無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2021年04月

地域ボランティア














川崎市で有償ボランティアで作る地域包括ケアの仕組みが取り上げられている。国はどうしても介護予防、要支援や介護度の低い方々を介護保険の対象外とする総合事業に集約させたい考え。民間の事業者が次々に撤退し、担い手が不足する中、地域の有志が集まって有償ボランティア事業として取り組む事例が出てきた。
この形が今後一般化するかというとそれは極めて困難であろう。85歳の住民が96歳の住民の日常生活を手助けする、この姿が望まれた姿なのであろうか?介護保険制度設立の目的である「介護の社会化」の行きつく先が、ここだとすれば、20年経って介護保険制度は崩壊してきていると言えるのではないか。決して地域包括ケアの理想モデルではない。
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川崎市に見る、住民が支え合う「地域包括ケア」の理想モデル
YAHOOnewsJapan 2021.4.28  
● 介護保険制度が発足して20年超 人材・財源の確保が課題に 
介護保険制度が発足して20年超。65歳以上の高齢者が人口の30%近くになり利用者は増え続けるなか、財源や専門職の手当てが厳しくなってきた。そこで、国は軽度者はできるだけ居住地域でボランティアなどからサービスを受けてもらい、介護保険を中重度者向けに特化させようとしている。  

とはいえ、地域では担い手の住民の確保がままならない。とりわけ大都会周辺の住宅地では、人間関係が希薄なだけに難しい。 
その中で、神奈川県川崎市宮前区の住民活動が注目を集めている。宅地開発が進んだ人口2万8000の野川地区。田園都市線の鷺沼駅からバスで10分ほど。活動するのはNPO法人「すずの会」の住民ボランティアたちである。  

● 有料老人ホームではなく 有償ボランティアという選択肢
草柳さんは85歳。「すずの会」の有償ボランティアとして長瀬さん宅を毎週訪れる。85歳の住民が96歳の住民の日常生活を手助けする。「住民同士がお互いに支え合うのが私たちのモットーですから」と、この日訪れていた同会代表の鈴木恵子さん(74歳)。  

ヘルパー事業所からの訪問介護は、1日に40分。買い物や掃除などの生活支援にあたるが、介護保険制度内での支援なので短時間なうえ、散歩の同行はできないなど制約が多い。「その点、ボランティアでの活動ならば、気兼ねなくいろいろなことが自由にできます」と鈴木さん。 

 「すずの家」の民家は、長年同会が関わってきた高齢女性の自宅であった。一人暮らしが難しくなったため、特別養護老人ホーム(特養)に入居することになり、「ぜひ自宅を使ってください」と頼まれた。家賃は10万円。2014年4月から「すずの家」の表札を掲げ、自主的な住民デイサービスを始めている。

  この「すずの家」の活動は、介護保険の新しい取り組み「地域支援事業」の中の「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」(通称「総合事業」)でもある。「総合事業」は、主に要支援者を対象に、市区町村が独自に制度を組み立て地域事業者に委託する。2本立ての構成で、「訪問型」や「通所型」などの「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」に分かれ、「すずの家」はその「一般介護予防事業」の事業者となっている。  

川崎市は、「住民主体による要支援者等支援事業」と名付けて始めた。2014年に試行事業として「介護予防事業推進体制構築モデル事業」を3カ月間行い、すずの会を含め市内の6団体が参加した。さらに2016年と翌年に「住民主体事業」のモデル事業を始めたが、いずれも手を挙げたのはすずの会だけだった。   

そして、「住民主体事業」はこの4月から4年目を迎えたわけだが、受託事業者は9団体にとどまる。

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身元引受は身寄りの無い方がご入居する際のサポート、葬儀サポート、金銭管理から、独居の方の電話による見守り業務まで幅広くおこなっております。

コンサルとしては、長年にわたる経験から、時代を先取りした”未来”をお届けするものです。介護報酬の改定やいろいろなリスクを勘案し、行政申請から内部監査、予算の見直しまで含めた総合的なものスポット的なものを取り揃えております。
高齢者支援サービスでお困りの際はロングライフサポート協会までお問い合わせください。

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オランダのケアファーマー














オランダのケアファームの取り組みの先進性に衝撃を受ける。障害者を農場で受け入れる。農業が障害者と共生するローモデルとなる。素晴らしい取り組みです。その取り組みは極めて組織的であり、システム的であるのが特徴。障害者の受け入れの品質管理を16の地方団体を組織化する「農業介護連盟」がしっかり行う。このような取り組みが世界にあったことを恥ずかしながら初めて知る。全国で800以上のケアファーマーが登録されていて、未登録のものも加えるとオランダには1000以上のケアファームがあるらしい。日本の福農連携を更に超えて、福祉が主軸となる。2021 年のオランダの総人口数は17,173,094人、高齢者比率20.45%である。何故、この国でここまでできるのであろうか。日本はオランダに学ばねばならない。

