無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2018年02月

又、札幌支援住宅が有料老人ホームではないという見解です。毎日新聞は次のように解釈しています。
「老人福祉法で、あらかじめ入居者を高齢者に限定し食事の介助などをすると有料老人ホームと認定されるが、ハイムは生活困窮者を対象としており対象外だった。」
生活困窮者を対象としているから有料老人ホームの対象外というのは何を根拠に言っているのでしょうか?

下記の図にありますように、この4種類しかありません。生活困窮者を対象とする施設は救護施設か、無料低額宿泊所しかありません。今回の共同住宅は老人福祉法の無料低額宿泊所ではありませんでしたので、無届施設か有料老人ホームしかありません。有料老人ホームの届出をしていなければ、次の関係法令により、実際は無届の有料老人ホームということになります。

法の死というより、適応しなくなった法に対して無作為な政治家や行政に問題があるのです。その責任を明確にしない限り、この問題は解決しません。

≪関係法令等≫
老人福祉法第29条第1項
有料老人ホーム(老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるもの(以下「介護等」という。)の供与(他に委託して供与をする場合及び将来において供与をすることを約する場合を含む。)をする事業を行う施設であつて、老人福祉施設、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居その他厚生労働省令で定める施設でないものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、あらかじめ、その施設を設置しようとする地の都道府県知事に、次の各号に掲げる事項を届け出なければならない。

H25.5.31付老高発0531第1号「有料老人ホームを対象とした指導の強化について」
別添3「有料老人ホームの定義について」
有料老人ホームの定義においては、入居人数の多寡による判断基準は置かれていないため、共同住宅や寄宿舎のように複数の者が入居する施設で、老人とそれ以外の者が混在して入居しているものであっても、老人が1人でも入居サービス及び介護等サービスを受けている場合には、当該老人が利用している部分は有料老人ホームとして取り扱うこととなる。

低所得高齢者の住居



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札幌支援住宅火災1カ月


困窮者施設、法の死

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育児と親の介護を行う「ダブルケア」を行う人は25万人で男女共にその8割は30~40代と言われます。晩婚も要因になっているのでしょうか。大変な負担を強いられることになりますが、解決の糸口は家族だけの問題にしないことです。もっと広く家族、知人、勤務先や病院、介護スタッフなどと連携をとるがポイントのようです。
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親の介護と育児の「ダブルケア」を体験。保育園、仕事…限界をどう乗り切ったか

 


「ダブルケア」という言葉を知っていますか? 晩婚化や晩産化などを背景に、子育てと親の介護同時に担わなければならないことをいいます。

政府が行った調査によると、ダブルケアを行う人は約25万人いると推計されていて、男女ともにその8割を30~40代の働き盛りと言われる世代が占めています。

ダブルケアにより業務量や労働時間を変更しなければならなかった人は女性で約4割、男性で約2割いて、社会の問題として考える必要性も訴えられ始めています。

「ダブルケア」というと、世話をしなければならないという重みばかりがクローズアップされてしまいがちですが、家庭だけの問題とせず、もっと幅広く親戚、知人、病院、介護スタッフ、勤務先など巻き込んでいくことが必要だろうと思います。

さらには今後はもっと社会の問題として、経済的、精神的、物理的な支援、すべてが充実していけば、心に余裕をもって介護や育児をできるのではないでしょうか。

筆者の体験は、母の病気によるものではありましたが、これから高齢者が増えていくなかで、「ダブルケア」はひとごととは言えません。ひとりひとりが自分の親や夫の親について、自分たち家族の生き方について、しっかりと考えていかなければならない問題だといえるでしょう。



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これまでほぼ出そろっている成年後見人制度の問題点について現場が気付き始めています。人間の尊厳を守るという大前提に制度が追い付いていません。
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成年後見人制度の光と影

宮崎日日新聞 2018年2月28日
 
 独り暮らしの高齢女性。日常生活はなんとか送っているが、最近は認知症の症状が出始めて、深夜に近所の呼び鈴を押したり、スーパーで金の支払いができなかったりする。

 数年前に日本漫画家協会大賞を受賞した「ヘルプマン!」(くさか里樹作)は高齢社会のさまざまな課題を前向きな物語にして評価が高い。この高齢女性の介護を巡る章も身近に起きる問題として考えさせるが、成年後見人制度の光と影にも鋭く踏み込んでいる。

 介護に疲れた娘は施設に預けようとするが、介護に携わる1人の若き熱血漢は彼女が在宅で生活できるように奮闘。金の管理の問題や地域住民の苦情などが絡んで八方ふさがりとなった若者は成年後見人制度を知って、実現へ奔走する。

 理想的と思えた制度だが、社会福祉士の友人は反対する-。自己決定権の尊重やノーマライゼーションという考え方から、本人の権利を守る善意のシステムとして出発した制度だが、本人の意思に反した選択や財産管理が行われることもある現実を踏まえている。

