型になってしまいがち。自己作成に替えてから、障害に前向きに関わるようになった」と振り返る。

 ケアプランを自己作成する機運が高まった時がある。2006年4月。介護保険の制度改定で、要支援1と2の軽度者のケアプランは、原則として市町村自治体が運営する地域包括支援センターで作成することになった。

 これまでのケアマネジャーから移行を迫られた要支援者が、「では、自分で作ってみようか」と思うようになった。

 実際、自分でケアプランを作り出すと介護保険の制度の仕組みがよく分かるようになるほか、サービスの利用も円滑になるという。

「訪問やデイサービスの事業所と直接やりとりできるようになり、ケアマネジャーを通してのもどかしさがなくなった」「急な変更やキャンセルも事業所の担当者と普段接しているので、スムーズにできる」「事業者を代えたいと思えば、すぐに動くことができる」

 とりわけ、なかなか希望日が噛み合わないといわれるショートステイについて、「施設に電話して状況を訴えたら意外にも利用できた」「事前の予約も簡単に取れた」という声が多い。

 心身の状態を詳細に話し、ショートステイの必要性を訴えることができるのは本人や家族ならではである。当事者として要望し選択すると、当然その責任も付いてくる。契約制度をはっきりと実感でき、保険料の多寡など支払当事者としての自覚も高まる。

 ところが、ケアプランの自己作成者は極めて少数にとどまっている。自己作成者やその支援者で作る「全国マイケアプラン・ネットワーク」(島村八重子代表)が、2009年7月に調べたところ、要支援者360人、要介護者312人で合わせて700人に達していない。利用者の0.1%にも遠く及ばない。

 このうち、当時、地域包括支援センターが自己作成者支援に熱心だった東京都府中市の要支援者が147人もおり、その分を差し引くと微々たる人数である。

 現在でも、「あまり増えていない。実施者数はほとんど変わらないでしょう」と島村さん。なぜ、浸透していないのだろうか。
<次回に続く>

高齢者を“無能”扱い?「介護プランはケアマネジャー任せ」の理由
「自己作成」もOKなのに…
浅川澄一 [福祉ジャーナリスト(前・日本経済新聞社編集委員)] ダイヤモンドオンライン2015年5月13日

今回、浅川氏の見出しの記事が大変気になりました。今の様な状況ではケアプランの自己作成が多くなってくるのではないでしょうか?それと、自己作成ができるということを多くの高齢者が知らないのではないでしょうか?もう少し研究してみる必要がありますが、インパクトのある報告ですので、掲載しておきます。
全国マイケアプラン・ネットワークに注目です。
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個人の自由選択が実現していない介護サービス
 介護保険制度が始まって、この4月で16年目に入りすっかり定着した。65歳以上の高齢者が4人に1人とその割合は高まり、介護保険利用者はますます増えていく。

 本人の自由な選択で介護サービスを選び、事業者と「契約」を結んでサービスを利用できるようにしたのが介護保険。国や自治体が一方的に決めていた「措置」時代の介護サービスの仕組みを全面的に見直した。本人の要介護状態に応じて介護サービスが提供される。原則として、家族構成や本人と家族の資産などは勘案されなくなった。あくまで本人本位である。

「措置」から「契約」への転換と言われた。契約は、本人の自由な選択に基づいた結果である。介護サービスの原資を、税でなく保険に替えたことで実現した。税である限り、強制力を伴う行政措置が発揮される。

介護保険の理念には、「自己選択」「自己決定」それに「利用者本位」というこれまでの日本の社会保障にない「個人」を最優先させる考え方が組み込まれていた。

 そして、今、果たして自由な選択が実現しているだろうか。違う。在宅サービスの選択は本人でなく、ケアマネジャー(介護支援専門員)の判断に委ねられている。ケアマネジャーが作るケアプランでサービス内容やその事業所が決められてしまう。本人の自由な選択はどこへ行ったのか。

 実は、制度をよく調べると、ケアプランを高齢者自身が作ってもいいとある。ケアマネジャーに頼まなくても、本人と同居家族が一緒になってケアプランを作ることができる。

 ケアマネジャーがケアプランを作ると、軽度者なら約1万円、中重度者では約1万3000円の収入になる。自己作成だと収入にならない。財源面では制度に貢献することになる。

 ケアプランを自分で作るということは、サービスの種類やその提供事業所を自由に選択できることでもある。自己選択、自己決定の世界を自身で作り出すことができる。介護保険の精神の体現者となる。

実際に、ケアプランを自己作成している高齢者がいる。
<次回に続く>

ポスト大衆社会の街づくり・・・私鉄の「脱・小林一三」戦略

私鉄の経営戦略が大きく変化を遂げてきています。地方の鉄道会社にも様々な動きがみられます。そのポイントは少子高齢社会における新しい街づくりにあるように思います。
各社の取り組みについて、日経新聞5月11日の経営の視点に下記の内容が出ていましたので整理しておきます。
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日本で私鉄経営のビジネスモデルを打ち立てたのは阪急電車を創業した小林一三氏だ。オフィス街にターミナル駅と百貨店、郊外に娯楽施設を配し、その間に住宅地を造成。通勤、買い物、行楽に自社の鉄道を使ってもらうわけだ。

職住遊の分離と均質な住宅街を柱とする一三モデルは、核家族を主役とする大衆消費社会には効率が良かった。しかし、団塊世代の引退と少子化で賞味期限切れとなりつつある。通勤者は減り、遊園地を喜ぶ子どももいない。高齢化で住宅地の空き家も増えている。

「脱・一三」型の成長を求め、私鉄各社の挑みが相次ぐ。カギは混在と交流だ。

各社の動きは次の通り。
・東急…二子玉川の再開発地区に企業家向けの交流施設を開設。他の街では古い集合住宅を改葬し、一人親が共同で子育てをするシエアハウスなどの運営にも乗り出している。
・小田急電鉄…渋谷区の代々木上原駅前に店、住居、オフィスが入る施設を開業した。USDは「もう新たに住宅地を開発する時代ではない。地域の個性に合わせ、小ぶりでも顔となる施設を作り、街の価値を高める」という。
・京王電鉄…3年前、シエアハウス運営会社のリビタを買収。これまでに井の頭線の駅に直結するSOHO(自宅兼オフィス)型の賃貸住宅を開設した。並行して本社に「沿線価値創造部」を新設。高齢者向け移動販売などソーシャル(社会的)ビジネスにも取り組む。

家族の形や働き方が変わり、新たな生活者のニーズが生まれる。各社の試みから、日本社会の変容が透けて見える。

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