無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

2023年12月

アジアのケアギバーは日本をみはなす














日本は憧れの地ではなくなった 最賃2000円超のオーストラリア、サポート充実の韓国…外国人労働者に選ばれるには何が必要か
南日本新聞12/29(金)   

予想していたことが現実のものとなってきた。極度の人手不足の介護業界において、外国人労働者の採用は避けて通れない課題であった。これまでの長年の外国人労働者の採用における足かせは、いよいよ本格的な人手不足対策を行う段階にきて、大きな曲がり角に来ている。   

このままではいずれアジアのケアギバーは世界の労働市場と取り負けると危惧していたが、正にその段階に来てしまった。 既に2年前にこのブログでも警告を発していた。

  


『王文麗専務は「東南アジアは自国の経済成長が進み日本での実習希望者が減りつつある」と説明する。円安で母国への送金額が目減りする逆風も重なり「今や日本は憧れの地ではなく選択肢の一つ」と感じている。県内の監理団体も「ベトナムなどでの日本離れを実感する」と口をそろえる。』   

『人手不足は日本だけの問題ではない。最低賃金が2000円を超えるオーストラリア、日本と平均賃金は近いが語学教育などサポート体制が充実する韓国。人材獲得競争は国内に加え、国家間でも激化している』そんな時代に突入しているのである。   

アジアの各地からみて日本は憧れの地であろうというのは日本人の思い上がりであり、この30年間で、その時代はとうの昔に過ぎてしまった。それどころか逆に日本のケアギバー(介護従事者)がオーストラリア等の給与の高い国に逃げてしまう時代が到来したのである。   

『何のための外国人材受け入れ制度か。転籍が可能になる期間を巡る議論は尽きない。有識者会議の最終報告は、業界ごとに制限期間の延長を認めるなど「必要な経過措置を検討する」と猶予の余地を残したまま立法府へ結論を委ねた』とまだ転籍条件などでもめている。   

そんな議論をしている暇はないはず。日系送り出し機関は当初の中国からベトナム、そしてインドへと人材開拓に奔走する。いつまでもこんなことをし続けねばならない国にアジアのケアギバーととの共存関係はなりたたない。日本は既に見放されている。  
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前回に権利擁護豊田市の事例引続き「地域連携ネットワークにおいて、民間企業等が権利擁護支援の一部に 参画する取組」 委員の主な意見 からこれからの取り組みを検証する。 

多様な主体の参画がまだ不十分。ピア・サポート(仲間通しの支え合い)、銀行子会社の活用を考えてはいかがかという意見もあるようであるが、そのレベルで解決するような問題でない。

「民間企業等が権利擁護支援の一部に 参画する取組」を検証する  

【豊田市福祉部福祉総合相談課 主任主査 安藤亨 氏】 の取り組みを検証してみた。
  
・精神上の理由又は社会的障壁により意思決定及び金銭管理等に支援が必要な者で、親族の支援又 は民間サービスによる支援を受けることが困難な者が対象。高齢者と障害者の2ケースを実践中。   

・意思決定サポーター(フォロワー)は、月2回程度の訪問を通じて本人の意思決定を後押し(お 金の使い道を一緒に検討し、預貯金の引き出しに同行することなどを含む)。当面は、市民後見人 養成講座修了者を想定。   

➡月2回程度では金銭管理はできない。365日でお金の管理は必要なのである。オンデマンドで必要な時に必要なお金の出し入れができなければ用をなさない。緊急時の支払いや手続きが必要な時があるのである。
  
・日常的金銭管理サービス事業者(生活基盤サービス事業者)は、市の指定を受けた介護保険サー ビス又は障害福祉サービス事業者。市が定める契約書及び重要事項説明書による契約。本人が行う 金銭管理や各種支払いに対する見守り   

金銭管理サービス事業者を誰にするのかという問題よりも、その事業者に何をどのような方法で金銭管理を行わせ、それを誰が24時間体制で管理監督をするのかという仕組み、ノウハウが必要なのではないか。   

・助言や日常生活に必要な範囲の金銭の一時的預かり(預貯 金口座の管理を含む。)、福祉サービス利用料等の支払いと関連手続きを行う。  

➡預り金の管理はどうするのか?不正につながらない仕組みをどう作るのかが必要。
  
・課題としては、意思決定支援関係では、フォロワーの育成、専門的に支援できる人材の確保など。 金銭管理関係では、他業種の参画、日常的な金銭管理(監督を含む)の範囲・方法の確立、本人が 金融機関の窓口に行けない場合の対応と金融機関の理解など。

