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住む場所がない…賃貸借契約を断られた「高齢者3万人」の末路
幻冬舎2021.3.29
持ち家か、それとも賃貸か……おそらく永遠に結論が出ない議論ですが、年金が頼りとなる高齢者世帯の場合はどうか、考えていきます。
国土交通省『平成30年住宅・土地統計調査』によると、持ち家率は61.0%。さらに世帯主の年齢別に見ていくと、世帯主が20代後半の持ち家率は9.1%。さすがに20代にして家を持つのはハードルが高いようですが、そこからぐっと持ち家率は高くなります。
世帯主が30代後半になると43.8%。40代前半には過半数を超え、持ち家派が優勢になります。そして40代後半では平均値の60.1%に達します。定年後、年金生活に入る60代後半では78.8%、70代後半には81.8%に達します。
高齢者世帯に潜む、賃貸派のリスク
現役世代であれば、人それぞれの価値観で購入か賃貸かを選べばいいでしょうが、問題は、年金が頼りになる高齢者になったとき。毎月の家賃や厳しくなる審査が気がかりです。
現在、65歳以上の単身世帯は約700万世帯。上記の結果を単純にあてはめると、約3万5000人の高齢者が入居審査の際に「NO」を突きつけられたことになります。貸主の立場からすると、今後、ニーズが高まる高齢者は魅力的である一方で、孤独死のリスクなどを考えると、できれば現役世代の人に入居してもらいたい、というのが本音でしょう。
調査はサンプル数も少なく、あくまでも計算上の話ですが、審査が通らず住む場所もない……と途方に暮れる高齢者は、今後、高齢化が進行するなかでますます増えると考えられます。
また総務省『家計調査報告(家計収支編)2019年 平均結果』によると、単身高齢者の公的年金受取額は11万5000円ほど。貯蓄がどれほどあるかにもよりますが、家賃に多くを割けるほど余裕がないことは明らかです