無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

2015年06月

<前回に続く>

2. 日本のノウハウの優位性

 ターゲットが決まれば、日本企業のノウハウを注入していくことが重要である。介護ビジネスといっても非常に範囲が広いが、例えば下記のことは一つの日本企業の優位性ノウハウ一つになるかも知れません。

介護施設の「絵画」

 これは、日本の多くの介護施設には飾られています。施設に入っても、生きがいを持って過ごして頂くための工夫である。一方で中国の多くの施設では、病院のように白い壁になっているところがほとんどである。

 また、絵が飾られる高さにも工夫があり、寝たきりが多い施設では、その高さが、入居者様が寝た際に見える高さにしている(地面から1-2mの高さ)。決して家族が通って「綺麗」と見える高さ(地面から2-3m)にしない。これは高齢者の入居者様の視点にならないと気付かないものである。

バリアフリーとしての「手すり」

 ターゲットが決まれば、高齢者のADLに合わせた設計が必要である。これらは単純に設置すればいいと言うことではありません。歩ける人が多ければ、歩ける人専用の高さにし、中国の北と南とでは平均身長も違うので、身長の高い北京の施設が、広州での施設建設の際には留意する必要がある。

「手すりの形状と設置場所」

 一般市民が利用する施設と違い、高齢者は握力がなかったりするので、あまり角ばった手すりは敬遠される。丸みを帯びた手すりにする必要がある等、設置場所は廊下やトイレ、風呂場等、あらゆるところにターゲットに合わせて、設置する必要がある。

栄養管理

 中国の施設では、先日訪問した際には、食事は肉料理、野菜料理、スープ、果物と分かれていることが多かった。しかしながら、高齢者の必要な栄養素を考えてのメニューになっていなかった。高齢者の御世話をするための施設で、病気の人たちを管理する施設ではないので無理もありません。特に糖尿病の人は非常に注意する必要があるのですが、そういう管理にはなっていないことには思えておく必要があります。

また、高齢者は全員歯が丈夫あるとは限りません、歯が弱い人も存在しているのも事実である。そうした方への食事のメニューは、通常のカロリーの計算された食事か、流動食になるのか、個別の事情によってことなる。

 そういった管理は日本では当たり前のことではあるが、中国では当たり前ではない。中国の方は箱モノを建設するのは得意であるが、介護施設の様な聞設計時の気遣い、ソフト面でのケア等は日本の長年の経験がものをいう。

 これらの内容は無数に存在するが、日本の施設運営者に取ってみれば、中国の施設運営者にとってみれば、当たり前ではないことで、ここに日中間の協力の必要性がある。

<次回に続く>

<前回に続く>

中国介護ビジネスのキーワード(後半):日本企業にとって中国介護のビジネスチャンス

中国介護ビジネスのキーワードとして、「中国の高齢者の生活を理解するキーワード」と「中国の介護ビジネスの将来的な予測をするためのキーワード」を紹介致しました。今回は日本企業の中国介護のビジネスチャンスを簡単に紹介したい。

1. ターゲットの特定
富裕層または中間層への攻略か?

 これは富裕層または中間層のどちらをターゲットに選択するかことです。2013年の上海の一人当たりのGDPは14,637ドルで、最も貧しい貴州省は3,707ドル(中国統計局、換算レート1ドル=6.2元)で、約4倍の差が存在する。(但し最も貧しい貴州省のGDPはインドネシアの平均約3,500を上回っている)

 また、中国の富裕層はケタ違いの存在し、先日発表されたアジアNO.1の富豪王健林(万達集団董事長)は李嘉誠氏を抜き381億ドルの資産を保有している。

 アリババの馬雲氏でも15億ドルの資産で(ファストリテーリングの柳井氏は100億ドル、フオーブス、及び中国経営網)そこまでの富裕層でないにしても、日本よりも数の上で多いのも事実である。日本のように総中流化(現在は若干2極化しているが)の社会と違い、非常に貧富の差が激しい。