➡上記の対策が出来て初めて金銭管理サービスのプロを育成できる。金銭管理は介護サービスの延長上にはないと考えるべき。専門家が金銭管理サービスを核として日常生活支援や緊急時の対応等を総合的に支援する仕組みが必要なのである。

試行錯誤は途に就いたばかりであるが、対象者1000万人を救済するには一日も早く経験者や専門家を総動員した仕組み作りが必要である。
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権利擁護の取り組み事例














成年後見制度利用促進専門家会議(第二期基本計画期間)の総合的な権利擁護支援策の検討ワーキング・グループ結果概要 (主査 山野目章夫)から「民間企業等が権利擁護支援の一部に 参画する取組」を検証してみたい。
八尾市と豊田市の2つの事例が報告されている。まずは八尾市の取り組みからみてみたい。 どのレベルの議論がなされているかを見て頂きたい。  

2 テーマ②「簡易な金銭管理等を通じ、地域生活における意思決定を支援する取組」について
(1) モデル事業参加自治体による報告 【八尾市健康福祉部 次長 岡本由美子 氏】   
・主に判断能力の低下が比較的軽度な身寄りのない単身高齢者がターゲット。ケース調整中。 意思決定サポーター(おもいのみまもり:見守り隊)は、月2回程度の訪問を通じて関係性の構 築に努める。市民後見人バンク登録者・市民後見人OB等を登録。担い手確保が課題。  
 
➡果たして市民後見人OBは何人いるというのか?その方々を指導監督するのは誰が行うのか、そしてその報酬は誰が払うのか?   

・日常的金銭管理サービス事業者(おかねのみまもり:金融機関)は、縮小傾向にある窓口で認知 症疑いのある高齢者対応に苦慮している。現金取り扱いの厳格化も進んでいる。今後は、介護サー ビス事業者等の第三者による金銭管理を金融機関の協力のもと進めていく。金融機関が参画できる 条件を整理するとともに、第三者が預金を引き出せるスキーム作りが課題。   

➡金融機関は第三者による金銭管理には協力はしない。関与できるだけのノウハウもシステムもない。年齢によって預金引き出しに制限を加えるとか、3年間カードを使っていなければカードを使えないとか、機械的に判断するだけである。それすらも本人の事情を斟酌できず、かえって迷惑な行為と言えるようなことを行っているに過ぎない。   

・ターゲット層の絞り込みと事業の法的な位置付けの明確化が必要。

➡今頃このようなことを言っている段階ではない。様々なケースを事例化し、ケースごとの処方箋を模索し、トライアルを繰り返し、制度を構築していかねばならない。制度ができてから行われるようなものでは間に合わない。事態はもっと深刻である。   

※まだまだ民間事業者を取り込んだ金銭管理の取り組みは途に就いたばかりといえる。

次は豊田市の取り組みを検証してみたい。
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金銭管理サービスとは何かを理解していない成年後見制度利用促進専門家会議(第二期基本計画期間)   
で大変興味深い議論がなされている。その内容は総合的な権利擁護支援策の検討の中でのこと。







 
「日常的金銭管理サービス事業者について」の中で次のように述べられている。  
・費用負担も含めて介護保険サービスや障害福祉サービスのメニューに入れて進めることができ るのではないか。  
・在宅の方も含めて、介護保険サービス事業者や障害福祉サービス事業者に担ってほしい。本人を 理解しており安心感がある。  
・地域との共存共栄という付加価値をつけた金融機関の参画は重要であり、金融庁に協力してほし い。金融機関は認知症高齢者への対応に困っている実態があると思っており、金融機関がどのよう な取組をされているのか聞きたい。   

ここでの注目点は、日常金銭管理サービスを介護保険サービスや紹介福祉サービスのメニューに入れて各事業者に担ってもらってはどうかということが提起されていることである。

安心感があるというだけで、介護や障害のケアの一部に日常金銭管理までを担わせるという発想である。その負担の大きさやリスクは全く考えていない。恐らく、現場からは猛反対が起きるであろう。金銭管理を簡単にとらえておられるのではないかと思われる。金銭管理=財産管理である。そこまでを現場スタッフに責任を負わせることは当初の介護保険制度の制度設計にもなかったはず。それを実行しようとすれば、とんでもないコストがかかるとことになるであろう。ましてや、金融機関もこの分野にはあまりにリスクが大きすぎて手を出すことはないであろう。金銭管理を軽く考えているとしかいいようがない。  