対象グループ       受け入れ対象としているケアファームの数
知的障がい者       508
精神障がい者       429
身体障がい者       219
前歴のある人       40
高齢者             301
高齢認知症患者     215
燃え尽き症候群患者   256
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ケアファーマーの質が問われる:オランダの品質保証制度
Newsweekjapan2021.4.29
 ケアファーム先進国の一つともいえるであろうオランダ。オランダのケアファームに関して、保険制度・事業内容・視察などに関しては日本語でも記事が見つかるが、認証制度について聞いたことはあるだろうか?今回は全国的な品質保証制度・Kwaliteit laat je zien! (kljz) (直訳すると「品質をあなたに見せてあげよう!」)を紹介する。

ケアファームについて初めて聞いた方のために、簡単に説明しておこう。オランダにおけるケアファームとは、補助・介護・指導を必要としている人々に、居場所を提供する農業生産者・法人のこと。事業運営や発展においては、サービス利用者(deelnemer「参加者」と呼ばれる)の能力や目標が尊重される場所。日本の「農福連携」では就労に焦点があるのに対して、ケアファームは福祉が主軸だ。

ケアファーマーをまとめる連盟 Federatie Landbouw & Zorgについてオランダ全国のケアファーマーは、16の地方団体を通して組織化されている。さらにこれら地方団体が加盟しているのが、Federatie Landbouw & Zorg (Federatie L&Z)・和訳すると「農業介護連盟」。800以上のケアファーマーが登録されていて、未登録のものも加えるとオランダには1000以上のケアファームがあることになるらしい。

素行や登校拒否などの問題を抱える若者にとって大切なのは、まず作業等がわかりやすく安全な場所。担当者が大人の事情でころころ変わるのは不安の種にもなるため、指導の一貫性も重視される。自分の仕事に誇りを持っている農家さんがロールモデル的な存在となるのもケアファームの魅力だ。

「サービス利用者」ではなく「働き手」として農園に関わり、責任を持つことで自信がつく。そして結果が見える学びの場(種を蒔いたら発芽する、など。教室では結果が見えず目的を失うことがある)で様々な作業をすることで、自分の可能性を知ることができるだろう。精神障がい者にとって、普段とは違う環境でやりがいがある仕事をすることは、問題の引き金を減らすことにつながる。生活リズムを取り戻すきっかけにもなる。

また、農園が社会との接点となり、農家さんやそこで働く人など社会に受け入れてもらうことで自信が持てるようになるかもしれない。大人数だと問題行為を引き起こしやすいため、小規模で支援を受けられるのも大切だ。これら二グループとは異なり、認知症高齢者のケアに求められるのは「普段通りの生活」だ。料理をしたり、掃除をしたりできる場所。そして少人数でケアを受けることも、非日常的な要素を取り除く配慮である。

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社協の死後事務委任の限界














各地の社会福祉協議会(社協)による死後事務委任の取り組みが注目を浴びている。社共が生前に委託契約を結び、亡くなった後の葬儀や家財の処分、行政への届け出などの死後事務手続きを行う仕組みである。単身高齢者の増加により間違いなくニーズは高くなっている。

しかし、社協が行う死後事務委任には限界も伴う。いち早くこの事業に取り組んだ福岡市社協では2015年から「住まいサポートふくおか」の事業を行っている。低所得者に賃貸住宅を斡旋する取り組みである。その一環として、死後事務委任事業として「やすらかパック事業」を行っている。月額3000円~5000円とリーズナブルであるが、対象者は生活保護を受けていない人に限られる。

名古屋の事例も50万円以上の預託金が払える人となっており、低所得者の死後事務委任はリスクが高くて難しいのである。

社協の取り組む住まいサポートも死後事務委任も、そのリスクの高さから利用者は一部に限られるのである。
ここに社協の限界がある。行政の延長上では制度的にリスク負担は難しい。これでは超高齢社会、単身社会のニーズには応えきれない。
何故福岡社協は理想に倒れたか?


















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<身元保証を考える>「死後事務」社協が代行 各地で取り組み
東京新聞2021.4.27  
亡くなった後の葬儀や家財の処分、行政への届け出などの「死後事務」を引き受ける団体が増えている。各地の社会福祉協議会(社協)などが生前に委託契約を結び、代わりに手続きを行う。身近に頼れる家族や親族がいない単身高齢者の増加に伴い、こうした取り組みがさらに広がっていきそうだ。  

◆生前に委託契約  
名古屋市社協は二月から、死後事務を代行する「なごやかエンディングサポート事業」を始めた。▽子や孫がいない▽五十万円以上の預託金が払える▽契約能力がある−などの条件を満たす市内の七十歳以上の人が対象。市社協には以前から「賃貸住宅に住んでいた身寄りのない人が亡くなった後、家財の処分をどうしたらいいか」といった相談が寄せられていたといい、法人後見センター担当の高須美貴さんは「社協として地域の課題に対応しなければと考えた」と話す。  

