無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

2015年10月

"老人福祉・介護事業"の倒産、過去最多を更新--1~9月、今後はさらに増加も

[2015/10/12]

介護事業者の倒産が増え続けています。環境変化に対応できない小規模事業者の倒産が目立ちます。

人手不足による人件費の高騰、介護制度改正による介護報酬の減算、厳しい状況が続いています。

生き残るためには戦略を持たねばなりません。

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東京商工リサーチはこのほど、2015年1~9月における「老人福祉・介護事業」の倒産件数が過去最多の57件に達したと発表した。前年同期(40件)と比べて42.5%増加した。

小規模事業所の倒産が増加

負債総額は同11.6%増の50億9,600万円。負債額別にみると、負債10億円以上の大型倒産がゼロ(前年同期ゼロ)だったのに対し、負債5,000万円未満は同58.3%増の38件と、小規模企業の倒産が目立った。

老人福祉・介護事業の倒産 年次推移

倒産の内訳をみた場合、施設系のデイサービスセンターを含む「通所・短期入所介護事業」が同109.0%増の23件と倍増。また「訪問介護事業」も同27.7%増の23件に増えた。

従業員数別にみても、5人未満が同100%増の38件と倍増し、小規模事業所が全体66.6%に上った。また2010年以降に設立した新規事業所は29件と全体の50.8%を占めた。

原因別では、販売不振(業績不振)が同19.0%増の25件で最も多く、以下、事業上の失敗が15件、既往のシワ寄せが6件と続いた。

東京商工リサーチによると、「人手不足に伴う人件費の上昇が経営を圧迫している。特にデイサービスセンターの倒産が多く、中でも小規模事業所の倒産が目立つ。今後は、介護報酬マイナス改定の影響が出てくるため、年末から来春にかけて倒産事業者がさらに増加するのではないか」と分析している。

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2015年10月9日 中日新聞

ついに介護負担2割の議論が出始めました。今年の8月から始まった負担増はシナリオ通りに段階的な2割増へとつながってきています。

報道によればまずは74歳までを2割負担とし、ゆくゆくは全ての高齢者が2割負担ということです。

介護を受けれない高齢者が増加し、生活保護受給者が増加という状況が予測されます。

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 財務省は9日、財政制度等審議会の分科会に中期的な社会保障改革案を示した。原則1割となっている介護保険サービス利用者の負担割合を年齢別に段階的に上げ、2割にするよう提案。

日常的な診療を担う「かかりつけ医」以外で受診した外来患者に、定額の上乗せ負担を求めるとした。高齢化で膨らみ続ける公費支出を抑える狙いだ。

 財務省は今年の骨太方針を具体化する政策として、経済財政諮問会議の専門調査会が検討中の改革工程表に盛り込むよう求める。ただ、高齢者らの家計を圧迫するとの反対は確実で、政府内の議論の行方は未知数だ。

社説:介護施設増設 地域福祉も忘れずに

毎日新聞 2015年10月09日

安倍首相が介護施設の増設をするという方針を打ち出すとのこと。下記の社説にあるように、全くチグハグな方針で、不思議な感じを受けます。 介護の流れに逆行するような方針を出してどうするのでしょうか? その為の財源があれば、どれほどの高齢者住宅の整備ができるでしょうか。

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 親の介護のために仕事を辞める人は年間10万人に上る。安倍晋三首相は「新三本の矢」で介護離職ゼロを打ち出し、特別養護老人ホーム(特養)などの介護施設を増設する方針を示した。しかし、現在介護現場が直面しているのは働き手不足だ。

いくらハコモノを作っても働く人がいなくては意味がない。地域で住み続けられる総合的な戦略が必要だ。

 特養の入所待機者は2013年度に約52万人を数え、人口の多い団塊世代の高齢化とともに今後10年間でさらに増えると見込まれている。特に首都圏を中心とした都市部では要介護の高齢者が急増する。独居の高齢者が多いのも都市部の特徴だ。

 自宅で暮らす高齢者を訪問医療や看護・介護で支える「地域包括ケア」を厚生労働省は進めている。

家族や近隣の支え合いがある地方はいいが、都市部では自治体の対応の遅れもあり、高齢化のスピードに在宅ケアだけでは対処できないことが懸念される。在宅ケアの先進国であるデンマークでも、首都コペンハーゲンに最近300床以上の大規模介護施設が建設されている。

 ただ、わが国の介護現場は深刻な働き手不足に直面しており、空き室があってもスタッフが確保できず、新規の入所を断っている介護施設がある。ほかの産業と比べて給料が大幅に低いことが働き手不足の要因として、厚労省は職員の待遇改善策を進めてきた。

 ところが、今春の介護報酬改定では財政難を理由に全体で2.27%減とされた。人手不足と人件費の高騰で経営が悪化している中小の介護事業所は多い。今年1~6月の介護事業所の倒産は前年同期の5割増で、介護保険が導入されて以来最悪のペースだ。最近は建設や金融など他業種が介護事業に乗り出す例も多いが、認知症や終末期のみとりなど専門性が要求されるケアが提供できないため入居者が集まらず、経営が行き詰まるケースもあるという。

 介護離職ゼロを目指すのであれば、まず人材確保と質の高いケアを提供できる事業所の育成が必要だ。

介護と仕事が両立できるよう介護休業制度も利用しやすいものに改善しなければならない。在宅ケアをおざなりにしてハコモノ増設に走ると、潜在的な需要を刺激して入所待機者が増えるという悪循環を招くだろう。

 地域包括ケアや人材確保を厚労省が進める一方で、財務省は社会保障費を抑制し、安倍首相はハコモノ増設を打ち出す--。最近の安倍政権の社会保障政策はどこかちぐはぐだ。

都市部の要介護高齢者をどうするかは喫緊の課題だが、もっと整合性の取れた政策立案と推進体制が必要ではないか。

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