無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2019年03月

中高年の引きこもり61万人超という内閣府の発表が波紋を呼んでいます。中高年のひきこもりは親と同居する未婚者の増加と強く連動しており、深刻な問題として「親の経済力に頼っている引きこもりは、親が亡くなったあとどうなるのか。多くが低年金、無年金で、数十万人の生活保護受給者が現れる可能性がある。それは社会保障財政を強く圧迫することになる」と中央大学の山田昌弘教授が警鐘を鳴らしています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
中高年の引きこもり“61万人超”…なぜ4分の3が男性?「学歴や職歴が厳しい」から!?
www.fnn.jp2019.3.29
 「中高年の引きこもり61万3000人」内閣府発表
内閣府が3月29日、初めて発表した驚きの調査結果…。それは、中高年の引きこもり数が61万3000人という数字。

満40歳~満64歳を対象にした引きこもり調査。今回の調査では「自室からほとんど出ない」など4つの問いを設定。そのうちいずれかに該当し、かつ6カ月以上その状態が続いているケースを広い意味での引きこもりと定義した。

4分3が男性…理由最多は「退職」
その回答結果から推計された中高年の引きこもり数が61万人を超えたのだ。

男女比だと、その4分3は男性。理由は「人間関係がうまくいかなかった」「病気」などに加えて最も多かったのが「退職」だった。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

介護現場で働く人と介護サービス利用者が、互いに傷つけ合う。断じてあってはならないことですが、負の連鎖が続いています。お互いにストレスをためるだけではなく、傷害致死事件や訴訟にまで発展するケースが多くなっています。その最大の原因は低賃金による人手不足。それを外国人労働者でカバーしようとしても新たな問題をはらむだけで、根本的な解決にはなりません。ましてや介護の担い手の需要は、香港や台湾、シンガポールなどでも高まっており、既に人材獲得競争が始まっており、長期的な人手不足解消につながるかは心もとない、とする岩手日報の論説は正しいと思います。長期的な視点にたった処遇改善が必要です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
高齢者虐待 介護職の心労にも目を
岩手日報2019.3.29
 またも、介護職員による高齢者虐待が過去最多を更新した。厚生労働省の調査で、2017年度は500件超。被害者の8割が認知症だった。原因は「教育・知識・介護技術の問題」が最多で、「職員のストレスや感情コントロールの問題」が続く。

 しかし、職員を責めるだけでは、歯止めは掛かるまい。今月、介護現場のハラスメント(嫌がらせ)被害に関し、厚労省が初めて実施した大規模調査の結果も判明。特に、訪問介護職員の半数が被害を受けた経験があるという実態はショッキングだ。

介護現場で働く人と介護サービス利用者が、互いに傷つけ合う。人間的交流からほど遠い現状の背景には、介護人材不足の問題が横たわっている。仕事の負担が大きい割に賃金は低い。限られたマンパワーで働き続け、認知症の周辺症状などに丁寧に対応する心身の余裕を持てない。ストレスはたまる一方だ。

介護を受ける側も、介護職の専門性への敬意を持てず、過酷な職場環境への理解も及ばないまま、十分なケアを受けられない不満が募り、つい不適切な言動に走ってしまう。それが、介護職のストレスを倍加させる。

 こうしたギリギリの状況が続く中、25年には介護人材約34万人が不足すると推計されている。このままでは、相互の葛藤がさらに深まり、虐待の深刻化も懸念される。

外国人材は切り札になるだろうか。受け入れを拡大する新たな在留資格が4月に創設され、政府の19~23年度の介護人材確保計画では最大6万人の外国人労働者を見込む。

 だが、介護の担い手の需要は、香港や台湾、シンガポールなどでも高まっており、既に人材獲得競争が始まっている。長期的な人手不足解消につながるかは心もとない。

 外国人頼みではなく、日本人の介護職の抜本的な待遇改善こそ急がれる。専門性に見合った待遇が社会的地位を高め、若者にとって魅力ある仕事になるだろう。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

無料低額宿泊所(無低)の規制強化に向けて動き始めています。札幌市で11名の入居者が火災で死亡した生活困窮者向け共同住宅「そしあるハイム」を無料低額宿泊所(無低)に位置づけ、規制を強化する方針です。 厚労省の調査によると、ハイムのような施設は2015年時点で全国に1236施設あり、このうち道内には307施設(全国の4分の1)、3868人が入居していたと言われます。国は火災を受け、こうした施設を無低として位置づけようとしています。

来年4月に改正社会福祉法が施行されると、その無低に対する規制が強化され、設置するには、都道府県への事前の届け出が必要になります。施設の床面積や職員数、災害時の安全確保に関する基準を省令で定め、基準を満たさない施設には、都道府県が改善命令を出せるようにするとのこと。規制を強化すればするほど、無低にもなれない無届の施設が実質的に増えることになるのではないでしょうか?規制強化だけでは低所得者高齢者の問題は解決しません。家賃給付等高齢者の一般住宅を活用した住宅政策に本腰を入れねばなりません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そしあるハイム火災から1年【そしあるハイム火災から1年】