利用者は市社協の審査を受けた後、公正証書遺言を作成した上で契約。事務手数料(一万六千五百円)と定期的な見守りの年間利用料(一万一千円)のほか、死後に必要な費用を預託金として支払う。葬儀・納骨や債務の支払いのために五十万円以上を預け、家財の処分は見積額が必要。実際にかかった費用の一割を社協が執行費として徴収する。利用者はまだいない。  

単身高齢者の問題に詳しい日本福祉大教授の藤森克彦さんによると、今後、単身高齢者はさらに増えることが予想され、死後事務の対応に不安を抱えている自治体もある。身寄りがなく、第三者に死後事務の委任もしていない人が亡くなった場合、協力を得られる親族が見つからないことが多いからだ。「人の死」というデリケートなことへの対応で職員らの精神的な負担も大きい。   

単身高齢者の死後事務には、民間の身元保証団体が関わることも多い。ニーズに柔軟に対応できる一方、行政の支援がないため費用が高額になることもあり、低所得者は利用しにくいなどの課題もある。藤森さんは「自治体から権利擁護事業の委託を受けているNPO法人なども死後事務の担い手になり得る」と指摘。「自治体が補助すれば利用者の負担を減らせ、運営のチェック機能も働く。地域によって、さまざまな形が考えられる」と取り組みの広がりを期待する。
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高齢者施設の限界













ワクチンが高齢者にまでまだ到達していないが、高齢者施設はこの第4波で更に深刻な影響を受けている。いまだ次々と施設内でクラスターが発生しており、医療、介護施設内でのコロナ感染死者は沖縄の例を見るように、6割を超えている。長い面会制限は高齢者の生活に甚大な影響をもたらしている。感染予防と人権擁護においてどちらを優先すべきか、その境界線はどこかの科学的境界線が示されないままに現場にその負担が押し付けられている。長引く対策に疲労の色が濃く、現場の緊張も限界に来ている。1日も早いワクチン接種を望む。
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【Dr'sサロン】高齢者施設 深刻な影響
中日新聞2021.4.27  
収束が見えない新型コロナウイルス感染症は、高齢者の生活に大きな影響を及ぼしている。感染拡大防止を錦の御旗とする「自粛」によって、デイサービスの利用や外出ができなくなった。その結果、認知症を含め病気が悪化し、家族と面会できないまま亡くなる事例も報告されている。 

 クラスター(感染者集団)を発生させないためにと、一部の介護施設では利用者や家族への行動制限がいまだに続いているようだ。認知症を専門とする老年科医として、過剰ではないかと思う点は多い。感染予防を理由に、訪問介護員の支援を拒む事例も耳にする。外から見えにくい、いわば密室になれば、ネグレクトや心理的な虐待の懸念は増す。コロナ禍は感染を防ぎ、生命を守ることを優先してきた。その陰で、高齢者の人権は後回しにされてきたと言っても過言ではないだろう。

 感染予防と人権擁護。どちらを優先するか。予防しながら、人権を守るための科学的な境界はどこか。本来は研究者と、介護の現場で深い議論が必要だ。
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全国初の事業制限命令














今回、全国初の事業制限命令が出された神奈川県の住宅型有料老人ホームは2006年に開設されている比較的古い施設である。入居費用 195,000円で月額費用 133,880円の比較的低価格型の施設であるが、その施設で何が起きたのか?18名の入居施設であるが、入居者に対して職員が少なく、入居者の食事サービスが不十分だとして業務改善命令が出されていたが、行政は今回、この状態を虐待と認定して強い措置になったようだ。事実上の指定取り消しに近いものではないか。こうなる前に手を打てなかったのか?
事業制限命令とは老人福祉法第 18 条の 2 第 2 項 に記載されている内容であり、次のように基準が定められている。
・老人福祉法若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに基づく処分に違反したとき
・老人居宅生活支援事業等に関し不当に営利を図り、若しくはその事業を利用する者の処遇につき不当な行為をしたとき上記の場合に、事業の制限又は停止を命じる
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入居者におにぎりと総菜1種 有料老人ホームに初の事業制限命令
Yahoo!ニュース2021.4.27
  神奈川県は27日、入居する高齢者が衰弱するような食事を提供していたなどとして、松田町の有料老人ホーム「シルバーハウス風の里」に対し、老人福祉法に基づき要支援・要介護者の入居を受け入れられなくする事業制限命令を出した。同命令が出されるのは全国で初めて。

 県は2020年2月、入居者に比べ職員が少なく、入居者への食事サービスが不十分だとして業務改善命令を出した。

事業制限命令
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