 都城市の成年後見人が管理していた女性の口座などから大金を横領したとして在宅起訴される事件があった。高齢化が進む中、今後重みを増す制度には違いないが担い手不足や不正の問題が浮上しており、後見人の育成が重要な課題だ。

 物語では結局、地域包括支援センター、ボランティア、民生委員らが協力して当面は在宅で落ち着く。制度を否定するのではない。ただ後見人は他人の人権に踏み込む重責がある。金の管理は無論大事だが、本来の目的を忘れてはならない。
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先日、介護とは「生きててよかった」瞬間の創造というお話をご紹介しましたが、介護の自立支援に限らず、生きる意味を見出すための介護を目指すことは大変価値のあることだと思います。我々は誰しもが最後には障害者になります。自分の力だけで生きていけなくなった時に人は希望を失うでしょう。それでも「生きていてよかった」と言って頂けるような環境を作りたいと思います。
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生きる意味を見いだすための介護の自立支援(上)

適切なリハビリや食事のケアで寝たきりから脱出できた例がある

町亞聖 フリーアナウンサー

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赤旗の主張に同感です。安倍首相が政権に復帰してから一気に日本の医療・福祉政策は後退しています。今回の働き方改革だけではありません。医療制度改革も生活保護費削減も、いずれも十分な説明がないままに、国政をゆがめた数々の疑惑も解明がなされないままに強引に押し通す、そのやり方になぜ国民はついていくのでしょうか?日本の民主主義が問われています。
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しんぶん赤旗 主張
2018年2月28日(水)

予算案 衆院緊迫

議論尽くさぬ強行許されない

 一般会計の総額で97兆7128億円に上る2018年度予算案の採決をめぐり、衆院が緊迫しています。裁量労働制をめぐるデータねつ造が明らかになった「働き方」一括法案の撤回などに安倍晋三政権が応じず、予算案を強行しようとしているのは言語道断です。国政をゆがめた数々の疑惑も解明されていません。

予算案自体が生活保護など社会保障を改悪して「格差と貧困」を拡大する一方、危険な軍拡を優先させた予算であることが、これまでの審議を通じても浮き彫りになっています。国民の声に応えて徹底審議し、大幅に組み替えさせることが不可欠です。

抜本的な見直しが不可欠

 安倍首相が今国会で成立を目指す「働き方」法案をめぐり、裁量労働制についての深刻なデータねつ造やずさんな調査など、でたらめな実態が次々明らかになっていることはあまりに重大です。安倍政権は「森友・加計」疑惑をめぐっても、証人喚問を拒否しています。これで予算案を採決しようとするなどとんでもない話です。

 安倍首相が政権に復帰してから6回目になる18年度予算案が、過去最高額を6年連続で更新しながら社会保障には冷たく、軍拡や大企業には手厚い、いびつな予算になっていることは明らかです。日本共産党の志位和夫委員長が予算委員会の基本的質疑(5日)で追及した生活扶助の引き下げなど生活保護改悪はその最たるものです。志位氏は憲法25条の生存権がすべての国民に保障される社会をつくるため、生活保護法改正などの対案を示しました。

 安倍首相は政権復帰以来、安保法制=戦争法の制定など憲法破壊、改憲の策動と一体で軍事費を拡大する半面、社会保障の予算については高齢化などによる「自然増」を含め、“バターよりも大砲”の立場で削減を押し付けています。憲法が「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するよう国に義務付けた生活保護予算の削減は、まさに憲法を踏みにじり、国民の暮らしを脅かすものです。

 第2次安倍政権が発足してから6回の予算編成で、社会保障費の「自然増」削減は生活保護だけでなく、医療や年金、介護など1兆5900億円にも上ります。18年度予算案では医療や介護の給付減・負担増も行われます。

 その一方、軍事費は6年連続増加で、長距離巡航ミサイルやアメリカのトランプ政権が売り込んだ陸上配備型のイージス・システム、導入が進むオスプレイやF35戦闘機などの予算が盛り込まれています。大企業にも法人税の減税など大盤振る舞いです。文字通り“逆立ち”であり、予算の使い道の根本的見直しが求められます。

財政の役割が果たせない

 国の財政は国民が「応能負担」の原則で負担する税金を再分配し、国民生活を安定させることが基本です。過去最高規模の予算案を編成しながら国民向けの予算は削減し、軍事費や大企業向けの予算は増額するというのでは、財政だけでなく経済全体がゆがみます。実際、安倍政権になってからの経済・財政政策によって国民の貧困化は進み、格差は拡大しています。

 国民をだまそうとしたデータねつ造問題や政治をゆがめる疑惑を曖昧にして予算案採決は許されません。予算案は組み替え、安倍政治をやめさせることが必要です。

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