無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
豊かな高齢者社会の構築に向けて、日々尽きることの無い気付き、出会いを綴って参ります。

2017年06月

昨年実施された国民生活基礎調査で、老老介護の実態が報告されました。老老介護の割合が増えていますが、それ以上に深刻なのが、独居高齢者の介護です。老々でもまだ支える片方があれば、それは幸せなこと。独居の高齢者の介護は誰が介護をすれば良いのでしょうか?家族で支えることを前提とした介護保険制度は限界にきているのではないでしょうか。
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75歳以上の「老老介護」初の30%超に

急速に高齢化が進む中、在宅介護のうち介護をする側と受ける側がいずれも75歳以上の「老老介護」の割合が初めて30%を超えたことが厚生労働省の調査でわかりました。厚生労働省は「高齢化と核家族化で今後も老老介護は増えていくと見られ、支援していく必要がある」としています。

厚生労働省は去年6月、介護の実態などを調べるため「国民生活基礎調査」を行い、熊本地震の被災地を除く全国のおよそ6800人から回答を得ました。

それによりますと、家族や親族による在宅介護のうち65歳以上の高齢者が主に介護を担う「老老介護」の割合は推計で54.7%で、前回の4年前の調査より3.5ポイント増えて過去最高になりました。

また、介護をする側と受ける側がいずれも75歳以上の割合は全体の30.2%でした。これは、前回を1.2ポイント上回り、平成13年に調査を始めてから初めて30%を超えました。

このほか介護が必要な高齢者について、必要になった原因を調べたところ、認知症が24.8%とおよそ4人に1人にのぼり、脳卒中を上回って初めて最も多くなりました。

厚生労働省は「高齢化や核家族化が進んでいる影響で、今後も老老介護は増えていくと見られる。高齢になっても在宅介護をできるだけ続けられるよう、介護保険制度で必要なサービスを提供するなど支援していく必要がある」としています。

教訓その1 資本政策の誤り

高齢者住宅事業は経営的には非常に固定費の高い事業です。大きな費目は人件費、賃貸で運営する場合には家賃、そして食事コストが3大経費となります。この3つで7割近くを占めることになります。従って、開業してから入居が進まなかった場合にはとんでもない赤字が最初から経営を襲うことになります。極めてリスク性の高い事業です。まずはこの事業は経営リスクが極めて高い事業であることを認識せねばなりません。

しかし、開業から半年から1年程度で満室になれれば、賃貸という事業形態ではそれほど多くの資金は必要になりません。誰しもがそれを願うのですが、そう簡単にはいきません。そこがこの事業の難しいところなのです。

万が一のリスクをヘッジするためには、相当の資金を準備せねばなりません。賃貸であることで安易に少資本(過少資金)でスタートを切った場合には、もし順調に立ち上がらなかった場合には取り返しがつかないような大きな経営リスクを負うことになります。

 

高齢者住宅事業の場合には概ね20年以上の賃貸経営が主流かと思います。その際にも20年にわたる賃料相当の自己資本が必要になると考えるべきかと思います。

上場企業であればこの長期にわたる解約不能リースはリース資産として資産勘定に計上せねばなりません。ならば、当然、それに相当する自己資本を準備せねば他人資本過多の状況では経営は困難となります。

 

我々は賃貸であるということと、低価格で早期入居が可能な為に、資金の循環を行うことを前提に過少資本で出発してしまったという失敗を犯してしまいました。順調な時にはそれでも良いのですが、一旦、経営環境が変わって、資金の回転が狂いだすと、一気に経営危機に陥ることになります。この認識を経営の最初から持たねばなりません。リース資産としての認識、そしてそれに見合う自己資本、これはこの事業の鉄則かと思います。<続く>

 

 

 

 

6月18日に通常国会が閉会しました、共謀罪や加計問題で荒れる国会の裏で、我々にとって重要な法案が成立しております。2018年度の改正介護保険関連法案です。毎日新聞の記事を掲載しておきます。介護保険サービスを受ける人も、払う人も自己負担の増、その一方で廃止予定の介護療養病床を介護医療院という名称変更による老人病院の存続、有料老人ホームの指導強化という時代のニーズに逆行する方向に突き進んでいます。このように重要な法案が国会において、どのような議論がなされ、決定されたのか全くわかりません。
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毎日新聞

18日に閉会した通常国会では、高所得の高齢者が介護保険サービスを利用する際の自己負担引き上げを柱とした改正介護保険関連法が成立しました。現役世代が支払う介護保険料も見直し、高収入ほど高負担となる仕組みを導入。高齢者とともに支払い能力に応じた負担を求める内容となっている。一方、増え続ける児童虐待への対応を強化するため、家庭裁判所(家裁)の関与を強める改正児童福祉法も成立。2018年度から施行予定だ。それぞれの法施行後、制度はどう変わるのかをみた。【藤沢美由紀】

