前回に続いてサービス付き高齢者向け住宅の開発について、今度は介護型のポイントについて述べてみたいと思います。

 一定の介護が必要な人を対象とすると、今度は介護の要員の人件費が多くかかることになります。当然、介護保険を収入に見込まねばそれだけの要員を抱えることは難しいのはいうまでもありません。

 しかし、もともとの月額の基本料金(家賃+食費+管理費)が高いと1割負担の影響で介護保険を使わない傾向が強くなり、介護保険の適用率(介護保険限度額に対する介護保険使用率)が低くなる傾向があります

介護保険収益が見込めないため、介護スタッフの人件費を吸収できなくなります。結果として、収支と経費のバランスがくずれ、経営破たんとなる可能性が高くなるのです。

そこで、月額基本利用料をできるだけ下げて、介護保険を活用するスキームが必要となるのです。その為には入居者の介護レベルに応じて、それぞれの介護度別に介護保険適用率を設定し、全体として一定の介護保険を活用するきめ細かい対応が必要となります。

基本料金と介護保険適用率は1割の自己負担を巡って、お互いに相関することになりますので、基本料金に応じた適用率のシミュレーションが必要となります。即ち、基本料金が高いと介護保険の適用率は低くなると考えるべきです。

 双方が高い設定ができるのは富裕層を対象とする高齢者住宅のみではないでしょうか。

基本料金と介護度(対象者)と介護保険適用率(介護保険金額)はぞれぞれ相関し、この3つの最適バランスを考えることが計画上、最も重要な点になります。地域によって、対象者によって、このバランスの比率は異なると考えるべきす。

次回は最後に医療型のサービス付き高齢者向け住宅開発について述べてみます。