同様の施設「無料低額宿泊所」へ
朝日新聞2019.2.16

■「法的位置づけ」効果は
 昨年1月31日の火災で入居者11人が死亡した生活困窮者向け共同住宅「そしあるハイム」(札幌市東区)は、法的な位置づけがない施設だった。国は同様の施設を無料低額宿泊所に位置づけ、規制を強める方針だ。札幌市は防火対策のため、火災後に独自の補助制度を設けたが、困窮者支援の現場に行き届くには、課題が多い。


■来年春、安全確保の規制強化
 ハイムは社会福祉法が定める「無料低額宿泊所」(無低)にも、老人福祉法上の「有料老人ホーム」にも当てはまらない、法的位置づけのない施設だった。行政による安全確保のための規制が及びにくく、補助の対象にもならなかった。


 厚生労働省の調査によると、ハイムのような施設は2015年時点で全国に1236施設あった。このうち道内には307施設あり、3868人が入居していた。国は火災を受け、こうした施設を無低として位置づけようとしている。


 来年4月に改正社会福祉法が施行されると、その無低に対する規制が強化される。設置するには、都道府県への事前の届け出が必要になる。施設の床面積や職員数、災害時の安全確保に関する基準を省令で定め、基準を満たさない施設には、都道府県が改善命令を出せるようにする。


 さらに国は、ハイムのような施設を無低と位置づけることで規制を強める。時期は未定だが、省令や通知などで無低の定義を改め、来年4月の改正法施行に間に合わせたい考えだ。


 一方、無低と位置づけられることで、補助を受けられるようにもなる。国は来年度、無低を対象に、スプリンクラーの設置といった防火対策工事の費用の補助を始め、国と都道府県で費用の4分の3を負担する。


 立教大大学院の稲葉剛特任准教授(居住福祉論)は「首都圏を中心に貧困ビジネスが深刻な問題になる中、規制を設けて住宅の質を底上げすることには賛成だ」と話し、スプリンクラーの設置補助も評価する。その一方で、「規制のやり方次第では、これまで困窮者を幅広く受け入れてきた小規模な事業者などが運営しづらくなる可能性があり、注意を払う必要がある」とも指摘している。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

貯蓄ゼロ世帯は5世帯のうち3世帯という調査結果を日銀の「金融広報中央委員会」がしぶしぶ発表したとのこと。20代は61%といいますので、日本では若年層の貧困が多いということになるのでしょうか。年金に期待できない上に、貯蓄もできないとすればいったいどのように生きて行けば良いのでしょうか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日銀が官邸に忖度 低めに出しても「貯蓄ゼロ=5世帯に3世帯」の惨状
BLOGOS2019.3.26
 本当の数字が明るみに出たら、庶民の暮らしの惨状が分かるはずだ。

 日銀の「金融広報中央委員会」の調査によると、20歳代の貯蓄ゼロ世帯(金融資産ゼロ)は、61%となっている。5世帯のうち3世帯がスッカラカンということだ。(2018年11月発表)

 以下30代=40.4%、40代=45.9%、50代=43%、60代=37.3%とされている。

 これらの数字は山本太郎議員が国会で追及に追及を重ねた結果、日銀が金融広報中央委員会の調べとして渋々出してきた。昨年11月のことだ。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

ケアマネが担当できる利用者の上限を定める現在の制度ではケアマネの生産性は上がらないとする国際医療福祉大の高橋学部長の意見には一理あります。ケアマネの仕事はケアプラン作成と介護サービスの調整を含むコーディネーションの2つになりますが、ケアプラン作成をICTやAIを使うことで効率化することができれば、コーディネーションの仕事に力点を置き、一人のケアマネがみる範囲が広がるのではないかとのお考えです。その結果、ケアマネの生産性は上がり、報酬の1.3倍は十分可能であるとのこと。5年以内に上限撤廃を求めるお考えには賛成です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
利用者数の“上限”、5年後には撤廃をVol.13 高橋泰/国際医療福祉大 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部長【後編】
ケアマネジメントオンライン2019.3.4
 現在、ケアマネジャー1人が担当できる利用者の数は、35人が事実上の上限となっている。高橋氏は、こうした業務上の制約が、介護の効率性を高めるICTやAI(人工知能)などを普及させる上での最大の障害だとし、サービスの質が低下しないことが実証できた場合は、現行の基準を撤廃し、1人のケアマネが担当できる利用者の数を増やす必要があると指摘する。「5年後にはそうならないと、2025年以降のさらなる高齢化には対応できない」―。高橋氏はこう警鐘を鳴らす。

ケアマネがAIの将来予測能力を利用すれば、質の高い自立支援型のケアプランを作成できます。さらにICTを使いこなすことができれば、ケアマネの仕事の効率は飛躍的に上がります。今後、ケアマネの仕事は、AIの将来予測を参照しながらケアプランを作成し、ICTを駆使してコーディネーションを行うという形に急速に変化することを期待しています。

ICTやAIを使いこなして多くの利用者に対処するか、これまで通りのやり方で仕事を続けるのか、ケアマネや事業所は、今後その選択が迫られると思います。

―100件というのは、10年先の話ですか。

いいえ、5年後にはそうならないと、2025年以降のさらなる高齢化には対応できません。働き方を変えることで仕事の生産性が劇的に上がれば、例えば、ケアマネの給料が1.3倍に増やすことが可能になります。賃金アップという前向きな視点で捉えないと、現場の人手不足は解消されませんし、将来の需要にも追い付けないと思います。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