高専賃の開発にあたって、この5年間はリスクとの戦いであったように思います。住宅型有料老人ホームや高専賃はサービスが外付けであるだけに、収益確保が難しく大変な経営リスクを負ってきました。リスクの塊の事業と言ってよいでしょう。

主なリスクを挙げると、入居リスク、制度リスク、運営リスク、経営リスクとありますが、一番大きなリスクは入居リスクでしょう。

高齢者住宅事業は初期投資が大きく、固定費の大きい事業です。従って、初期投資と固定費をカバーするために早期満室化は避けて通れません。この初期リスクをどのように軽減するかがこの事業のポイントと言えましょう。

多くの方々がこの初期リスクの大きさを感じてはおられません。即ち、早期入居がすべてに優先するということなのです。一番大きなリスクが入居リスクと言われる所以です。

反面、この事業は入居が早期になされれば、極めてリスクは少ない事業と言えるでしょう。早期入居がなされれば、後は安定したストックビジネスになるということです。
運営リスクや制度リスクがありますが、これは当然といえば当然なのです。ここがクリアーできない介護事業者は初めから問題と言えます。

できるだけ短時間で損益分岐点稼働率の75%に達することができるかが勝負なのです。特に、医療機関が取り組む高齢者住宅は収益力が高いために、60%~65%で損益分岐点に達しますので、よりリスクは少ないといえるでしょう。より短時間で損益分岐点に達する、それがこの事業の最大の焦点だといえます。

そして、早期入居の最大のポイントは価格にあります。月額の入居金額をできるだけ抑えて、後は介護保険等でレバレッジを利かせる。そんなビジネスと考えてよいのではないかと思います。極めてシンプルな事業なのです。これからの勝負は建築コスト、食事コスト、運営コストをできるだけ抑え、入居リスクを克服し、入った入居者に対していかに質の高いサービスを提供するかという効率化の闘いに入って参ります。