 そうした状況で、中国の介護制度設計が終了せず、既に高齢化社会に突入してしまった。

一般消費財は中間層の拡大ということで、マーケットとしての中国が注目されているが、高齢者介護ビジネスにとってはほとんどの商品では、プロダクトライフサイクルの「導入期」にあたる。この時期は、非常に出費もかさみ、「カテゴリー認知」、「ブランド認知」が最も重要な時期で、費用も多く発生し、初期投資ですぐに回収は出来ず、長い目で見ていく必要がある。

 中国企業と競争するために、ペネトレーション戦略で中間層を獲得しに行く方が得策か、または、企業の体力を考えて、上の層だけを獲得するスキミング戦略で、消費者を獲得しに行くのか、戦略の大きな分かれ目になる。

ADL(日常出来る動作)

 高齢者の日常出来るADLはいろんな区分が可能である。「歩行動作」、「手の動作」、「痴呆症or普通」、「トイレに行けるor行けない」、「目が見えるor見えない」等どの程度のADLの人を受け入れるかによって、サービス内容、または施設における体制等が変わってくる。

一概に「高齢者」とくくってしまうと、本質が見えにくくなってしまうので、注意をする必要がある。

<次回に続く>

<前回に続く>

中国の介護ビジネスのキーワード:中国高齢者の生活

1. 中国の介護に関する政府の財政サポート

 日本では、生産年齢人口のピークが1995年頃でしたが、人口ピークに達する前に「国民皆保険制度」を導入した。その後2000年に介護保険制度を導入した。法律の中身は3年ごとの実情に合わせて改正されているものの、これは世界にある意味では誇れる制度と言ってよい。

 米国の国民皆保険制度もありますが日本と違い、国民に政府や民間の保険の加入を義務付けるもので、日本の国民皆保険制度と根本的に異なる。中国は日本の保険制度を見習って、2020年に国民皆保険にする方向で制度設計を初めている。これは、生産労働人口のピークが2013年頃に迎えて、その後に制度設計がされることを意味する。が現段階では日本は福祉に対する財政の拠出は20%程度存在するが、中国は3%と非常に少ない。

 また、国民皆保険で現段階の加入者大都市で90%近く達しています。但しこの割合は、サラリーマンのみ加入の数字であっったり、農民工の数字が入っていなかったり、行政区を超えると、現在加入している保険が使えなかったり、さまざまな課題がある。財政の財布の大きさが小さく、対象に入っていない人が予測以上に多いならば、とても政府がサポートしても追い付かないのが実情である


2. 中国で大事にする家族観のつながり

 政府が現在の中国人の家族観を大事にして政策立案することは、とっても素晴らしいことである。一方介護者は自分の子供が一人っ子政策の世代に突入しつつあるので、介護者自身が万が一子供の世話になった場合には困ってしまう。それを今の介護者が見越し、自分の御両親の世話をするために、施設に入れる人も増えている。

 施設に入れた人たちは、周りの人や、自分の親に対して、盛んに自分自身は「親孝行」という言葉を発して、親の面倒を見ていることをアピールして、親子のつながりを確認し合っている。中国人の心の温かさをベースとして、中国の介護ビジネスは展開している。

3. 「介護士」、「ヘルパー」の提供するサービスの定義の明確化と専門性

 現在中国では、介護士の資格取得に中国政府が懸命に指導している。

現実的には、家政婦が、家の掃除、洗濯や家族の世話のサービスを行っており、実質それらの運用があいまいになっている。もちろん介護士としてすべきことの中の仕事内容の中に一般の人ができる内容も存在している。

今後介護士にはより専門性が求められる可能性が高い。「褥瘡対策」「リハビリテーション」「栄養管理」等等がその事例である。

 以上が中国における介護ビジネスの現状と将来予測である。

 中国介護ビジネスにおける日本企業のビジネスチャンスは次回お送りします。(執筆者:廣田(李) 廣達)

