少し前ですが、今月施行されるサービス付高齢者向け住宅の始動と題して、日経産業新聞に次に記事がのっていました。大手の介護事業者のサ高住に対する取り組みが一様ではありません。各社の考えが出ていますので、参考にして下さい。外付けサービスのビジネスモデルが一般的には未だ確立していない状況が伺えます。我々のビジネスモデルを先行させねばなりません。
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サービス付き高齢者住宅来月始動――大介護時代、企業の知恵問う(NewsEdge)
2011年09月20日 / 日経産業新聞

「団塊」25年ピークに ソフト面、玉石混交も

 団塊の世代の高齢化に伴う介護需要の拡大をにらんだ「サービス付き高齢者向け住宅」が10月から始動する。バリアフリー居室に生活相談・見守りサービスを組み合わせた仕組みで、政府は初年度だけで3万戸を整備する計画だ。有料老人ホームに代わる有望市場とみて積極的に整備する介護会社が出てきた半面、サービス体制を不安視する声も少なくない。ニーズに見合ったサービスをいかに低コストで提供するか。大量介護時代を乗り切るには介護各社の知恵も問われそうだ

 安否確認24時間

10月から登録が始まるサービス付き高齢者向け住宅は比較的軽い介護で済む人が暮らすことを想定した施設。従来の高齢者住宅制度がバリアフリーなどハード面だけを基準としていたのに対し、生活上の要望を聞く生活相談員の配置や24時間体制で安否を確認できる見守りサービスの提供などソフト面も基準に加えた。

日本の高齢者人口に対する介護施設・高齢者住宅の整備率は4・4%。特別養護老人ホームの入居待機者は約42万人に上っている。

団塊の世代が75歳以上に達する2025年には全人口に占める75歳以上の割合が08年比7・8ポイント増の18・2%に上昇。現在の仕組みだけでは急増する介護需要を吸収しきれない状況で、施設整備を進めながら介護費用の膨張をどう抑えるか。解決策の一つが今回の制度といえる。

メッセージは16年3月期までに前期の20棟1900室から200棟10000室に増やす。

訪問介護のやさしい手(東京・目黒)もゼネコンと組んでサービス付き高齢者向け住宅の運営受託に参入。14年6月期までに現在の2棟から20棟にする計画だ。

学研ホールディングスの介護子会社、学研ココファン(東京・品川)も15年9月期までに70棟を整備して4500戸の供給を目指す。「付加価値をつけないと、入居者は集まらない」(小早川仁社長)。競争をにらんで高齢者住宅と子育て支援住宅を併設したタイプも展開する。

制度を推進する厚生労働省と国土交通省では総額300億円の補助金や税制優遇、好条件での融資などを用意。建設には1戸当たり最大100万円を助成するなど手厚い支援策を取りそろえたことが各社の意欲を後押しする。

サービス付き高齢者向け住宅では入居者が介護事業者と個別に契約して介護サービスを利用する仕組みを採用している。介護職員が常駐して、24時間体制で手厚いケアをする有料老人ホームなどに比べて、介護サービスにかかる費用が少なく済むからだ。

厚生労働省によると、訪問介護やデイサービスなどを合わせた在宅介護にかかった1カ月の介護費用は1人当たり平均約10万円、有料老人ホームでは約20万円だった。

同じ居住型の施設でも、訪問型のサービスを組み合わせたこの方式が普及すれば、将来の介護費用の膨張の抑制につながるとの期待が見え隠れする。

参入に慎重姿勢

ただ、介護大手の中には参入に慎重な企業も少なくない。

④最大手ニチイ学館の斉藤正俊社長は「箱をつくることが主眼となり、介護や生活支援が置き去りになる可能性がある」と指摘。有料老人ホームに比べて「介護サービスの担保が難しい」として現時点では参入を見合わせている。

ベネッセホールディングス傘下の有料老人ホーム大手、ベネッセスタイルケア(東京・渋谷)の小林仁社長も「あらかじめ決まった時間しか来ない訪問介護で、認知症ケアやみとりまでできるのか」と疑問視する。入居時は介護の必要度が低い人でも、年齢を重ねれば状況が変わるというのが同社の考え。このため、まずは試験的に1棟を建設して、重度な要介護者は自社で運営する近隣の有料老人ホームに住み替えができるようにする仕組みを検討。複数の施設を組み合わせた体制作りを描く。

サービス付き高齢者住宅では各事業者の創意工夫を引き出す狙いを込めて、登録に必要な条件を少なくしてある。玉石混交となるリスクもあるが、介護各社が新たな器にどのようなサービスを吹き込めるかが、大介護時代の行方を決めることになる。