介護保険サービス利用の自己負担は、2000年の制度創設以来、原則1割だ。しかし15年の前回改正で、単身世帯なら年金収入のみの場合280万円以上など、一定の所得のある人は2割負担とした。

今回の改正ではさらに、

①単身の場合で年収340万円(年金収入のみでは344万円)以上、夫婦世帯では463万円以上など「現役世代並み」の人の負担を3割まで引き上げる。

来年8月からの実施を予定している。具体的な所得基準は後に政令で決めるが、厚生労働省の推計では、利  
用者全体の約3%に当たる約12万人が対象になると見込んでいる。

②今年8月からは、住民税が課税される一般的な所得のある高齢者が支払う月々の自己負担の上限額を引き上げる。

具体的には上限を超えた場合に払い戻される「高額介護サービス費」の基準を変更し、現行の月3万7200円から月4万4400円に上げる。上限額以上のサービスを使っている人は月7000円以上の負担増となる。   

③40~64歳の人が支払う介護保険料には「総報酬割り」方式を導入する。

収入に応じた保険料となるため、大企業や公務員ら約1300万人は負担が増え、中小企業を中心に約1700万人は負担が減る。今年8月から段階的に導入し、20年度には全面実施の予定だ。厚労省によると、全面導入した場合、大企業の会社員らが加入する健康保険組合は労使合計で1人当たり月額平均727円増えて852円、公務員が加入する共済組合で1972円増えて7097円となる見通し。一方、中小企業の社員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)では241円減り4043円となる見込みだ。   

④高齢者らが長期入院する「介護療養病床」については、廃止期限を今年度末から6年間延期して23年度末までとし、転換先として「介護医療院」を新設する。

長期療養のための医療と、日常生活での介護を一体的に提供する狙いがある。   

⑤悪質な有料老人ホームへの指導監督も強化する。

再三の指導に従わない有料老人ホームには、従来より厳しく「事業停止命令」を出せるようにした。その他、各有料老人ホームに利用料金やサービス内容を都道府県へ報告するよう義務づけ、都道府県は情報を公表することを定めた。

 

2000年から一貫して高齢者住宅に取り組んで参りました。多くの事業モデルを模索し、失敗を重ねながら、一歩一歩前進してきたつもりですが、モデルの数だけ失敗がありました。

このブログを借りて、失敗の教訓を整理しておきたいと思います。高齢者住宅事業に取り組む多くの方々に少しでも参考にして頂き、次のステージを目指して欲しいものです。

国は高齢者住宅事業を丸め報酬型から介護外付け型へとモデルを変えてきました。当然、その目的はニーズの高まりに応じて丸めの高齢者住宅(施設)を増産すれば、社会保障費の増大を招くことを防ぐ為でした。高齢者住宅の大きな流れは施設から居宅への変化です。

 

しかしながら、このモデルチェンジは容易なことではありませんでした。一見すれば、高齢者の賃貸住宅事業かと安易に考える方々がおられます。多くの方が安易に考え、安易に取り組み、失敗をしてきました。介護外付けモデルは極めて難易度の高い事業であることをまず認識すべきかと思います。この事業を成功させるためには幾つものハードルを超えねばなりません。

制度の壁、資本の壁、人材の壁、入居の壁、行政の壁、私が直面した壁について、次なる飛躍のステップとするために、これから一つずつ振り返ってみたいと思います。

経産省、年度内に「仕事付き高齢者住宅」のモデル構築
日刊工業新聞6月22日

経産省が高齢者住宅に進出?下記の記事が掲載されていました。国交省のサービス付き高齢者向け住宅に続く第3のモデルになるのでしょうか?それとも、単に、従来の高齢者住宅における高齢者の就労支援で終わるのでしょうか?
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経済産業省は、高齢者が継続的に社会参画できるための環境整備に乗り出す。就労機会を創出するため「仕事付き高齢者住宅」(仮称)のモデル構築を2017年度中にも始める。高齢者が軽い仕事をしながら生きがい、やりがいを感じ、自立して元気な状態である健康寿命を延伸することで、生涯現役の支援につなげる。

経産省によると、70―75歳時点の就業率が高い自治体ほど、5年後の要支援・要介護認定者の人口比率が低い傾向にあるという。このため、高齢者の能力に応じた役割を担ってもらうことで健康増進に結びつける。

地域版のヘルスケア産業協議会が中心となり、医療・介護関係者と民間企業が連携して取り組むことを想定。ヘルスケアサービスの創出を支援しながら、他の地域へ展開できないか検討するほか、制度面でどのような課題があるかを洗い出す。

仕事付き高齢者住宅の場合、就労を通じて社会との接点を設けることで、高齢者がやりがいを感じたり、フレイル(虚弱)や認知症の予防などにつなげたりする効果を見込む。健康増進を図りながら、医療費や介護費の抑制も期待できる。

これまで高齢者向けの住宅では、国土交通省と厚生労働省が連携して進めてきた、安否確認などのサービスが受けられる「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」がある。経産省では、軽度な仕事を付けることで、高齢者の社会参画を促す。

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