本日は福岡で全国経営者支援連絡協議会主催のセミナーがありました。私からは2012年の医療保険と介護保険のダブル改定に伴う、医療法人の経営戦略についてお話をさせて頂きました。病院から在宅へ、医療と介護の連携といった次の世代の医療経営について提案をさせて頂きましたが、セミナー終了後の懇談会で、訪問歯科のお世話をしている方から、福岡の訪問歯科の取り組みについて聞く機会がありました。

想像以上に訪問歯科の取り組みが進んでいることに驚きました。5~6台の車を走らせ、30名からのスタッフをつかって高齢者施設等を中心に展開している訪問歯科医がいるなど、活発な展開をしているようです。彼の口から、「これからは歯科医院を開業するにも、病院を建てて新規に事業を始めるのはリスクが大きすぎる。まずは訪問歯科から初めて、資金ができてから、開業することの方がよっぽどリスクが少ない。そして、全く医院を開業しない(一応医院は最小限の投資で形ばかりの開設はするようですが)訪問歯科医院も出てきている」という話が出てきました。様子が変わってきています。

少なくとも福岡市内には10人前後の先生がそのような展開をしているらしく、徐々にエリアを広げているようです。内科医の先生が在宅療養支援診療所登録をして訪問診療をすることで、大体一人の患者当たり、月間5万円~6万円の医療報酬を算定するのに対して、訪問歯科診療所では一人当たり月間4万円~5万円は算定できているようです。歯科の月間の診療報酬が300万円といわれる中で、訪問歯科による診療報酬がもし1人4.5万円が取れるとして、小規模ローコスト型高齢者住宅eL3(16戸)が2棟あれば、32人×4.5万円で144万円となり、外来報酬の約半分をカバー出来ることになります。

これから在宅志向が強まるにつれて、口腔ケアの重要性が増してきます。できれば経管栄養等はしたくない、直接自分の口から食べ物を摂取したい、その強い思いが高齢者にはあります。
誤嚥等の問題もありますが、きちんとした口腔ケアを行うことで、できるだけ在宅での生活を維持することが望ましいと考えます。それ故に、訪問歯科診療所の位置づけが高齢者住宅において重要性が増してきております。

コンビニの1.5倍といわれる歯科の競争はますます厳しくなって参ります。訪問歯科にその活路を見だそうとするドクターも多くなってくるでしょう。いよいよ、eL3の医療のバックアップ体制において、在療診による24時間の訪問ドクターとの連携に加え、訪問歯科や訪問調剤のセットアップが重要になって参ります。今後大いに訪問ドクターとの連携を強化して参りたいと思います。