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女性自身 2018/01/31 11:00
医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。
2018/1/31
ただし留意したいのが「療養環境減算」だ。同減算Iは「廊下幅が1.8メートル(中廊下2.7メートル)未満」の場合に、同減算IIは「療養室の1人当たり面積が8.0平方メートル未満」の場合にそれぞれ25単位が減算されるが、同減算I・IIは併算定される。
介護医療院は療養病床等の1人当たり面積6.4平方メートル以上の病室からの転換が可能だが、廊下幅の基準は満たしても、1人当たり面積が6.4平方メートルの場合、同減算IIの適用を受けて25単位減となり、療養機能強化型A相当で転換前後の報酬単価は実質的に同じになる。加えて廊下幅も1. 8メートル(中廊下2. 7メートル)未満の場合、同減算I・IIを併せて50単位減算となる。
一方、移行の届け出を行った日から1年限定で算定できる「移行定着支援加算」(1日93単位)は、魅力的な報酬といえる。定員100人であれば1日9300単位となり、月280万円弱、1年間で約3400万円の増収となる計算だ。
なお加算を得られるのは2021年3月31日までの時限措置のため、2020年4月2日以降の開設だと同加算を1年分フルで受け取れない。同加算を1年分満額で算定するには、2018年4月1日~2020年4月1日までの実質2年間のうちに転換する必要があり、介護医療院への早期移行を促す呼び水となりそうだ。
2018年度介護報酬改定での居宅介護支援の評価見直しによって、医療機関は「要介護者への退院支援に必要な情報」が入手しやすくなります。
具体的には、(2)の【入院時情報連携加算】の見直しによって、ケアマネ側は「利用者の入院後3日以内(従来は7日以内)に利用者の情報を医療機関に提供しよう」と考えることになります。ただし、ケアマネが「利用者が入院した」ことを知らなければ、情報提供できません。医療機関側では高齢患者が入院した際、退院支援担当者らが患者本人や家族から、担当ケアマネを確認し、入院したことをケアマネに伝えることで、より密接な連携が可能になりそうです。
また【退院・退所加算】の見直しによって、「医療機関が開催する退院時カンファレンス」へのケアマネ参加が増加します。医療機関にとっては、「要介護者の退院時カンファレンス」の機会を利用することで、多職種による退院前の患者指導を評価する診療報酬上の加算(【退院時共同指導料2】の加算、2000点)の算定要件(退院後の在宅療養を支えるケアマネら3者以上と共同して「退院後の療養に必要な説明や指導」を患者に行うこと)をクリアしやすくなります。
つまり退院時の連携を強めることには、ケアマネ事業所にとっても医療機関にとっても経営的にメリットがあります(関連記事はこちら)。やはり医療機関では同時改定を機に、ケアマネとの連携強化を検討すべきだと言えます。
<前回に続く>
(3)の「利用者が末期の悪性腫瘍である場合のケアプラン修正方法の簡素化」は、利用者が末期の悪性腫瘍である場合、状態の急変に伴って、必要な訪問介護や訪問看護の内容も大きく変わることを踏まえたものです。現行制度では、ケアプランを「急変後の状態に適した内容」に変更する際に、訪問介護事業所や訪問看護ステーションの担当者を集めて「サービス担当者会議」を開くことが求められ、「会議開催を省略できないか」という要望が現場から上がっていました。
そこで2018年度改定では、利用者が末期の悪性腫瘍で「1か月以内に急変する」と医師が判断した場合に会議開催を省略し、利用者の状態変化を踏まえてケアプランの内容を修正することが認められます。
また、末期の悪性腫瘍である利用者を担当し、その状態変化を確認してケアプランの内容を修正する事業所の評価として、【ターミナルケアマネジメント加算】(月400単位)が新設されます。算定要件は次の4つです。
(1)末期の悪性腫瘍である利用者本人・家族の同意を得た上で、利用者宅を、通常より高い頻度で訪問する(死亡日と死亡日前14日以内に、2日以上在宅訪問していた実績が必要)
(2)医師の助言を受けつつ、利用者の状態などを把握し、必要に応じてケアプランの内容を修正する
(3)訪問時に得た利用者の情報(心身の状況など)を記録し、主治医やサービス事業者とも共有する
(4)利用者からの連絡を24時間受け付け、必要に応じてケアマネジメントを提供可能な体制である
上述したとおり、【ターミナルケアマネジメント加算】を年5回以上算定した実績が【特定事業所加算(IV)】の算定要件となります。【特定事業所加算(I)】などを取得している事業所では、末期の悪性腫瘍である利用者に適切に対応できる体制を整えるべきと言えます。
<次回に続く>
(2)の「利用者が入退院した際の医療機関などとの連携を促す加算」として、【特定事業所加算(IV)】(月125単位)が新設されます。これにより、質の高いケアマネジメントを提供する事業所の評価である【特定事業所加算】が、次の4区分へと改められます。
▼【特定事業所加算(I)】月500単位:単位数は変わらず、要件は後述のとおり厳格化
▼【特定事業所加算(II)】月400単位:単位数は変わらず、要件は後述のとおり厳格化
▼【特定事業所加算(III)】月300単位:単位数は変わらず、要件は後述のとおり厳格化
▼【特定事業所加算(IV)】月125単位:新設。(I)から(II)までのうち1つと併算定
例えば、【特定事業所加算(I)】と【特定事業所加算(IV)】の要件をどちらも満たす事業所では、月625単位(500単位+125単位)が加算されます。
新設される【特定事業所加算(IV)】の算定要件は、▼上述した【退院・退所加算】の算定要件となる、医療機関などとの連携回数が年35回以上▼【ターミナルケアマネジメント加算】(2018年度改定で新設。詳しくは後述)の算定回数が年5回以上―です。これら1年間の実績は、「前々年度3月から前年度2月まで」の期間で算出し、例えば「今年(2018年)3月から来年(2019年)2月まで」の期間に実績を満たした事業所では、2019年4月から1年間、【特定事業所加算(IV)】を算定できます。
なお、【特定事業所加算(I)】、【特定事業所加算(II)】、【特定事業所加算(III)】の単位数は改定後維持されますが、算定要件は次の通り厳格化されます。
▼3区分とも「他の法人が運営するケアマネ事業所と共同で、事例検討会や研修会を実施する」が追加される
▼現在は【特定事業所加算(I)】のみの算定要件になっている「地域包括支援センターなどが実施する事例検討会などへの参加」が、【特定事業所加算(II)】と【特定事業所加算(III)】にも追加される
<次回に続く>