<次回に続く>

中国介護ビジネスのキーワード(前半):中国高齢者の現状と将来予測
(中国ビジネスヘッドライン 2015/6/18)by廣田(李) 廣達

中国の介護事事情について興味ある記事がでていましたので、ご紹介しておきます。中国の介護市場が変化して始めているようです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
当方が所属する会社では、大人用おむつを通して、高齢者の尊厳や独立を非常に大事にしてビジネス展開をしている。そうした中で、高齢者に関する情報もいろんな形で整理することも多い。

先日5/18東京上海ビジネスフォーラム(T-SBF、代表中山勝巳)、及びアジア経営研究会(理事長:藤原弘)の協力を得て、中国の介護ビジネスの将来について、講演を行った。そして非常に多くの方が関心を持っていることも把握できた。講演の内容でキーワードになっていることを2回シリーズで簡単に紹介したい。


前半:「中国の高齢者の生活」及び「将来予測」を理解するキーワード
後半:日本企業にとっての中国の介護ビジネスチャンス

中国の高齢者の生活を理解するキーワード
9073政策

この数字は「90%」、「7%」、「3%」を表す造語で、政府が政策に力点を置くウエイトでもある。それぞれの意味は次の通りである。
90%:在宅介護
7%:社区における介護
3%:専門施設における介護

中国政府は、中国人の家族観を大事にするということで、在宅介護をメインに政策を置いている。但し、高齢者の家族がご子息と何らかの事情で別々の暮らしを余儀なくされた場合、コミュニティで高齢者の面倒を見ると言うものである。

「社区」は日本的な意味では「自治会」と意訳することができる。最後に専門施設で面倒を見ると言うものである。中国では、「社区」に存在する病院は、高度な治療が出来ないために、コミュニティの外にある大きな病院を利用する必要がある。それが専門施設の介護である。

空巣老人

この言葉は、高齢者のみが住んでいる家庭のことを指している。

中国政府は、GDP7%成長を維持するために、優先順位を付けているが、誰も面倒を見られなくなった人をなんとかせねばと考えている。ご子息が面倒見られない人や、財政的に苦しい高齢者は政府が面倒を見る必要がある。そういう高齢者のことを「空巣老人」と呼んでいる。

未富先老
 これは、中国全体が富を得るまでに、老いてしまうことを指す。現在中国平均でも1人当たりGDPが約7000ドル。上海市や北京市でも15000ドル。まだ中所得国の罠から抜け出せていない。それにも関わらず、2014年には、高齢者人口比率(65歳以上)が10%を超えてしまった。急速に高齢者が多く存在する世の中になってしまうのは想像に難くない。

<次回に続く>

介護予防・生活支援サービス市場 25年に1兆3000億円
(2015/6/18 日経デジタルヘルス)

介護予防・生活支援サービス市場が拡大をしています。ビジネスチャンスが拡大しています。この市場をどう取り込むか、今後の戦略を考える上で、大変重要な観点だと思います。特に、外出支援サービスの需要の多さに注目です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
シード・プランニングは、介護予防と生活支援サービス市場に関する調査の結果を発表した。
今回の調査は、家計調査や事業者へのヒアリングに基づき、サービスごとの市場規模を推定。団塊の世代が75歳を迎える2025年に焦点を当て、介護予防・生活支援サービス市場の「市場の変化と企業動向」「市場規模予測」「需要拡大と新潮流」を探った。調査期間は2014年11月~2015年5月。

介護予防・生活支援サービスの市場規模は2014年度で6800億円の見通し。各サービスの市場規模は、「外出支援サービス」の割合が最も大きく約65%を占め、以下「在宅配食サービス」「緊急通報・見守りサービス」と続く。
6月生活支援サービス
介護予防・生活支援サービスの市場規模の予測グラフ

今後、高齢者人口と高齢者世帯の増加に伴い市場は拡大し、2025年の市場規模は2014年度の約1.9倍に当たる1兆3000億円に迫ると予想した。市場は外出支援サービスや在宅配食サービス、運動機能訓練などの機能向上サービスが牽引するとみており、なかでも外出支援サービスは60%弱を占めるという。
(スプール 近藤寿成)
[日経テクノロジーオンライン 2015年6月17日掲載]

このページのトップヘ