本人に代わって行う金銭管理には次のような業務がある。   
 介護保険料や医療保険料の支払い、病院や薬の支払い、日常の買い物の支払い、固定資産税や毎月の水光熱費の支払い、携帯代金の支払い、各種クレジットの支払いや解約、滞納税金の支払いや未払金の精算、場合によっては債務を抱えている人の債務取り立て対応と支払いまでと、お金を握っているということはお金に係る全ての業務が金銭管理者に降りかかってくるのである。勿論支出だけではない、収入を含めてその人の生活が成り立つように総合的にマネジメントしなければならないのである。それが金銭管理である。お金を出し入れするだけが金銭管理ではないのである。   

これらの業務に介護従事者やケアマネ等介護保険サービス事業者が関わることができるのか?皆さんの意見を聞いてみるが良い。現在議論を交わしている方々はこのような現場の金銭管理の何たるかを全く知らないとしかいいようがない。絵空事なのである。   

又、<監督・支援団体について> 次のような意見がある。  
・サービス事業者が金銭管理を担い、意思決定支援の許容範囲と相反する場合、意思決定支援をバ ックアップする仕組みが見えてくればいい。  
・社会福祉士はどのように関わるのか。  
・監督・支援団体の法制化はきちっとしなければいけない。   

社会福祉士等にその監督をやらせるということか?社会福祉士は金銭管理のプロではない。どのように監督をするのか、全くこの制度は別物と考えざるを得ない。成年後見人制度のように年1回裁判所に報告をすればよいという段階ではないのである。経理の専門家がきちんと定期的にチェックをすればよいだけの話で、その為の団体を作る必要はない。余りに議論が短絡的で現場を知らない方々がいくら時間をかけても有効な結論は出てこないであろう。
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新しい社会保障制度の構築に向けて早稲田大学大学院の山野目章夫教授が地域の社会福祉事業の改革も提案しておられます。 
 2022年04月18日 15:30 〜 17:00 10階ホール「成年後見制度改革の必要とその方向性」 山野目章夫・早稲田大学大学院教授   

 国を始め、各地域で地域の社会保障のあり方について提言や検討がなされている。只、各々がそれぞれの立場で検討をしているにすぎず、いずれも超高齢社会の社会福祉、社会保障の処方箋とまでは至っていなのではないか。山野先生は成年後見制度改革と併せて、地域の社会福祉組織の在り方について提言しているが、まだその内容は不十分である。  

 社会福祉制度を支える新たな担い手として民間事業者の参入を増やすという点は評価できるが、民間と行政とで包括的地域支援の仕組みを作るべきというが、問題なのは包括的地域支援を支える多数のプレーヤーをどう動員するのか、そしてそれぞれのプレーヤーが持つコンテンツをどのように統合するのかというグランドデザインが不十分なのである。   

 例えば、山野教授は「被後見人や要支援者の金銭管理サービスを担うのは金融や生保などの民間事業者、日常生活を手伝うのは当事者団体や市民後見人養成研修を終えた個人、それらの業務が適正に成されているかを監督・支援するのは社会福祉協議会などの専門職団体。三者セットで運用されれば、横領や不正などの犯罪は防げるともくろむ。そして制度を監督・支援する役割を社福協などに任せること」を提言している。   

果たして、この内容に実効性を期待できるのであろうか?   
・金銭管理サービスを担うのは金融や生保➡100%難しい。金融機関が金銭管理サービスのリスクを負うことはまずないであろう。   
・日常生活支援は当事者団体や市民後見人養成研修を終えた個人➡一体どれだけの団体や個人がその機能を担うことができるのか?認知症予備軍を含めて意思決定が難しくなっているという1,000万人のサポートすることは不可能であろう。   
・それらの業務を監督・支援するのは社会福祉協議会などの専門職団体➡現状の業務で手一杯であり、その監督、支援業務にまでは到底手が回らないと考える。   
・こうした社会福祉改革を実現させるには、民法をはじめ関連法の改正が必須になる➡民法の改正を待ってこれらの仕組みをバックアップするのにいつまで時間をかけるつもりなのか?改正を待って実行するのでは手遅れとなるのは明らかであり、民間サービスの大量導入により行政と連携しながら制度、法律を変えていくしかないのではないか。   

以上の観点で、上記の提案は全く可能性がないものと考える。是非、皆さんのご意見を頂戴したい。
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