前々回に官民が連携して鉄道、水、原子力、太陽光発電などのインフラ輸出を促進・・・と報告をしておりました。これまでの機材の単品売りではなく、システム全体をパッケージとして売り込む戦略が明確になったのは今年、大いに前進したという見方があります。

しかし、海外では、システム導入にあたって、個々の機材の性能や耐久性だけでなく、システム全体を実際に動かしたときの安全性や信頼性などを実証するよう、導入する側が求める傾向が強まっているようです。

この問題は、我々高齢者住宅をパッケージで新市場に提案していこうというビジネスモデルにも共通するものがあります。その内容を検証しておきたいと思います。

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『多少の不具合が生じても機材の供給者と「擦り合わせ」しながらシステムの問題を改善する日本の常識が海外では通用するわけではない。

例えば、日本側はシステムを構成する個々の機材の性能の高さ、日本での故障や事故の少なさを強調しがちだが、それに対し相手側は、環境が大きく違う場合でも日本と同じようにシステムが安全かつ効率的に動くのか、明確な保証を求めるわけである。

多くの日本企業は、こうした「システム・アシュアランス(保証)」と呼ばれる考え方自体に慣れておらず、システムを保証する根拠となる企画の導入も遅れている。これでは保証を求められても、うまく対応できないであろう。』

・・・インフラ産業を新たな市場に投入する時には「システム・アシュアラン
   ス」は当然の視点となるであろう


『海外のインフラ商戦で日本企業が直面する、別の「保証」の問題もある。システムを建設、納入する側が、長期間にわたるシステムのオペレーション(運転・運営)の保証も求められる例である。

アブダビの原発商戦で、60年間のオペレーションを保証した韓国連合に敗れたのは記憶に新しい。ブラジルの高速鉄道プロジェクトでは、三井物産、三菱重工などの企業連合が、40年間にわたる運営保証とう難題に直面した。

国がリスクを引き受ける格好の韓国と違い、日本は民間企業が負いかねるリスクをどこが取るのかの態勢が整っていないと言われる。』

・・・国家が保証できないのであれば、民間企業がそのシステムを構築す
  るしかない。それは新たな保証(保険)システムであり、お互いに保証
  する運営者組織を早急に作り上げねばならない。


ここまでがeL3バージョン2.0に求められるパッケージシステムである。