無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2018年03月

本当に悔しい思いがします。助かる命を誰も救うことが出来なかったことに無力感を感じます。

「死にたい」。妻は今年に入ると、こう漏らすようになった。夫は症状が進み、問い掛けてもほとんど話さなくなっていた。ある日、妻が力なく夫に言うのを女性は聞いた。「お父さん、一緒に死のうか」

このような会話を全国どれだけの老夫婦がしていることでしょうか。

警察庁によると、二〇一六年に全国で起きた「介護・看護疲れ」が動機の殺人は無理心中を含め四十一件。統計を取り始めた〇七年以降、年四十~六十件弱で推移し、減る兆しはないと言われます。孤立死や無理心中を防ぐ手立てを講じねばなりません。行政の力だけでは無理ですね
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「お父さん、一緒に死のうか」 厚木老老介護の夫婦無理心中 周囲救えず

東京新聞 2018年3月31日

厚木市で、妻(79)が自宅で夫(80)を殺害後、自ら命を絶つ無理心中とみられる事件があった。認知症の夫を懸命に介護していた妻が悩みを深めていたことに周囲が気づいていたにもかかわらず、最悪の事態を防げなかった。識者は「地域と行政が連携し、介護者の心をケアする体制の強化が必要」と説く。 (加藤豊大)

 「暗くなったのに電気がつかない」。近くに住む男性(61)が異変に気付いたのは二月二十五日夕。通報を受けた厚木署員らが駆け付けると、一階和室の介護ベッドで夫が死亡、二階和室で妻が首をつって亡くなっていた。夫の首にはタイツで絞められたような痕があり、一階居間に「ご迷惑をかけます」という妻の手書きメモが残されていた。

 近所の女性(50)によると、夫は二年前に認知症と診断され、昨年十一月には車いす生活に。小柄な妻一人ではトイレや風呂の介助が難しく、女性が手伝うこともあった。県外に住む長男や長女とは疎遠で、手助けは得られない。見かねた女性が施設の利用を勧めたものの、住宅ローンの返済が残っており、費用を負担できないと打ち明けられた。

 「死にたい」。妻は今年に入ると、こう漏らすようになった。夫は症状が進み、問い掛けてもほとんど話さなくなっていた。ある日、妻が力なく夫に言うのを女性は聞いた。「お父さん、一緒に死のうか」

 警察庁によると、二〇一六年に全国で起きた「介護・看護疲れ」が動機の殺人は無理心中を含め四十一件。統計を取り始めた〇七年以降、年四十~六十件弱で推移し、減る兆しはない。

 こうした現状に、各地の地域包括支援センターやNPO法人などは、介護者の集いを定期的に開くなど地域でケアする体制づくりに努める。東京都杉並区で介護者が集うカフェを運営し、事業者向けの講座も開くNPO法人「介護者サポートネットワークセンター・アラジン」の牧野史子代表は「『眠れない』とか、皆同じような悩みを抱えている。問題は解決しなくても、家族にも言えない思いを共有すれば気持ちがふっと楽になる」と話す。

 一方で、「集まりに参加せず、一人で抱え込んでしまう介護者がいるのも事実。そうした人たちをいかに救い出すかが課題」と指摘する。県内では秦野市が〇七年、ケアマネジャーを通じ市内全体の在宅介護者を把握し、アンケートでうつ傾向を調査した例がある。

 牧野さんは「自治体が積極的に介護者の実態を調査し、地域で見守り活動をする人たちと情報共有を図るなど、両者の連携強化が不可欠だ」と語った。

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独身女性の妊娠で保護廃止の可能性をうたうなど、生活保護相談者への配布冊子に行政が行き過ぎた表現が問題となり滋賀県4市に批判集中。生活保護切り捨ての意向が垣間見えます。
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生活保護「預金数万円まで…」 滋賀4市の冊子に批判

京都新聞 2018.03.31

滋賀県内で、生活保護の相談者に配布している「しおり」などの冊子に、4市が法令に依(よ)らない困窮者に厳しい説明を記載していた。4市とも誤りを認め、「現在は説明に書いてあるような対応はしていない」というが、専門家は「冊子を見た住民が萎縮した恐れもある」と批判している。

