震災死者の92%水死、津波被害60歳以上6割…警察庁まとめ

震災でダメージを受けたのはやはり高齢者でした。下記の記事が出ていましたので掲載しておきます。震災発生時が平日の午後であったために家族と離れて在宅だった高齢者が逃げ遅れたのではないかと説明をしています。日中独居の高齢者やもともと独居の高齢者にとって決定的なダメージとなったのではないかと思われます。東京都は2020年の段階で高齢者世帯の過半数が独居老人世帯となります。もし地震が襲ってきたときのことを考えるとゾッとします。震災に耐える街づくり、高齢者対応を考えねばなりません。
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東日本大震災で被害の大きかった岩手、宮城、福島3県で、震災から1か月間に検視などが行われた死者1万3135人のうち、水死が92・5%に上ったことが警察庁が19日発表したまとめでわかった。

 約8割が住宅倒壊などによる窒息死・圧死だった阪神大震災と異なり、ほとんどの犠牲者が津波で命を落とした状況が明白になった。検視が行われ、身元が判明した犠牲者の65%は60歳以上が占め、多くの高齢者が逃げ遅れたことも改めて浮かんだ。

 同庁によると、今月11日までに検視を終えたのは女性7036体、男性5971体で、損傷などで性別がわからない遺体も128体あった。9割超の1万2143人が水死で、8068体が確認された宮城県の水死割合が95・7%と、岩手県(87・3%)、福島県(87・0%)を上回った。圧死や全身骨折を含む損傷死など(計578人)の多くも、津波で倒壊した家屋の下敷きになったり、流される間にがれきに衝突したとみられ、水から顔を出し助けを待つうちに凍死した人もいた。焼死は148人で、宮城県気仙沼市など激しい火災が起きた地域で多かった。

 年齢別では60歳以上が7241人で、身元と年齢が判明した人に占める割合でみると65・2%だった。

警察庁は、震災発生が平日午後で家族と離れて在宅だった高齢者が逃げ遅れ、他の世代は会社や学校などで集団避難し助かったケースが多いとみている。 

6434人が亡くなった1995年1月の阪神大震災は就寝中の人が多い午前6時前に発生、遺体の多くは自宅近くなどで見つかり、10日前後で5000人以上の身元が特定された。東日本大震災では現在も約2000体が身元不明で、DNA鑑定などによる確認が進められている。

 岩手県陸前高田市で検視にあたった千葉大の岩瀬博太郎教授(法医学)の話「津波は沿岸でも時速数十キロ程度あり、一度のまれると泳ぎがうまくても生き延びることが難しい。想定を超える津波による死者が多かったのがこの震災の特徴と言える」

(2011年4月20日 読売新聞)