明日はある…か?:消費税・考/3 給付削減いつ誰が

本日、毎日新聞に下記の記事がのっていました。どうも論調がおかしいです。介護保険はあくまでも医療費を抑えるのが目的でつくられ、そのもくろみが外れたので、給付を下げるべきであるとの論旨は実態を反映していないと言えるのではないでしょうか?

決して当初の制度設計に誤りがあったとは思えないのです。問題は、当初設計していた介護保険制度と医療保険制の両面からの改革において、特に医療制度の改革が思うようにいかなかったからではないでしょうか?そこに問題点があるように思うのです。

改革を前提として設計されたものが、改革がうまくいかない。それ故に医療給費、介護給付が増大した、それゆえに削減をせねばならないというのは、論理的におかしいです。行うべきは改革であって、それを実現しないことには対処療法的に給付額を削減したところで根本的な解決には至らないはずです。今やらねばならないのは、断固とした医療制度改革であって、そのうえでの介護保険制度の改革と消費税引き上げはセットと考えるべきではないでしょうか。

……………………………………………………………………………………………………………・・・・・・・・・・

 「必要な介護サービスまで受けられなくなる」「要介護度の低い人の早期ケアができず重度化が進む」。昨年10月28日、社会保障審議会の介護保険部会。膨らむ一方の社会保障費の抑制策として厚生労働省が示した(1)高所得者の自己負担(2)要介護度の低い高齢者の自己負担--引き上げ案に委員から反対意見が続出した。統一地方選を控えた民主党も反発、今国会に提出する介護保険法改正案には盛り込まれなかった。

 介護、年金、高齢者医療の給付は日本の社会保障給付の約7割を占める。高齢化の進展で25年度の給付総額は141兆円と10年度より4割増える一方、支える現役世代は減少の一途だ。いまは高齢者1人を現役世代3人で支えている形だが、50年代には現役1人で支えなければならなくなる。日本経団連の森田富治郎副会長(社会保障委員長)は「社会保障の持続可能性確保には20年代半ばまでに消費税を10%台後半に引き上げる必要がある。財政健全化まで見据えると20%超の財源が必要」と指摘する。

 国民の反発で腰が引けた政治家が消費税論議を避けてきた中で、00年の介護保険制度導入は「消費税に代わる新たな保険料収入の道を開く目的もあった」(90年代の大蔵事務次官経験者)。津島雄二元厚相は「長期入院する高齢者を施設、在宅介護に移し医療費を抑えようとした」と話す。だが、介護保険導入時30・1兆円だった医療費は08年度には34・8兆円に、介護費も3・6兆円から7・9兆円に膨らみ、もくろみは大きく外れた。

 厚労相、自民党税制調査会長を歴任し、菅政権の社会保障改革集中検討会議メンバーも務める柳沢伯夫・城西国際大学長は「すべての高齢者に手厚くサービスする介護制度は限界」と指摘。「韓国や中国から日本の制度を視察に来ると、『とてもじゃないが、やっていけない』と帰っていく」と話す。

 野田毅・自民党税調会長も「そもそも消費税が15%程度でなければできない社会保障制度になってしまった」と指摘する。

 「年金支給開始年齢の引き上げも考えなければいけない」。1月21日、政府の新成長戦略実現会議で与謝野馨経済財政担当相は年金給付に切り込む可能性を示唆した。

 これに対し、国民の反発を恐れる政府・与党から「先のことを議論するという必要はない」(細川律夫厚労相)などと火消し発言が相次ぎ、与謝野氏も「今回の見直しとは関係ない」と事実上発言を修正した。だが、「現役世代も含めて増税への理解を得るには、社会保障の給付抑制も必要」という本音が垣間見えた。

 ニッセイ基礎研究所の遅沢秀一氏は「消費税増税や社会保障費削減など高齢者の不利益になることを訴えては選挙に負ける。それが社会保障を膨張させる一因になっている」と指摘。「税負担の急増に一定の歯止めをかけるには、高額所得の高齢者への給付抑制などを検討すべきだ」と、社会保障を「身の丈」に合わせる必要性を強調する。