 ■申請自体に制限なく

 独身女性が妊娠した時点で保護廃止の可能性を明記していた野洲市。制度にこうした規定はない。「妊娠で保護を打ち切り」の誓約書を京都府宇治市が書かせ、人権問題になった例もある。野洲市は「誤解されかねない表現だった。妊娠したことを理由に保護を打ち切ったことはない」と釈明する。

 甲賀市は「手持金や預貯金は数万円程度しか保有は認められない。生活費等に消費してから申請を受け付ける」と記した。法では申請自体に制限はなく、厚生労働省の通知でも保護開始時に最低生活費の50%は手持金として認められている。同省保護課は「最低生活費は世帯によって異なり、額は一概に言えない。不適切な説明だ」とする。

 また甲賀市のしおりは「『別れた夫に頭を下げて養育費をもらいたくない』という気持ちも理解できなくもない。ただ、きちんと手続きを踏まなければならない」とし、援助要請の徹底を求めている。しかし、生活保護法は「親族の扶養は保護に優先する」と定めているが、保護の条件ではない。ほかにも「できることはすべてやった上で、相談に来ているかどうか確認する」と高圧的な表現もあった。甲賀市生活支援課は「県の監査や民生委員からも指摘があり、新年度から修正する」とした。

 米原市はジェネリック医薬品(後発薬)の使用を義務としたが、現在、義務化を定めた生活保護法改正案が国会に提案されている最中だ。「差別につながる」との批判も強い。

 長浜市は「パチンコなどまわりから非難されないように」、彦根市も「かけごと飲酒をつつしみ」と明記していた。生活保護法はギャンブルや飲酒を一律禁止しておらず、パチンコをしていた受給者の保護費を停止減額した大分県の2市に対し、厚労省が「不適切」と指摘、両市は撤回している。

 ■切り捨ての意思感じる

 生活保護に詳しい舟木浩弁護士(京都弁護士会)は「困っている人を受け入れるのではなく、できるだけ切り捨てようという意思を感じる」とし、「説明冊子に法令の根拠のない受給者の義務を記せば、現場のケースワーカーが誤った指導を受給者に行う可能性がある。冊子を持ち帰った市民が申請を控える恐れもあり、抜本的な修正が必要だ」としている。

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介護者を孤立させないためには、「介護者のコミュニティ―をコンビニの数ほど作ることが必要だ」というお話に共鳴します。今はこのコミュニティ―は任意のグループとして提唱されていますが、これをもっと組織的に展開する方法はないでしょうか。そのヒントは農業にあるように思います。
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介護者の輪をコンビニの数ほどに 孤立防止で立命大教授

京都新聞3月30日

助け合って生きる社会の実現を目指す「ともに生きるフォーラム」(京都新聞社会福祉事業団主催)が25日、京都市中京区の京都新聞文化ホールで開かれた。約100人の市民が介護や公的年金などの講演に耳を傾けた。

 本紙の福祉面コラム「暖流」を執筆する立命館大の津止正敏教授は「変わる介護と家族」をテーマに、男性の介護者や老々介護など、介護のかたちが多様化している現状を紹介。

「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」で活動している経験を踏まえ、介護者を孤立させないため「介護者のコミュニティーをコンビニの数ほどつくることが必要だ」と強調した。

 また、「介護は大変だが希望や喜びを感じる新たな発見もある。介護のある暮らしや働き方を社会の標準にしていくべき」と訴えた。

 このほか、厚生労働省年金課の伊澤知法課長が公的年金保険制度について話し、僧侶で歌手の柱本めぐみさんの講演とミニコンサートもあった。

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和歌山県で住民の受診内容や調剤、介護情報を関係者で共有するネットワークが出来つつあります。まだまだモデル段階だと思いますが住民の5%、6500人が登録できたことは画期的なことだと思います。
この取り組みがもっと全国で普及すると良いですね!
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目標の6500人が同意 田辺の医療介護ネット

紀伊民報(更新)

田辺保健医療圏(和歌山県田辺市と周辺4町)で、住民の受診内容や調剤、介護の情報を関係機関で共有するネットワーク「くろしおNET(ネット)」への登録同意者が今月末までに目標の6500人を超えた。事業を進める協議会が明らかにした。

 田辺圏内の医師会、歯科医師会、薬剤師会、医療機関、介護事業所などでつくる「EHR協議会」(初山昌平会長)が、くろしおネットづくりに取り組んでいる。

 総務省から昨年6月、医療と介護の情報を共有するモデル事業として採択されており、5600万円の補助を受ける要件として、圏域の住民約13万人の5%にあたる6500人からネットへの登録同意を得ることを求められていた。

 当初は同意者数が伸びず、1月末で439人、2月末で1695人と目標の達成が危ぶまれたが、3月に入って各地の催しに出張したり、説明会を開いたりして、同意数を急激に増やした。

 くろしおネットは患者の同意に基づき、病院、歯科診療所、訪問看護ステーション・ケアマネジャーなどをネットワークで結び、医療・介護情報を共有するシステム。患者ごとに支援チームができ、薬や検査の重複を防げるほか、入退院の際に医療や介護の連携がスムーズになる。救急搬送時や災害時にも、受診情報などが確認され、速やかな処置が受けられるという。


更新)
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住宅団地の高齢化が進んでいます。特に郊外型の住宅団地は今後、大規模な空き家が生まれる可能性があります。国交省が支援策に乗り出していますが、新しい街づくり構想の中での対策が必要ではないかと思います。住宅団地をメディカル・ケア・タウンにチェンジするぐらいの思い切った対策が必要です。
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高齢化進む団地、空き家使って 国交省が新たな支援策

岡戸佑樹

朝日新聞 2018年3月30日16時06分

高齢化が進んでいる住宅団地について、国土交通省は今春、再生に向けた事業を新たに始める。自治体などが、空き家を改修して高齢者支援や子育て支援の施設を整備する際の費用を支援する。若い世代の入居を促す狙いだ。

 住宅団地は、高度経済成長期に都市部で急増した人口の受け入れ先として周辺各地で建設された。国交省によると、5ヘクタール以上の大規模な住宅団地は全国に約3千カ所あり、その半数が三大都市圏に立地する。当時は子育て世代が一斉に入居したが、現在は高齢化が進み、空き家や空き店舗が増えている。バス路線の維持が困難になるなど利便性が低下し、若年世帯が入居しなくなっている団地が少なくない。

 こうした「負の連鎖」を断つため、国交省は空き家や空き店舗の活用に着目。自治体や住宅公社、民間団体が空き施設を使って高齢者や子育て世帯の生活支援施設を新設する場合、費用の一部を支援することを決めた。団地内の通路や緑道をバリアフリー化する際も支援対象となる。

 同省はこれまでも空き家を施設などに改修する際の支援は実施してきたが、住宅団地を単位にした事業は初めてという。街全体を支援することで、より効果的に若年世帯の誘致を進めるのが狙いだ。

カフェや遊び場にも

 自治体レベルでは、空き家を活用した地域活性化の取り組みが始まっている。

 横浜市は「地域まちづくり推進条例」に基づき、整備費用を助成している。この制度を利用し、同市金沢区の西柴団地では、団地内の空き店舗を活用した交流施設「さくら茶屋にししば」ができた。

 西柴団地は昭和30年代から開発が始まり、近年、少子高齢化が進んでいた。「地域を元気づけたい」と住民の有志が立ち上げた。気軽に立ち寄れるカフェとしてだけでなく、アートフラワーや歌など趣味の教室、買い物支援や子どもたちの遊び場としても活用されている。

 京都府八幡市のUR男山団地では2013年、関西大学とUR都市機構、市がまちづくりに向けた連携協定を結んだ。住民と学生が協働で運営。大学院生が常駐してお年寄りらの話し相手になるコミュニティー拠点や、団地集会所を改修した子育て支援施設を設置している。

 1972年に入居が始まったこの団地と周辺住宅には、市の人口の約3割にあたる約2万人が入居。市の担当者は「一斉に高齢化が進み危機意識を持っていた」と話す。運営開始後、団地の平均年齢は下がっているという。(岡戸佑樹)

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